記録14_真人の試練・終
「うんうん!さっきまで攻略やらなんやらやってた人と、半強制的にモンスターの巣窟に放り込まれた人の動きとは思えないなぁ!」
俺と早昌の攻撃は、ことごとくが避けられ、弾かれ、無効化され、たとえ手を尽くしてもかするだけ。そして、かすり傷もすぐに再生する。
何がどうなっているのやら、俺たちにはわからない。
ただただ、攻撃が一人でにあいつを避けているようにしか見えない。
だが、俺等では見えないそこでは、彼の努力が実を結んだものが光り輝いているはずだ。
あそこに届くためにはまだ俺には圧倒的に時間が足りていない。
このゲームにかけてきた時間も、熱量も、俺たちでは全くもって敵わないと理解させられる。
「策はある!?早昌!」
「ある訳ないだろぉ!?まずはあいつの動きを見てからだ!お前、視力がいいだろ?」
まぁ、俺の武器とも言える、集中力と動体視力だが、それをもってさえギリギリ捉え切ることができないほどの素早さ。
とりあえず、できるかはわからないがやってみるか……。
「いいか?まず俺があいつを撃ったら真下に走り込んで、靴に《ポルターガイスト》を使ってみてくれ」
「なるほどね。まぁ、言いたいことはわかった。成功する確率は極めて低いだろうがな」
そう言いながらも準備するところ、やはり切羽詰まっているのだろう。
「そんな、大人しく撃たせるとは思わないことだよ」
標準を定めている最中に、こちらに最速で近づいてくる。
が、
「そっちこそ、最高の読み合いをした二人に罠にかけられたっていうのを覚えとけよ!!!」
刹那、変化があったのは剣と鎧。
早昌の《ポルターガイスト》により剣は動かなくなり、右脚も停止。
そこで、俺は刀を構えて首を見据える。
「案外、頭じゃ負けてないのかもな」
光り輝く刀による一閃が、真人の首に迫った。
〉〉〉
まぁ、そう上手くはいかないか。
刀は地面から盛り上がった鉄の塊で遮られている。
見たことがある。
アレはあの鎧の能力。
変幻自在の鎧。
名を《アイギス》と言っていたはずだ。
意志次第であの鎧は剣になり、盾になり、槍になり、壁になり、鎧になる。
あいつも、あいつが使う武器も化け物級。あの剣だってそうだ。
《地獄の門》
能力を使うと門に変化するが、その門の中は地獄。
即死級の空間が全てを飲み込むように作られた地獄へと招待される。
それも、入れるも入れないも所有者の決めることだ。
あの鎧と剣は動かなくして正解だが、その選択が吉と出るか凶と出るかはまだわからない。
鎧が刀を絡めとる。
鎧の動きを止めることはほぼ不可能に近いだろう。
少しでも触れていない場所があればまた増えるだろう。
なるべく触れておくことに越したことはない。
あいつが鎧から出られなくなれば仕留めることは容易だ。
そんなことを考えていれば鎧から出てきそうな雰囲気だ。
早く《ポルターガイスト》で固めておこう。
メシメシ…
あ、思ったより早いかもな……。
〉〉〉
チッ、刀が抜けない……。
刀は諦めて別の方法を……っと。
まずいな、魔力切れの消耗が激しい。
ついよろめくなんて。
体が重い……。
メシメシ……
真人の鎧から軋む音が聞こえる。
刀か、もしくは鎧か。
いや、その両方だろう。
だが、あの変幻自在の鎧は驚いた。
かなり高位の装備だっだだろう。
この刀で打ち勝てる気はしない。
だが、ここまで戦えたのは想定外。
瞬殺の未来しか見えてこなかったから、ここから形勢逆転が出来るかもしれない。
その瞬間、鎧に変化があった。
鎧が、爆ぜた。
〉〉〉
近くにいた翔も早昌ももろに被害を食らった。
主な傷は……針だ。
針を四方八方に作った鎧を内側から衝撃を加えて針を飛ばし、擬似的な爆発を起こしたのだ。
「クソ、これが戦闘IQの差か…」
「まだ負けてねぇよ、ほら立て」
かなりでかい針をもろにくらい、結構な致命傷だ。
だが、それはあちらも同じだ。
「二人とも成長してるなぁ……」
今のあいつは、銃弾を1発、そして剣で腹を一文字に切り傷があった。
爆発した瞬間、鎧が飛び散り無防備になった時に傷を負いながらも攻撃を果たしたのだ。
本当ならば、頭に3発、そして上半身と下半身は繋がっていなかったが、そこはさすが世界最強と言えるだろう。
「まぁ、おめでとう。手は抜いたけどこれで君たちも世界最強に爪の先の一細胞ぐらいは届いたんじゃない?」
そして、いとも容易く再生してみせる。
これが本当の試合ならば、確実に負けは確定していた。
だが……
「今日は頑張ったからこれで終了だ!いや〜5日目にして大豊作じゃないか!魔力は上がり、刀もそれなり、そして長所の視力と集中力も鍛えられた。上々だね!うーん、これは祝勝会だ!祝おう祝おう!」
これはまだ『試練』。
実際の試合ではない。
これで真人も満足してくれたようだ。
「「あっ…………ぶなかったぁ〜………」」
後から来るのはとてつもない疲労感と、世界最強に少し届いたという爽快感だった。




