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"鉄"の決意

今回は番外編ですが、本編に繋がります!

是非お楽しみください!

私の家は決して裕福ではなかった。脚の弱い3つ下の夜隅(ヤスミ)という弟と、すぐに暴力を振るう母親との3人で暮らしていた。父は弟が産まれてすぐに死んでいる。当然、父の顔も声も知るわけがない。


母は歩けない弟に手をあげるようなクズな女だった。


「なんでお前は歩けないのよ!あんたのせいで私はこんな苦しい思いをしてんのよ!」


弟は臆病で怖がりな性格だ。


「ごめんなさいっ...ごめんなさいっ...!」


泣きながら母に謝る弟を見るのは、とても辛く私は母親が弟を殴打する音を消すために耳を塞いだ。心の中で弟に謝ることしか出来ない惨めな兄だ。


(ごめん...ごめん...)


母は気がすむと自分の部屋へ行きタバコを何本か吸い床に就く。母が部屋に戻ったタイミングで私はすぐにぐったりとしている弟の元へ向かう。


「ごめんな...ヤスミィ...」


体と顔は傷だらけで、俺はただ弟を抱きしめることしかできなかった。


「兄ちゃん大丈夫だよ、いつものことやから」


ヤスミは臆病で怖がりだが、とても優しい性格だった。

俺の言うことは何でも信じて、いつも笑っている。クズな母とは対照的な息子だった。


母は自分の身体を売って生計を立てていた。と言っても母は自分の衣食住を賄うので精一杯で、私と弟を放棄していた。「この家に置いてやってるだけでもありがたいと思え」が母の口癖だった。


