記録24_アンウォーマー
「おいおい《スナイパー》。俺たちに争う気はないぞ?もう俺は疲れ切ってんだ。ここは見逃してくれるとありがたいんだがな?」
「冗談、言うな。私と、《食龍》の、命の、危機」
「そこまで大袈裟じゃないだろう?そこまで恨まれると元上司としてはだんだん悲しくなってくるよ」
《スナイパー》と《引力核》…ボスが対峙している。
《スナイパー》は殺意をむき出しに、《引力核》は飄々とビルの上で構えている。
その間、協力者の2人……ワープをさせた人と第三者はいつの間にか遠巻きに見守っていた。
「どちらが勝つと思いますかね?」
「どちらが勝つも何も、どっちが勝っても俺たちの利益にはならない。逃げるとしよう。《引力核》もそのうちついてくるさ」
「ねぇ、言い残す、ことは?」
「あー、ないよね。当然さ。だって僕が勝つんだから」
「調子に乗りやがって…!」
《スナイパー》から石……銃弾が発射される。
彼女の《能力》はこうだ。
《能力》、《撃筒》。
自身の触れたものをどんなものでも銃弾として発射できる。
デメリットは、一発一発に触れた上で簡易詠唱をつけなければいけないことだ。
「装填」
装填の簡易詠唱。
魔力を込め、いつでも次のフェーズに進めるようにするための下準備。
実は、どんなものでも銃弾にできるため、人や、自分が作った《撃筒》も装填することができる。
「固定」
固定の簡易詠唱。
その空間に固定し、そこからは解除しなければもう動かない。
何も知らない人から見れば、これはただただ石が浮いているだけだ。
もちろん、バランスが取れるならその上に立つことも可能だ。
応用によっては緊急で足場を作ることもできる。
アンウォーマーまで追って来れたのも、この応用を使いこなせたからだ。
そして、最後の簡易詠唱。
「発射!!」
浮かべた石が目に見えないほどのスピードで《引力核》に迫る。
《引力核》は間一髪で命中は免れたものの、頬を擦り、そして線のように赤く染まった。
「やっぱり、君の《能力》は怖いよ。流石、俺の見込んだ暗殺者。強いよねぇ、ボスとしても鼻が高いよ」
「うるさい。あなたに、そんなこと言われる、筋合いは、ない……」
「全く、ゲームごときでそこまで本気にならなくてもいいじゃないか。ゲームだぞ?楽しもうぜ?」
「そのゲームを!!デスゲームに変えたお前が!!そんなこと言うな!!!!」
「デスゲームとは失礼な。あのグループは熱量が足りなかったからねぇ?それを上がるように仕組んだだけさ」
「ゲス野郎が………!」
《スナイパー》が周囲に石の弾丸を大量に浮かべる。
「あなたは、絶対に、生かして帰さない」
「そうかい、やってみることだ……よ!!」
不意に《引力核》が右手を掲げ、重力をかける。
ここに、上司と部下の戦いが始まるーーー
ところだった。
「そこかあああぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
《女傑》、日宮 美花だった。
〉〉〉
「なんなのここ……まだスラム街の方がマシなんじゃない?」
「おい、スラム街を下に見るんじゃないぞ、あそこはあそこでいいところなんだ」
「その話はいいから。早めに《スナイパー》探して撤収するぞ」
「じゃあ、俺は上から探してみるよ」
「《食龍》、上は1人で十分か?」
「たぶん大丈夫だ。白龍を完全に消す前でよかったよ」
「しつもーん、この人混みの中行くのはかなり無理があるので薙ぎ倒して行っていいですかー?」
「後で反感買ってボコボコにされてもいいならどうぞ」
「………やめときまーす」
「まぁ、《睡魔》の名前使えば全員道を開けてくれるけどな」
「え、なに?真人、有名人?」
「あぁ、そういえば《女傑》はここにくるのは少ないよな。《霊卓》の言うとおり、俺はここの奴ら全員と戦って勝ってるから格上だってわかってんだよ」
「ほええ、暇人かよ」
「暇人だ、わるいか」
まぁ、あいつらが勝手に突っかかってきたから返り討ちにしただけだけど。
「とりあえず、《食龍》以外は地上からの捜索で《スナイパー》を探してくれ!いいな!」
「「「「了解!」」」」
〉〉〉
誰が見つけられるか、なんて大した問題じゃないが、これが競争であれば絶対に《女傑》が一位だろうと、俺は思う。
なぜなら、彼女の《能力》はそれに特化したものだからだ。
《能力》、《神経階位》。
神経を操る《能力》。
今の彼女は、《スナイパー》を『感じて』探し出すことが可能だからだ。
人探しなど、一度会ってどんな人かを確かめれば、感覚で見つけることができるのだ。
彼女ほどこの仕事に適した人はいない。
それに、能力の使い方も強烈だ。
まぁ、パッと見た感じであれば多分《食龍》が一番早く見つけそうだが……
そう思っていた時、上から瓦礫が降ってきた。
「!?」
なぜ?
その疑問もすぐに解消された。
墜落した白龍だ。
ビルに向かって白龍が突っ込んでいる。
白龍の上に《食龍》はいない。
どういうことかと困惑していると、上から声が聞こえてきた。
「何が起きている…?」
「何も起きちゃいないさぁ…ただただ俺が邪魔しただけだ、大丈夫、これから俺に殺されるだけなんだから」
「あぁ、それだけか」
俺は、その男の声の言っていることに妙に納得した。
納得してしまった。
「いやぁ、これも『俺がいるのが当たり前』っていう《能力》のおかげか」
「そうなんだな」
彼の言っていることの意味がわからないが、多分、彼が言っているならそうなんだろう。
「《隠し能力》、《隠者》」
裏で組織が、動き始めた。
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