気づいたら竹の中
気づいたら竹の中
「っていうか、これって何!?」
なんかめっちゃ狭い!!…ような気がする
めっちゃ圧縮されてる!!…ような気がする
なんか外も雰囲気見えてる!?…ような気がする
(いや、なんとなく明るい気はするんだけど、なんなのここ?なんか気持ち悪い)
実は彼女がいるのは竹の中…と言っていいのだろうか、実際には割ときちんと管理された竹林の中の、割と太く育った竹の、したから2節目ぐらい、うっすら光って見えるところに押し込められていた。
なんとも不思議な感覚、中で体勢を入れ替えられないわけでもないし、動けないわけでもないのだけれど、サイズ的にはどう考えてもおかしい、そんな状態。
とはいうものの…
……
(うん、なんか慣れて来た)
なんとも常人離れした適応能力を持つ女子高生であった。
(慣れて来たけど、んー、外はどんな感じかなー)
器用に体勢を変えて外を見ようとすると、なんとなく竹の外が覗ける。外は多分普通と言えるような竹林、というのも、ほとんど竹林なんて見たことないのだけれど…
(あ、なんか来た。けど、え?何あれ??)
見えたのはなにやら茶色の二足歩行する動物、背中には大きな鋏。ぽっこりお腹に丸みを帯びた耳、全身ふわふわっぽい毛並み。
(たぶん、たぬきだよね?ハサミ持ってるけど)
おそらくたぬきは、背負った鋏をよっこらせ、とおろすと、少しヨタヨタしながら近くの竹をチョッキン。
切ったと思うと、竹の根元の方はなぜか淡い光と共に消え去り、上部分だけをさらにハサミでチョキチョキ、短くなった竹を鋏と一緒に背負おうとしてる。
なんともコミカルな影像…
そうして何やらどっこいしょ、と竹を背負ったたぬきは、ふとこっちを見たと思うと…
一瞬目がまん丸になったものの、すぐにぷいっと、向こうへ顔を背けた。
まるで、見てませんよー、的な感じ。
「いや、あんたこっち見たでしょ!!」
思わず突っ込む竹の中の女子高生。
はたしてたぬきの反応は?