私は物を盗むかゴミ拾いで貰える、はした金で弟にご飯を食べさせるために頑張る毎日だった。


「お兄ちゃん、俺物を作るのが好きなんだ!いつか、すっげーでかい家作ってお兄ちゃんと2人で住むよ!」


小さかった弟に俺は粘土を買ってあげた。歩けない弟のために買ってあげた粘土は弟の暇つぶしに貢献してくれていたらしい。


「大きな家かー、楽しみにしとるよ。けどこれは母さんには言ったらだめだぞ」


こんなこと知られたら何をされるか分かったものではない。傷だらけの弟は粘土で小さな家作っていた。俺それを見ていて哀愁漂う弟に話しかけずにはいられなかった。


「ヤスミ」


ヤスミは首だけクイッとこちらに向ける。


「なに?お兄ちゃん」


なんでもない。って言うのもひどい気がして、思いついたことを笑顔でヤスミに答える。


「えーっと、お兄ちゃん粘土の家に住むのは嫌だからな」


ヤスミも笑顔で俺に答えてくれた。


「安心してよお兄ちゃん、鉄みたいな頑丈な家を作るよ!約束する!」


「それは楽しみだな、男と男の約束な!」


すぐに忘れそうな子ども同士の約束を弟として、弟を寝かしつけて、私も床に就いた。


次の日に私は本屋に向かっていた。ボロボロの本屋だが弟の暇をつぶせる本くらいは売ってるだろう。ある一冊の本を見つけた。

いろいろな武器の図鑑で、当時私も刀や槍はカッコよく好きだったので、迷わずその本を手にした。するとレジのおじさんが私に話しかけてきた。


「おい小僧、武器とか好きなのか?」


ビックリしたが、好きなのは事実だったので小さく返事をする。


「うん、好きだけど...」


「そうか好きか、隣まちに鍛冶屋がいるそうだから本物の武器見せてもらったらどうだ」


レジのおじさんは吐き捨てるように言い、その場を去っていった。


家に帰るとヤスミは昨日よりも傷が増えていて、ぐったりとしていた。すぐにヤスミの元へ駆け寄る。


「ヤスミ!大丈夫か!あの女またヤスミを...絶対許さないからな...」


母に聞こえない小さな声で呟くと、ヤスミが私よりも小さな声で呟いた。


「お兄ちゃん、俺は大丈夫だよ、お母さんに逆らったら絶対ダメだ...」


小さな手は私の胸を引っ張っている。力弱いその手に私は止められた。ヤスミを元気づけるために今日買った本を見せてあげる。


「そうだ!ヤスミ、いい物買ったきたぞ!」


ジャーン!と私は弟に今日買ったボロボロの中古の本を見せつける。


「スッゲー!なにこれ!カッコいいなー!」


どうやらお気に召したらしい。喜んでもらえて光栄だ。しばらく弟もこれで暇をつぶせるだろう。


「お兄ちゃんって武器とか好きなの?」


図星だった。弟には言ったことなかったので、ビックリしてしまった。


「まぁ、ちょっとだけな...。」


恥ずかしくなり、ボソッと答えると、弟は目を輝かせている。


「じゃあさ!お兄ちゃんも作ろう!」


考えたこともなかった。私が物を盗むかゴミ拾いを拾う以外に。うちに何かをするお金などあるわけないが、弟に背中を押されて私は決断した。


私はレジのおじさんの言葉を思い出す。すると口が頭よりも先に動いていた。


「おいヤスミ、明日隣まちに行くぞ!」


弟は不思議そうな顔をしていて、首を傾げていた。


「隣まち?なんでそんなところに行くの?」


さっきまで目を輝かせていた弟の輝きが私に映ったらしい。


「写真じゃなくて本物を見に行くんだよ!よしヤスミ!すぐに寝て、明日行くぞ!」


弟は訳わからなそうだったが、うん!と頷いてくれ、早く明日に行きたいと思い私と弟は眠りについた。


弟を車椅子に乗せてあげる。もちろん車椅子を買う金はないので商業施設から盗んだものだ。


「楽しみだな、ヤスミ」


車椅子に座っている弟はこっちへ振り返り、返事をしてくれる。


「ああ、楽しみだね、兄ちゃん。」


とニコニコと返してくれる。


弟と出かけるのはいつぶりだろうか。しばらく歩き隣まちに着いた。鍛冶屋はどこにあるんだろうか?

しばらく歩いていると大きな音のする、ボロボロの建物があり、そこへ近づくと刀が置いてあった。

私と弟はしばらく、複数ある刀を眺めていた。


「刀ってカッコいいなー兄ちゃん。これを作った人ってどんな想いで作ってるのかなーすげーなー」


弟の言っている意味が分からなかった。


「作った人の想い?そんなのどうでもよくないか?」


そう言うと弟は説明してくれる。


「こんなすごい物を作れる人ってどんな物見てるか気にならない?きっとすごい世界が見えてるに違いないよ!」


どんな想いで作っているか...言われてみれば確かに気になるな。


どんな想いで作成者が作っているか気になっていると、その本人が話をかけてきた。


「おいお前ら、さっきからワシの刀見てなにしてんだ?」


耐熱性のある作業着と手袋をしていて、白髪を後ろで括っているおじさんが出てきた。


すると弟がすぐに言葉が出なかった私の代わりに答えてくれる。


「すみません。ただ刀がカッコよくて見てただけです。」


そう言うと、鍛冶屋のおじさんは微笑みながら手招きしている。


「お前ら物好きだな!もっとすげーものあるから、こっちにこい!」


私と弟は顔見合わせ、お互いラッキーと思い鍛冶屋の中に入った。


「ワシの名前は羽金(ハガネ) 根治(コンジ)だ。おめぇら言い方わりぃけど随分見窄らしいなー。ちゃんと飯食ってんのか?」


ボロボロの服に痩せこけた私たちを見ればすぐに分かるだろう。


「あの!俺おじさんみたいな刀作りたいんです!ピカピカでカッコいい!」


話を逸らしたかった私は、おじさんについ口走ってしまう。


「ワシみたいになるのは楽じゃねぇぞ小僧、何十年も頑張れる根性がいるからな。悪いことは言わねぇ、やめときな。」


もう引き下がれない。少し感情的になり、自分の想いを伝える。


「確かに俺たちの家は、お金はないし、刀を作れる技術もない、です。今まで、自分の生きる意味が分からなかった、でも初めてやりたいことができたんです。勝手なのは分かってます。それでも俺たちに刀の作り方を教えてくれませんか。お願いします!」


