記録27_チャンス!
《鋼鉄魔人》の体は、その名の通り鋼鉄だ。
なんでも、《能力》の影響で皮膚が柔らかい金属のようになり、めちゃくちゃ硬いとのこと。
今一度くる攻撃を、《鋼鉄魔人》を盾にして防ぐ。
《能力》、《隠者》。
この《能力》の攻略法。
相手は《能力》頼りの戦いをしている。
どう勝つか。
どうやっても勝つビジョンが見えない。
全く見えない真人や《食龍》よりかは、俺は戦えるんだ。
せめて、この視界を共有でもできればまだ勝ち筋は見えるかもしれないが、そんなことはできない。
いや、可能性としては、まだある。
真人から教えてもらった、あの条件さえ満たすことができれば……もしかすると、だ。
その条件を、満たすことに集中しろ。
それができれば、この戦いの勝利の可能性は格段に上がる。
さぁ、集中、集中、集中…………。
スゥ…。
「そこだろ!」
刀で右を振り払う。
やはりそこには《隠者》がいた。
「チッ、なるほど、気づいたか」
「あぁ、もうどこに来ようがバッチリわかるぜ」
「じゃあ、次も当然わかるよね?」
また認識できなくなる。
端的に言うと《消える》。厄介な《能力》だ。
さっきの水ももう拭われたし、あとは本当に感覚を研ぎ澄ましていかなければわからない。
風を切る後、足を踏み締める後、服の衣擦れ、全てを知覚し、それを見切った上で攻撃を加える。
今度の攻撃は…………
地面を踏みしめる音が強かった!なら!
「上だああぁぁぁ!!!!」
「おっと、すごいな!!」
半円を描いた俺の剣を、《隠者》はそう評する。
でも、アイツはまだ気付かない。
次は、コイツのターンだってね。
振り終えた剣を持つ手のもう片方の手に握られたものを《隠者》に向ける。
《隠者》は予想外だったようで目を大きく見開き、一旦離脱しようとする。
が、そうはいかないものだ。
床には《鋼鉄魔人》の体がほっとかれてあった。
そいつにつまずき、逃げるのが遅れる。
そのチャンスを見逃す翔ではない。
《鋼鉄魔人》に少しの詫びを入れながら、リボルバーの引き金は引かれた。
〉〉〉
「《スナイパー》、行ける?アイツと戦うの、大丈夫かな?」
「大丈夫、だと、思う。でも、私たちじゃ、攻撃、効かないから、撤退が、吉」
「?それどういう………」
「こういうことだとも」
《引力核》は、飄々とそう言いながら、こちらに歩いてくる。
「はぁ!?アンタの足、アタシがもらったはずなんですけどぉ!?」
「あぁ、神経の入りが軽かったからね。そりゃあもう足の近くに重力源作ったらすぐ引き寄せられて出てきたよ。もう根っこからね」
事実、神経の入りが軽いなんてことはなかった。
だが、体の芯や骨を這うように入り込み固定された神経を、なんの顔色の変化もなく取り出すのは不可能。
つまり……
「事実改変………厄介すぎるよね」
「改変なんかしてないさ。実際軽かったんだし」
なるほど、これはホントに《チート》だ。
勝てる道筋とか、どうやったって出てこなさそう。
攻撃してもダメージは軽く、攻撃されたらダメージは重くなる。
理不尽な戦闘を強いられる。
今は相手からの攻撃はとことん避けて………。
「いやはや、ここまで来たのはいいものの、大丈夫?狂戦士との戦いの傷、重いでしょ?」
「ッ!?!?」
しまった!
既存の傷を使われた!!
狂戦士との戦いで残っていた傷の痛みが再び《女傑》を襲う。
その中、《引力核》は《女傑》に歩み寄る。
片足を挙げて踏みつける。
「いやぁ、敵とかをこうやって踏みつけるのってかなり気分がスッキリするんだ。わかるかな?ストレス発散ってやつだよぉ〜。いやぁ、今さっきまでちょっとムシャクシャしてたからちょうどよかった、よ!ね!!」
ガシガシと《女傑》の頭を踏みつける《引力核》。
だが、そんな中、《スナイパー》はというと。
「距離、OK。着弾地点の把握、OK。角度、OK。銃弾の重さ、OK。風速、OK。いける。」
かなり遠くへ移動しており、それに《引力核》は気付かない。
「?、そういえば、《スナイパー》は………!?」
そして、今気づいた時点でもう遅い。
「クソッ『重力反』て………n………………カハァッ…」
重力反転は間に合わなかった。
《引力核》の腹にぶち込まれたのは、爆弾を無理やり突っ込んだ、腕以上の大きさのある杭だった。
その後、《引力核》を貫いた杭は、その《引力核》もろとも爆発した。
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ジョーカー 〜自称目立たない俺は実は目立っていたらしく、しかも学園最強〜
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