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記録105_我流






 はっきり言ってしまえば、《愚聖者》の能力(アビリティ)は最強格だ。


 きっと、あの能力(アビリティ)と真正面から戦うのは《四天王》でも至難の業。



 しかし、しかしだ。






 ()()()()なんだ、《愚聖者》にあるのは。





 奴には能力(アビリティ)しかない。


 それ以外の何もないんだ。


 高いプレイスキルがあるわけでもないし、予測力が高いわけでもないし、特段高い頭脳プレイができるわけでもない。


 口達者なわけでも、意表を突けるわけでも、意思や信念があるようなわけでもない。




 ただただ、強い能力(アビリティ)で胡座をかいているだけ。



 なら、その部分で勝負すれば、手こずる相手ではない。






 《風姫》が大きくまわり込み、刀を振り抜く。




「……風走一刀流!《一の次》!」



「!?フッ!」



 砂が舞っている中、明らかに《愚聖者》に当たらない場所に刀を振る。



 《一の次》は、風走一刀流唯一の遠距離攻撃が可能な攻撃だ。



 【牛歩】の型による緩急の“緩”の部分であり、ゆっくりながらも力強さが溢れる刀法だ。



 それによって生み出された風圧は切れ味を持ち、それはゆっくりなだけあって何者にも押し負けない力強さが含まれている。






 それは、《愚聖者》の『舞う砂を攻撃する』ということを異常に認定させていても、攻撃は《愚聖者》に届く。




「チッ、そのような方法が……」




「今、“早昌入り《錬金翁》さん”が頑張ってんだ。パパッと終わらせてやるぞ」



「了解、ですっ!」






 そう言いながら、《カタクリフト》は無限に拡大される自身の身体で《愚聖者》に迫る。



 しかし、《愚聖者》だって無抵抗でやられるわけでは無い。




「宣言する!これから円柱型半径5メートル以内に新しく入るった物質が消滅しないのは異常である!!」



「またブラフか?言わなくても発動できるんだろ!?次は何の認識を変えやがった!?」





 そういいながら、《全自動(フルオート)モード》によって巨大化した腕を伸ばすと……………消滅した。






「フハハ、今度は正直に言ってやったよ。さぁ、消滅しろ、そして、現実世界でも大人しく死んでるんだな!《カタクリフト》!!」






 ある一定の部分まで腕を突っ込むと、片腕が消滅した。





 しかし、現時点の《カタクリフト》は《全自動(フルオート)モード》の真っ最中。



 つまり、腕が消滅しても、本体から増殖させて増やせばOKなんだ。




「……平行線ですね。実につまらない。どう決着をつけるつもりで?このままでは私が勝ってしまいますよ?」



「ハハッ、お前、マジで言ってんのか?」


「???」







 《カタクリフト》が指を刺し、嘲るように言った。




「もうお前、詰んでるよ」



「なにを根拠に……!?」




 指を刺した方向には、《風姫》。


 ちょうど今、準備が完了したようだ。





「風走一刀流。我流、【侍】の型、《一閃舞》」




 其の技、《愚聖者》を打ち倒すために作られり。


 《隼鬼》には扱えない、《武功超過》ありきの技。


 一閃にて終とする、巨大にして至高の斬撃。





 それすなわち、特大強化版《一の次》と同義である。






 それこそが、《一閃舞》。



 《愚聖者》が振り向いた時には、もはや斬り終えていた。




 《愚聖者》は、頭蓋骨と胴体を綺麗に二つに割られ、美しい断面を晒しながら二つに別れて倒れた。



 そして、《風姫》はこう言い捨てた。




「……………これにて………終幕、!!」







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