記録102_帰還した規格外
「なんで、帰ってきたあぁ……《錬金翁》ぅ!この老いぼれジジイがぁ!!ゲームに興じてるだけの身体じゃあ何もできやしないだろうがあぁ!!それがなぜ……」
《咎人》が激しい動作で頭を抱えながら叫ぶ。
それに対して《錬金翁》は何の気もなく、
「もちろん、俺みてぇな老いぼれの力でどうにかなったわけじゃねぇ。ほーんとに超強力な助っ人が、近くに住んでたみたいだったんで、なぁ?」
「ハッ、言ってろ」
《錬金翁》が《霊卓》目配せすると、《霊卓》は心底くだらなさそうな顔をしながら吐き捨てる。
「……ひやぁ、《錬金翁》さん、帰ってきてくれて助かりましたよぉ。これ以上時間稼ぎ続けるのは大変で大変で………」
「お、おぉ……?その…《風姫》?がー、足止めしてたのか?」
「えぇ、驚愕の事実ですけど、《風姫》が足止めしましたよ」
「そんな!!ちょっとぉ〜、そんなに驚きを誇張しなくていいじゃん!!」
「あ、そうか。ありがとう、《カタクリフト》。《法則の破壊者》は使わないが、行けるか?」
「………なるほどね、オッケーだよ。楽しくなってきたじゃん」
何かに気づいたのか、《カタクリフト》は一瞬で砕けた口調となる。
「……ほえぇ!?あんた、そんなキャラだっただっけ!?」
《風姫》がそう驚くのも束の間、《錬金翁》と《カタクリフト》は《咎人》へと狙いを定めて走り出す。
「倒す算段はついてる?」
「もちろん決まってらぁ!俺が《錬金術》で道を開けるから、アンタはそれまで温存だよ!!」
「舐めやがってぇ……《カタクリフト》、お前は常時能力発動状態だろうが!!《罪》!!」
『規則違反者。罪禍の処刑を執行する』
走りくる《カタクリフト》に対するは、《罪》により必中の糸。
必中の斬撃なんて、大層なものじゃない。
必中の斬撃と言うならば、斬撃というのは対象を斬るものだし、切らなければおかしいのだ。
しかし、必中の糸は違う。
おおかた、銃弾よりも細く、硬く、速いワイヤーでもこの会場に張り巡らせていたのだろう。
それを、《錬金翁》……と言うよりも、真竹 蓮蔵には視認できなかった。
しかし、彼は違う。
彼は、今この場にいる人間の中で唯一、それを視覚できる人間だを
「《錬金翁》さぁん!?頼みましたよ!」
《カタクリフト》がおもむろにジャンプする。
《錬金翁》は、それに合わせて足場を作る。
その足場を歩む《カタクリフト》に、必中の糸が迫り……。
《錬金翁》が足場を一瞬で沈め、必中の糸は狙いを逸らされた。
「「な、なあぁっ!?!?」」
《咎人》と《愚聖者》は、訳のわからない状況に、声を合わせて驚愕した。
観客席で、《霊卓》がひとりごつ。
「……だから、言ったろ?面白いことが起こるって」