私は深く頭を下げた。


「お、お願いします!」


私が頭を下げているのを見て弟も頭を下げて、遅れてお願いしてくれた。


少し間が空いて羽金さんは口を開いた。


「お金がねぇ奴らに刀作り方は教えれねぇな、てめーらがワシみたいになるのは何十年掛かるかわかんねぇぞ、それでもお前たちはやるのか?」


頭を下げた状態で答える。


「俺たちにはそれしかないんです。」


刀を作れる技術も知識もないが、それでも私は強い意志を持っていた。


そう言うと羽金さんはゲラゲラと笑っている。


「ハッハッハ!すごく硬い意志もってんじゃねぇか!鉄みてぇな硬い意志がな!ワシでもその鉄の意志は曲げれそうにねぇ!ちょうど弟子が欲しかったんだ、金なんぞいらねぇが根性なかったらすぐ帰らせるぞ?」


私と弟は顔を上げて、羽金さんに期待を込めて聞いた。


「それじゃあ...教えてくれるんですか?」


羽金さんはすぐに答えてくれる。


「根性あるやつは大歓迎だ。なんつっても根性の根は根治の根だからな!ガッハッハ!」


羽金さんは嬉しそうに笑い、私と弟も顔を見合わせ嬉しそうに笑った。


その日から私と弟はほぼ毎日、5年くらい羽金さんの鍛冶屋に行くことになる。母は私たちのことなぞ興味ないので、むしろ家にいないのは好都合だっただろう。


「根治さん、どうですか?」


5年が経ち私と弟は毎日、毎日、鍛冶屋に通っており、すごいスピードで成長していた。


「すげー綺麗な刀だ、だがおめぇの刀は魂が足りねぇ。刀ってのはな、ただ焼いて叩けばいいってもんじゃねえんだよ魂込めて叩かねぇと刀は応えてくれねぇ。弟のヤスミはもっといい刀を作るぜ?おめぇも技術はあるんだから頑張れよ。」


しかし、私は弟よりも刀を上手く作ることができず、弟と少しずつ溝ができていた。


「お兄さん、僕の刀見てよ!すごく上手くできたんだ!」


当時の私は、頭を下げて刀を作りたいと言った日の私ではなかった。弟よりも良い刀を打つために刀を作っていた。なので弟を突き放すようになっていた。


「うるさいな!なんでお前は刀を打ってるんだよ!刀を作るのは俺の夢だっただろ?俺の真似ばっかするなよ!」


感情的になって言い過ぎたと思い、我に戻り言葉を止めた。

やるせない顔をしている弟は私に謝った。


「ごめん、お兄さん。」


私も少し冷静になった。


「......お前は悪くないよ。俺も言いすぎた。」


しかし、ヤスミにごめんと謝れなかった。私は後に謝らなかったことに後悔する。


「兄さん、俺明日家に帰るよ。コンジさんもこの刀をすごいって言ってくれたし、母さんにこの刀見せたら俺と兄さんを受け入れてくれるかもしれない!」


当時の母さんと私たちは疎遠状態だった。数ヶ月帰らずに根治さんの家に泊めてもらうこともあった。弟は優しい性格だ。1人の母に認めてもらい、また3人で暮らすために刀を見せにいくらしい、あんなクズな女のために。

次の日、弟は雀の涙よりも小さな可能性を願い隣まちの家て帰った。


当時の私は心身共に疲弊しており、弟を止める元気はなかった。何よりも弟がなにをしようとどうでもよかったのだ。


根治さんの作業音で目が覚めた。外は雨が降っていて、朝なのに薄暗く、少し肌寒い。ヤスミは部屋にいなかった。家に帰ったのだろう。

作業場に行くと、根治さんは土台を作っていた。弟のヤスミは足が悪く、車椅子では作業できない。根治さんはヤスミのために試行錯誤し刀を打てるように土台作りに明け暮れていた。


「根治さん、おはようございます。」


作業音が大きいので根治さんの近づき、挨拶する。すぐに気づいてくれ、根治さんも返してくれる。


「おう、起きたか。ヤスミのやつさっき家へ帰ったぞ。おめぇは帰らなくていいのか?」


弟の名前を聞くと少し、胸が重くなる。下手な作り笑いをして根治さんに答える。


「俺は大丈夫ですよ。ヤスミみたいな良い刀を打てないので」


根治さんに対して、嫌味のように皮肉を言ってしまう。根治さんは真面目に私に言う。


「結構前に聞いたんだけどよ、あいつはどんな刀よりも硬くてでかい家を作りてぇんだとよ。だから刀を打ってるんだとよ。ヤスミのやつ楽しそうに刀を打つぜ?今のおめぇはどうだ?誰のために刀打ってんだ?てめぇのために魂込めて打たねぇと良い刀なんかできる訳ないだろ。てめぇはてめぇの思う最高の刀を打てばいいんだよ。」


