記録17_《スナイパー》
高い高層ビルの屋上にて、
「見つけたぞ、《スナイパー》」
「…なぜ私の名を?」
「テキトーだったんだが…ネーミングセンス安直すぎやしないか」
「射的が得意だったから仕方ない」
「射的要素あったか?さっきの攻撃。なんか、設置した場所から撃たれたような感覚だったよ?」
「………さすが世界NO.1。いい考察力」
「で、本題なんだが………」
「あんたらは、敵か、味方か、だ」
「……………どちらでもない、が正解といえる」
「私たちは、雇われの身。仕事はする。」
真人の見解はこうだ。
こいつらは殺し屋であると見抜いたのだ。
火力の高さと、それをバレずにやるテクニック。
そして、どうあがいても勝てないという諦めの眼差し。
自分でも自分が強いと自覚しているから分かる。
彼らは達成できないと分かっていても、やりたくない仕事を押し付けられて、しょうがなく死ぬ思いでやってきていると。
「お前、現状が不満じゃないのか」
「……?」
「無理やりこんな死亡確定みたいな仕事やらされて、嫌じゃないのかって聞いたんだ!」
「…いやでも、やらなきゃ居場所がない。生きていけない。だから、やる」
「端的な行動原理で結構だな。でも、方法はまだあるだろう?」
「………何?」
不思議そうな顔で銃を構え、こちらを向いた。
その目は、どこかちょっとした希望を見出していた。
「俺たちに雇われろ。潰そうぜ?その所属してる暗殺チーム」
「………同情はいらない…」
「同情?かもなぁ。でも、何より自己満なんだよ」
「……自己満?」
「あぁ、お前みたいなのを無理な戦場へ連行してる奴らが心底気に食わないんだ」
「……変な人」
少し微笑んで、そのまま銃口を向ける。
彼女の能力、《撃筒》によって作られた、無限の弾丸が込められた銃口を。
「じゃあ、最低限、私に勝って」
「やってやる、瞬殺だ」
真人の、本気の戦いが始まった。
〉〉〉
「おい、こんなもんか?《睡魔》とつるむやつはもうちょっと強いはずだぜ?」
「そりゃ、小手調べだからな。こんなとこで本気出せるか」
「じゃあよぉ……」
一回後退して薙刀を構える。
「集中してこい。返り討ちにしてやる」
「舐めてんじゃねぇ、コテンパンにしてやるよ」
翔も刀を構えて、振り抜く。
ーーーガキン!
まぁ、当然防がれる。
この状況としてはかなり有利だろう。
状況だけ言えば、相手は片腕を負傷中の中距離近接だ。
そして、こちらは万全、他の装備もすぐに使える。
だが、単純な基礎はあちらの方が上だ。
あいつは片腕でこの刀を防げるが、俺は刀を両手で構えている。
歯が立たないというわけではない。
だが、五分五分といったところだ。器用さがあるが力負けする俺と、押し勝てるが大胆な動きしかできない顎門。
どちらも一長一短。
まだまだ平行線が続きそうだが、そうもいかない。
相手には、自傷覚悟の能力があり、そしてその傷はまだ残っている。
その、能力と傷。
この二つが攻略ポイントだ。
薙刀の大振り、隙をついて脇腹に刀、弾かれる。
薙刀の突き、躱してカウンター、防がれる。
刀で裏を取る、気づいて間合いを詰められる、撲打は避けなければならない、避ける。
どちらの攻撃も紙一重。
一撃も入っていかない。
そんな中、聞こえてきたのは一つの爆音。
どごおおおおおぉぉぉぉ!!!!!
「!!!あれ…《スナイパー》の野郎か!?あいつなら可能かもしれないが……あいつがやられた可能性は………クソッ!」
「ふうぅ、彼女、強かったなぁ。おれには敵わなかったけどいい銃の使い手だった。後で特訓させてあげよう、《集眼》」
やはり、そこにいたのは、予想できるほど当然に、彼だった。
〉〉〉
「…しぶとい!」
《スナイパー》は《睡魔》に撃ち続けている。
が、その弾は一発たりとも当たってはいなかった。
まるで踊るかのように、最小の動きで弾丸を避け続けながら近づいてくる《睡魔》に恐怖を覚えながら、攻撃の方法を転換する。
「…全力、殺す………!」
バックパックから取り出したそれは、紛れもなく強力な爆発物だ。
そんなものが数十個、数百個と用意してある。
それらが宙に浮き始めた。
あいつ、あれを撃つつもりか!?
気づいたときにはもう遅い。
数十個の爆弾を自分の近くで爆発されれば生身で受ければ普通に痛手だ。
しょうがなく、《アイギス》を展開しながら《地獄の門》を地に立てて詠唱を行う。
「汝等、ここを通る者、一切の希望を捨てよ!!」
神曲の詩を読み、今、地獄の門は開かれる




