クレーム
影から見せられたインターネットの映像は強盗事件のあった日、テレビでも流れていたものだ。
そして、いろいろなコメントが流れていく。
その動画の始めにデカデカと文字が浮かび上がる。
「◯月×日。強盗事件の犯人」
次に浮かび上がった文字は、共犯だと言われているらしい五人組の氏名と年齢。彼らの家の住所、そして電話番号。
山崎佳苗、36才、花邑楓、17才、中村修司45才。清水健一36才、そして、山崎学39才。
ーー楓の個人情報がこんなところで晒されている。
楓はあの五人の中にいないはず。しかし、確かめなければならない。
「ーー楓、ここに書いてある事って、、?」
「嘘に決まってるじゃん?私はこの日図書館にいたし、、」
一呼吸置いて、楓は続けた。
「第一、あの日は彼氏と一緒だったんだから」
ーーえ?
ーー彼氏?
楓が無実であった事よりも、楓にカレシがいた事に驚きを隠せなかった。そしてあの日、私が楓を見ているのに、彼氏となんかいる訳がない。なのに、どーして嘘をつくんだろう?
この映像では私が巻き込まれ、腹部を刺されている。
楓があの場所にいた事は確かだった。
私もそれを見ているのだから。
ただ楓は「犯人」としてではなく、「被害者」としてーー。
警察が早く対応しないから、こーいう事件が発生するんだ!
私は警察に文句を言いに行った。