記録13_真人の試練・5
「まさか《ゾンビ・フィーバー》をこんな簡単に越えられるとはなぁ」
「なんか名前変わってる気がするんだけど」
「え?《ゾンビ・カーニバル》であってなかったっけ?」
「なんでも良くね?」
正直めんどくさい。
「で、試練の結果だよ。早く教えてくれ」
「そんな焦るな、結果は逃げない。俺は逃げたい」
「結果聞いたら逃してやるから」
「そこはツッコんで欲しかったよね!」
と他愛もない会話を繰り広げ。
「まぁ、結果はわかってるだろうけど発表します」
ドラムロールが始まる。
一体どこからなっているのか。
どぅるるるるるるるるるるるるるるる、でん!
「ごーかくでーす、ぱちぱちぱちー」
「おぉ!普通によかっt…」
「だから、早速歓迎会を始めるよ?」
歓迎会。
真人は、その言葉の真意を疑わせるような剣を持ちながら、ニッコリと笑いかけてきていた。
「さぁ、その3。真っ向勝負No.2のはじまりだよ!」
〉〉〉
一瞬、行っている意味が分からなかったが、自分の反応速度ギリギリだった攻撃を受けてようやく今の状況を理解する。
試練は、まだ終わっていない。
先に望んだ『真人とゲーム』がすぐに実現するとは思わなかった。
だが、これは。
「一方的な、蹂躙……」
「そうそう、まず君に俺に勝つことを期待してないから」
ずっと直視していたはずなのにいつの間にか真人は目の前にいた。
「まぁ、傍から見ればいじめに見えるかもだけど、実際そうだし、後でもしないと俺は実力を測れない不器用なやつなんだ」
真人の動きを捉えることができない。
どのような軌道で、どのような体勢で、どのくらいの早さか。
理解ができない。
それに、なぜだ。
流石に、動きが、鈍すぎる。
スローモーションが過ぎ……
まて、あいつはまさか…
「おっと、動きにくいことに気づいたかな。それが、《ビリー・ジーン》だ」
「!?!?」
今、たしかに《ビリー・ジーン》って……。
「《ビリー・ジーン》は確かに、時間の流れを操る能力だが、『自分だけ動ける時間』、まぁ、一見時間停止状態みたいなことだったらできるんだけど、それだと現実の時間軸と噛み合わなくなる。だから、『自分だけ動けるけどみんなの意識はある時間』になるわけ、ここまではおーけー?」
急に《ビリー・ジーン》の解説を始めたが、まだまだ話は続く。
「たとえばこうよ。
もし、俺が今で時間停止状態にしたとしても、その中で動けるのは俺だけであることには変わりないが、現実世界では時間が止まってないわけだから時間停止した世界を自分の視界から見ることができるわけだ。だから、ジ⚪︎ジ⚪︎のように投げたナイフが刺さるみたいなことは、投げたって相手はわかってるから対応されたらどうもできないわけ」
すげぇ説明だが、まぁわかった。
つまり、時間は止まるが動かなくなるだけってわけだ。
「だから、それを利用して、今度は速度をもう少し早めてみよう。するとどうなるか。自分も相手も動いているから何もされてないように見えるが、実はその裏、相手はかなりゆっくりとしか動けていないが、自分はちゃんと等速で動けるという、よく考えなければわからないこともできる」
さっきの動きが鈍くなったのはそれが原因か。
「そして、次は、普通よりも早くしてみよう」
ギュン!
「なっ……!?」
今、少し手を動かそうとしただけで、腕に振り回されてしまった。
「これが、時間の流れが早い状態。老いとか空腹感は出ないけど、全て、少しの力を入れればすぐに動いてしまい、動きすぎて肩が外れるなんてこともある。走りも早くなり、当然、銃弾のスピードも速くなるが、一番効果があるのは人体だ。この状態はもう違う環境に来たと同意だ。慣れが必要だが、この状態を俺は使いこなせるよう特訓したから、相手とは違う、『慣れ』というアドバンテージを持てる」
高速でこちらに近づいてきて言った。
「この能力は《恐怖の館》の応用だ。《恐怖の館》は全く違う世界線に空間を作り上げる能力。だから、その管轄は俺で、この世界と《恐怖の館》の空間の時間の流れの関係を変えられる。たとえば、《メビウス》で1分経てば《恐怖の館》で10秒、などだ」
だんだんと、わかってきた。
つまり…
「体に《恐怖の館》を纏うことにより、この《ビリー・ジーン》は実現するのだ。すげぇ複雑に解説しちまったなぁ?ご理解いただけたかなぁ?」
かなり、理解はできたが、くそ。
自分にはまだ能力がない。
能力がある状態とない状態では、まったくもって力の差がある。
今の俺では…勝てない………。
「おいおい、早昌ー?ちょいちょい、準備できたなら来てよ?」
『今行くよ!』
念話のように聞こえてきた声は、早昌の声だった。
そして、何もない空間からやってきた。
「おい!真人!なんでこんな短時間のパワーレベリングみたいなことさせるんだよ!?ふざけてんのか!?!?」
さらに強くなった早昌と、
「じゃあ、まだまだ体力ありそうだし、翔と組んで倒しに来い」
俺、翔で、
真人を倒すことになった。




