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プロローグ
私と彼女が出会った時のことを、よく、覚えている。
さらりとしたショートヘアを揺らし、彼女―リズ―は屈託なく笑っていた。
これは没落貴族から上級魔女を目指すべく奮闘する彼女と、若くして前線を退く羽目になった“元”・上級魔女の私が出会い、旅をし、かげがえのないパートナーとなるまでの物語である。
〇
ひどい夢をみている。私にはそれが夢だとわかるのに、目を覚ます術がない。脳内の私が冷静に囁く。
(大丈夫、終えた仕事よ、冷静になって)
分かっているのだから、恐怖なんて感じなくていい。全身にめぐる魔法の力だけを緩やかに追いかけて、地面に流せばいいだけ。ゆっくり、しゃがみこんで、丁寧に。
けれど、私はこの魔法が成功しないと知っている。この後、わたしは時空のひずみに落とされる。何度も経験したことだ。何度挑戦しても上手くいかない。
――――何度も、夢で、一度も、決して。
これは私が、前線にいたときの最後の仕事だった。
はじめてなので勝手がわかっていません;; 楽しく細く長く頑張ります