昔弟が言っていた言葉が蘇る。

『いつか、すっげーでかい家作ってお兄ちゃんと2人で住むよ!』


目が覚めた気がする。気がつくと私は根治さんの「気をつけてな」という言葉を背に走り出していた。


ヤスミごめん。私は昨日ヤスミに酷いことを言ってしまった。ただそれを謝りたかった。

雨が降っていたが傘もささず、寒さも忘れて走っていた。


隣まちに近づくにつれ、雨が強くなっていた。家に着き、ずぶ濡れで入るのは抵抗感があるが、空気がおかしい。弟は家に帰っていないのか?今は昼で夜職の母もいつもなら家にいるはずだ。それなのに家の中はやけに静かで嫌な予感がする。


ビショビショに濡れているせいか、寒気がして、鳥肌が立つ。恐る恐る私は家に入り、リビングへ向かうと、私の予感は当たってしまった。車椅子が倒れており、倒れている方を見やると弟が血を流して倒れていた。弟の側には血が付いた刀が落ちている。ヤスミが作ったものだ。


昔の光景が頭に流れる。いつも弟は母に殴られぐったりとしていた。しかし、今回は訳が違う。

俺は酷く動揺していた。


「うぁぁぁぁぁぁぁ!」


俺はヤスミの方に駆け寄ると、胸に深い切り傷があり血が止まらない。少し息があるがもうヤスミは助からないと直感する。


死にそうな弟は口を開いていて何かを伝えていた。俺は咄嗟にヤスミの口に耳を近づけていた。


「どうした、ヤスミ?」


するとヤスミは言った。


「お兄ちゃん、おかえり」


そう言い、ヤスミは微笑み、ゆっくりと瞼を閉じた。


「ごめん...ヤスミ...」


今思えば、私はいつもお前に謝ってばかりだ。本当にダメな兄貴だ。


隣の部屋から音が聞こえる、母だ。


「やっと帰ってきたね、あんたも殺してやるわ。」


母は酷く痩せこけていた。腕は痣だらけで、私に言葉を放っているが焦点が私に合っていない。どうやら薬物に手を出し、過度の中毒者らしい。


「あんたたちがいなければ、私は幸せに暮らしてたのよ!それもこれも、全てあのクズの男のせいよ!」


父のことだろう、母と父は結婚し望んで私たちを産んだ訳ではない。そんな男を母は恨んでいた。


「あんたも、クズな男と歩けないゴミのとこに送ってやるよ!」


母が私の方に向かってくる。弟の刀で弟と同じように私を殺すためだろう。だが、刀は私の目の前にある。気づくと私は刀を握っていた。


そこから記憶がない。気がつくと倒れている弟と、刀を持っている私、そして、切られて倒れている母の姿があった。人を殺した私は、不思議と怖さはなかった。母を殺された安堵感すらあった。もう、大丈夫だよと止めてくれる弟はいない。


