表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

〜月と太陽〜

第三話目です!

是非読んでいただけると嬉しいです!

日が落ちて、俺と背の高い男は闇と静寂に包まれ、この世界に2人だけ取り残されたようだ。


目的地も分からずただ脚を動かす。しかし、痺れを切らしてため息混じりに男に訊ねる。


「あの、一体どこへ向かってるんですか...?」


街灯はないが、こちらを振り向く男の顔が月明かりに照らされ、ニヤついてる顔が鮮明に見える。

人工的ではない自然の光に照らされたその男は、とても綺麗で神秘的に見えた。てか普通にイケメンじゃん...


「それは着いてからのお楽しみ。あてのない旅は男心をくすぐるだろ?少年。」


どうやら人をからかうのが好きらしい。ニヤニヤしながら、目的地を言わずはぐらかしている。


と思っていたが、男は急に真面目な声色で俺を見ずに話す。


「目的地は言えないんだよ。今から行くのは、組織の秘密基地みたいなとこだ、誰にも知られるわけにはいかない場所だ。」


さっきまでとは違い、男の真面目な声と静寂のせいで緊張感が漂う。


額に汗がぐっしょりとついている。その汗を拭いながらおそる、おそる男に訊ねる。


「なんで、そんなところに俺を?」


男は俺の方を向かないがはっきりと、答える。


「お前は、保護対象なんだよ。うちの秘密基地で匿うことにした。暴力団組織は日高透がスーツ男を殺した犯人じゃねえってことは気づいてるだろうしな。だから、次のターゲットはお前だ。」


男は俺に指を刺し脅すように答えた。


しかし、一つ疑問がでてくる。


「でも、さっき来るか来ないかはお前が決めろって言ってなかったですか?もし、行かなかったらどうしてたんですか?」


またニヤニヤしながら男は答える。


「上の命令だからなー、無理矢理連れていく予定だったよ。」


無理矢理って...この男、俺のこと試したな...


ニヤニヤしてるかと思えば、すぐに真面目な顔をしている。感情の波すごいな...まるで『二重人格』のようだ。


今はどうやら真面目モードらしい。


「お前も聞いたことくらいはあるだろ。『セレーネ』っていう組織を。お前が相手にした暴力集団もセレーネの息がかかった連中どもだ。上がお前を保護してやれってよ。」


もちろん、聞いたことある。『セレーネ』は史上最悪の極悪集団。密輸、強姦、殺人、なんでも武力を行使して、奪う最強の武力集団。


「上って、あなたも何かの組織に所属しているんですか?」


あっ、と男は何か思い出した。


「そういえば、言うの忘れてたな。俺の名前は、浅我(あさが) (ゆう)だ。あなたじゃなくて兄貴って呼べ。もちろん俺もある組織に所属している。迷える人々を導き守る組織、その名も『ヘリオス』。俺たちは太陽だ。明るい光でこの地球を照らさなきゃならねぇ。」


現代、世界は恐怖と憎悪に包まれている。どうやら、この組織は殺伐とした世界で、困っている人々を救う奉仕組織みたいだ。太陽...か...


「だからお前も、俺たちからしたら迷える人なんだよ。お前はこれからヘリオスの保護施設でしばらく暮らすことになる。まあ安全だから安心して過ごしてくれ」


吐き捨てるように男は言う。しかし、納得がいかなかった。


「保護施設って、俺はトオルを探した男を許せない!そいつを見つけるまでは!」


感情が荒ぶり大きい声がでた。しかし、男の小さく鋭い声に、俺の声は負けた。


「うぬぼれてんじゃぇ。お前の友達を殺った男は俺がとっ捕まえて殴らせてやる。ヘリオスの最前線で戦う、俺たちは命掛けだ。お前みたいな能力も無いガキは足手まといなんだよ。大人しく保護されてればいいんだよ。」


キツい言葉だが、この人は俺のために言ってくれているのだろう。


「...分かりました」


了承せざるを得なかった。


男は自信ありにげに言う。


「安心しろ。お前の友達の仇は俺がとってやるからよ。なんたって俺たちは太陽だからな。」


しばらく歩いて、建物が見えてきた。


「もうすぐ着くぞ。あの建物が保護施設だ。」


やっと着いた...都会から人里離れたとこに施設はあった。建物の中には老若男女30人くらいの人がいる。みんな俺と同じように辛い想いをしたのだろうか...


施設に着くなり男は施設に背を向けて、俺に言う。


「俺の役目はここまでだ。後は施設で自由にしてくれ。基本的に外出は自由だが、これを持っていけ。」


ほらよっと男に何かを渡された。


「ケータイ??」


男はそのケータイの説明をする。


「GPS付きのな。外出自由と言っても、保護監視下の身だからな。これ持っとけば、どこにいようと駆けつけられるからな。まあほとんどの人は怖くて外出しねーけどな。」


じゃあなと言いながら、男は来た道を引き返し闇に消えた。


施設に入ると、子どもの鳴き声や老人の怒声が響き渡っている。同じだ、みんな家に帰りたいんだろう。肉体的には安心でも心は全然安心できない。


みんな同じ部屋らしい。用意している布団に俺は向かう。悲しい声を聞きながら俺は布団にうずくまり。全ての音を遮断する。早く夜があけてくれと思いながら、眠りについた。今日いろいろあったせいか、すぐに眠れた。


朝日が眩しい。いつも俺を起こす声とアラームはない。いつもなら、鬱陶しく感じるが、今は少し寂しい気がする。しかし、施設は結構快適だ。綺麗な布団と朝ごはんも用意されている。味噌汁にご飯と目玉焼き。いかにも朝ごはんというメニューだ。普通に美味しかった。


施設の中は特に娯楽もなく暇だった。少し離れているが暇すぎるので街に行こう。初めてくる街だしなー。ケータイを忘れずに持ち、身支度を整えて


街へ向かう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