ネットニュース
「ただいまー」
影は同じ家に住む楓にそう言った。
「おかえりー」
少しだけこちらを見て、そう言うと独り言のように何かを話している。
ーーなんだ?
ーー何を言ってるんだ?
影は楓のいる部屋に入っていった。
「ーーなーんだ。電話か」
この時は特に何も気にせずに影は部屋に向かおうとしたその時。
受話器を叩きつけるように置いて、楓はうつむいた。
「なに?どーしたの?さっきの電話は一体??」
突然、楓は泣き出した。
「わからないの。わからないけど、、ここのとこ、無言電話が多くてーー」
楓は困りきっている。
「いつから?」
二、三日前だったと楓は答えた。
「私、ちょっと思い当たる節があるんだ。調べてみるーーちょっと待ってて」
電話線を切ってから、影は自分の部屋に向かった。
部屋の鍵を締めると、ノートパソコンの電源を入れた。
「花邑楓」
楓の名前で検索をかけると、すぐにヒットした。
強盗事件、犯人。
住所、氏名、電話番号。
楓の個人情報の大半がさらされている。
パソコンはネットが少し使えるくらいで、影にはそれ以上の追跡は不可能だった。
しかし、これでなぜイタズラ電話が繰り返されるのか?
その謎は解けた。が、誰が何のために楓を強盗犯にしようとしているのか?
それがわからないままーー。
影は楓を部屋に呼んだ。
「なに?」
楓が走ってくる。
「落ち着いて、ちょっとこれ見て」
楓はパソコンに目を向けた。
しばらくの沈黙。
おそらくそれの意味を理解しようとしているのだろう。