部屋に立ち尽くしていると、かなり太った巨漢な知らない男が部屋にいた。


「あんたは、誰だ?」


どうでもよくなった俺は、冷たくその男に問う。


「やっちゃったなーお前。うちの客を殺すなんて。バカだなーお前。」


部屋が暗くてはっきりと顔は見えないが、不適な笑みを浮かべているのは見える。


「このクズ女が死んでも、あんたには関係ないだろ」


すると巨漢な男は反論する。


「やっぱバカだなーお前。その女は俺たちセレーネにとっては大事な金を運ぶ豚なんだよ。それを殺すなんて大バカだなお前。ここで殺してもいいんだぞ?」


男に脅されるが、私にとって弟は生きる希望であり、私の誇りだった。そんな弟がいない今、生きたいと思えなかった。

男の脅しは失敗したみたいだ。


「なんだーお前、俺が怖くないのか?面白くないなーお前、俺は怖がった人間の顔を見るのが大好きなんだよ。」


どうでもよかった。目の前の男も殺してやろうと刀を振るう。男の体は刀がブスりと刺さる。刀はそのまま男の体に吸収されるように消えた。どうやらこの男の能力だろう。

男は刺されているにもかかわらず、怖がる様子もなく笑っている。


「面白いなーお前!気に入ったぞ。人を殺すのに迷いがない。俺の部下にしてやる。俺はお前みたいな狂った奴が好きなんだ。俺と一緒に人を殺しまくろうぜ。」


人殺しには興味はなかったが、私は生きる希望がなく男についていくことにした。


「あんたについていけば、面白いんだな?」


男は依然笑っている。


「あぁ、俺は面白いからな。」


私は少し男に興味が湧いた。


「あんた、何者なんだ、名は?」


男は答えてくれた。


「俺の名前はグラサーポンだ。お前も聞いたことはあるだろ?セレーネっていう殺し屋組織の副幹部だ。」


グラサーポン?変な名前だな。セレーネはなんでもする極悪非道な組織で有名だ。


「グラサーポン、それは本当の名か?」


そういうとグラサーポンと名乗る男は笑っている。


「やっぱバカだなーお前。そんな訳ないだろ。偽名(コードネーム)だよ。この世界では本名を知られるのは死と同じだからな。お前にも偽名(コードネーム)が必要だな。なんて名前にする?」


私は迷わず答えた。


「私の名前は浦原 八吉だ。偽名(コードネーム)などいらん。」


「やっぱお前面白いなー。ほれ、これ返すよ。今からセレーネのアジトに帰るけど、ただで返す訳にはいかない。何か忠誠を誓うための照明をしてもらわないといけないんだ。」


男は手に弟の刀を持っており、私にそれを返した。しかし、いつの間に刀を持ったのか、全然気づかなかった。私は刀を受け取り、刃を自分に向け、頬を刺した。すると男は私を止めた。


「もうやめろ。お前が忠誠を誓っているのはよーくわかった。せっかくのおもちゃ...じゃなくて、部下が死ぬのは悲しいからな。それじゃあアジトに行くぞ。」


私は男にある頼み事をした。


「ちょっと寄りたいとこがあるのだがいいか?」


男は少し考えたが、頷いてくれた。


そして私たちは、隣まちの鍛冶屋に向かい私の作った刀を取りに来た。そして、根治さんに別れを告げに来た。


「帰ってきたと思ったらどこへ行くんだ?ヤキチ」


何も知らない根治さんに私は言う。


「根治さん今までありがとう。あなたのことは忘れることはないだろう。ヤスミは死んだよ。実の母親に殺された。俺もここへ戻ることはもうないと思います。それでは。」


根治さんを突き放した。私と関わると根治さんも巻き込んでしまうと思ったからだ。


「待て!ヤキチ!」


私は振り返ることなく外で待つ男の元へ行く。


「もういいのか?」


「ああ」


それじゃあ行こうかと男は言い。私は男と共に闇に消えた。


それから10年が経つ。噂では根治さんは現在義肢を作る職人になってるらしい。きっかけはおそらくヤスミの脚が悪くそれを補助する土台を作っていたことからだろう。


そして、私はトウカ街というレトロなまちに、任務で向かっている。セレーネと関わりのある暴力団の下っ端が殺されたらしい。そして、その殺した男がこのまちの付近にいると情報があった。なぜか私がその尻拭いをさせられている。


どうやらその男を殺したのは高校生らしい。そんな凶暴な高校生がこんなまちにいるのか?


歩いていると、古い骨董屋がある。そこで1人の少年が壺を眺めている。ふと弟が隣にいるような懐かしい気持ちがした。気づくと私はその少年に声をかけていた。


「君は見る目があるな。この壺はいい物だ。」

読んでいただきありがとうございます!

浦原 八吉の番外編になります!次話から話が動き始めます!

ちなみにヤキチの師匠の根治さんは今後も登場します(ボソッ)

是非今後も読んでいただけると嬉しいです!感想もお待ちしております!

よろしくお願いします!

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