記録19_作戦開始
かの白龍は都市を回るように展開している。
本体(顎門)を攻撃するには、都市の外で上に行ってから再び都市に入り戦うか、白龍の間をぬって白龍の上に行くしかない。
白龍を操っているのは顎門自身なのだから、本体のみをおびき寄せるというのは難しいだろう。
ならば、自分達で行かなければならないのだから、必然的に戦場は白龍の上だ。
つまり、この戦いは圧倒的に顎門の方が上である。
ここから、あの野郎を攻撃することもできなくはないが、それは最終手段として取っておきたいところだ。
「おい、《女傑》、行けるか?」
「確認とかしなくてもここにきた時点でもうできるしぃ〜」
「まぁ、知ってたけどそうだよな、よし、まずは、白龍の胴体から伸びる龍からだ。あれは近づくものを排除する役割だからアレの一掃は必須。いいか?」
「おけ〜」
「翔、お前は『コレ』渡すから隠れてろ。《スナイパー》。お前も一緒だ」
「……わかった。心配しないで。あいつは同僚で共感者だから、私も見捨てない」
おっと、『さっきまで敵だったから逃げるかも』なんて杞憂してたのがバレたか。
まぁ、少しは信頼してもいいか。もしもの時の翔だし。
「…… ねぇ、真人。『コレ』。ってことは、……やるの?え?今日2回目だよ?君、これ使って俺が弱ってたとこ見てたよね?」
「……………頼んだ!」
「早昌、お前は俺と行動だ。あの顎門を叩く。手伝え」
「わかったよ。お前のことだからもう完璧に先が見えてんだろ?」
「そうやって信頼してくれてるのが一番嬉しいぜ、相棒」
「………………ハッ」
早昌は少し笑った後に、俺についてこようと腰を上げた。
その顔を見るのは2回目だが、その笑いの意味はわからないな。
っと、もうそろそろ都市にも被害が出てくる頃合いかもしれないな。
「いいか。今回の目標は、都市の防衛、そして相手の無力化だ。決して倒してはいけない。障害となる白龍を打倒し、その上の顎門を鎮圧しろ!」
「……訂正。彼の名前、顎門じゃなくて《食龍》。覚えてあげて」
「りょ〜!」
「いかにも厨二病って名前だな、真人みたいだ」
「俺の《霊卓》よりいいだろ」
「まぁ、俺も《魔》ってつくから厨二病かもしれないけど………」
「………可哀想だからやめてあげて」
〉〉〉
まず、第一。
《女傑》による、白龍の防衛機能の無力化。
「ま、朝飯前ってやつ?空間とか喰われる前に倒せば別に障害じゃないしぃ!」
ここから見ていると、何かを撃ち出しているように見える。
何を撃ち出しているのかはここからだとわからないが、撃ち出されたところから白龍の動きが変になっていく。
いや、変というわけではなく、普段しないような動きをし始めたのだ。
具体的にいうと、自分達で食い合いを始めたのだ。
空間を飲み込む口だ。
自分が食えないということはないだろう。
どんどんと、胴体から伸びていた龍が減っていく。
何をしたのかはわからないが、あれが彼女の能力なのだろう。
何と言うか、怖い能力だと思った。
真人が動き出した。
「じゃあ、さっき言ったように、2人で隠れてろ。俺の合図が見えるところにいろよ」
「俺たちは、なんかハプニングが起きた時の緊急要因だろ?」
「よくわかってるじゃないか。じゃあ行くから、すぐ来てくれよ」
そういうと、真人は《アイギス》で、早昌は《ポルターガイスト》で飛んでいった。
アイギスは、真人の意思で変化できるし、《ポルターガイスト》で浮かせたものに捕まっていれば早昌も浮遊が可能だ。
空中戦はあいつらしか出来ない節もあるが、あの二人には任せても大丈夫という信頼感がある。
「それじゃあ《スナイパー》さん、移動しましょうk……!?」
一瞬。
ほんの一瞬だけ目を離した隙に《スナイパー》は消えていた。
「!?!?、どこに行ったあいつ!?」
「……ここ」
と、思えば路地裏から出てきた。
「何してんだよ……」
「………………………お花摘み………」
「あ、あぁ、待ってるよ……」
どんなときでも、マイペースな《スナイパー》であった。
〉〉〉
「……翔が心配だ」
「なんだ?お得意の野生の勘か?」
「似たようなもんだ。なんか、《スナイパー》じゃないけど《スナイパー》に関連する何かに接近される気がする」
「いやに具体的だな。未来予知でもしたか?」
「!!!何でお前が…いやなんでもない。そんなことできるわけ無いだろ、いくら《ビリー・ジーン》でも」
「そうだよなぁ…ロマンあるよなぁ、未来予知……」
「そんな無駄なこと言ってないで、もう着くからな?彼女にいいとこ見せれるように頑張れよ」
「ウルセェ、言われなくても準備ならできてるよ」
今、着いたのは白龍の脇を通り抜け、白龍の上に来たところだ。
「正直お前がここまでの大技が使えると思わなかったよ《食龍》」
「…やはり《スナイパー》はそっちについたのか」
「ブラックだから暗殺企業辞めるってよ」
「俺も、その案には肯定だ。だが、お前は信用ならん」
「なぜ?」
「お前からは、全てを騙している気配がする」
「……………それに、確証は?」
「ない、だからこそ、今決めるんだ」
《食龍》は、今まで食ってきた空間を使い、背中から白龍を10体作り出していた。
「行くぞ、早昌」
「俺が出る幕があればの話だけどね」
「いつまでも俺を舐めてんじゃねぇ…」




