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記録101_《亡者の一太刀》








 まず、問おう。


 風走一刀流とは?





 それは、《隼鬼》が自分自身のために作り出した、速さに主を置いた刀術である。





 故に、風走一刀流は基本、《隼鬼》と同等の速さを出力できるステータスを持っていないと扱えないのだ。





 風走一刀流を型の数の順番に撃つことによって使うことができる《罰天》も、その《隼鬼》特有の速さによって爆発的な威力を引き出すことができる。





 彼女、《風姫》の能力(アビリティ)は、確かに特別かもしれない。



 《武功超過》、彼女が起こす行動を拡大化させる能力(アビリティ)事象(マター)で自由に扱うことができずとも、上手く使えば上位プレイヤーに成り上がれる。




 しかし、《隼鬼》が他人の使用事情度外視に加え完全自分用として作り出した刀術を、完璧に使いこなせるか、と問われると、答えはNOだ。




 確かに《武功超過》は素晴らしい能力(アビリティ)だと思う。


 素人が使ったとしても、そこらのプレイヤーとは比にならないくらいの強さだろう。





 だとしても、《隼鬼》の使う風走一刀流には、どうしても及ばない。



 いくら《武功超過》で速さが《隼鬼》と同等になったとしても、それはどこまでいっても「模倣」だ。





 《罰天》も、隼鬼の使うものには及ばない、劣化版であった。








 それは、《風姫》にもわかっていた。



 だからその足りない部分は、醜く足掻いてでも補うことにしていたのだ。






 《武功超過》によって、スピードの問題はクリアできた。




 風走一刀流は、スピードをエネルギーとしてそのまま攻撃するので、攻撃力や刀の鋭さはいらない。




 そのため、《風姫》が使ったのは……。









「《亡者の一太刀》、だよ」




「「!?!?」」





 先ほどの戦いで使っていたから、それがどれほどのものかはわかっていた。




 しかし今は、《罰天》という大技を前にして、その技に対する反応で精一杯だったのだ。




 《罰天》という技は、超広範囲に及ぶフィールドの中で、限定した対象の元に天から斬撃を与える技だ。



 その斬撃は計10回。


 天から×の形をして降り注いでくる。





 それには雷属性も混じっているため、物理無効の敵にも有効だ。



 このように、機能性だけを危険視しすぎていた。




 さらに、《罰天》は大技なため、隙が大きい、技の発動直前にエフェクトがかかって避けやすい、モーションが目立ちすぎて視界の邪魔、などなど。





 さすがに盛りすぎなほど《罰天》は目立つし、強い攻撃だ。








 だからこそ、それを再現した際に、ちょっとした変化が際立つ。




 その「ちょっとした変化」の一つが、《亡者の一太刀》。







 呪いや破滅、苦悶など、弱体化デバフてんこ盛りの武器であんな大技撃たれたんだ。



 かなりの痛手だろう。








「があ、ぁっ………」





 今までずっと見てきたと思っていて油断していたプレイヤーにボコボコにされた《咎人》と《愚聖者》は、ぐったりとしていた。




 そんなところにひとり、コロシアムに入り込んできたやつがいた。


 ポコン、と鳴り、観客席に誰かがテレポートしてくる。




 その者は………。











「ふぃ〜。つっかれたわぁ〜。マジで、こんな労働初めてだったぜ」





「れ、………《霊卓》ぅ!!お前、今までどこ行ってたんだ!!」


「どこって……学校?」



「学校は休ませたって………。《睡魔》から聞いてる」



「あちゃ、誤魔化せなかったか。まぁ、これからおもしれぇ事が起きるから、見とけよ?」




「??あぁ。わかった(………《霊卓》って、あんな喋り方だったっけか……?)」






 そう思いながら《咎人》と《愚聖者》に向き直り構えると、もう一人、()()()()()










「いやぁ、待たせたかもな」





「待たせすぎたと思うぜ」


「どうですか!?私一人でここまで頑張りましたよ!!」




 《カタクリフト》と《風姫》の声が重なる。



「「《錬金翁》」さん!!」




「さぁ〜……て、いっちょ、やるかぁ」









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