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すべきこと
一本のガセの電話が疑いを招き、私は無駄な時間を浪費しているのだと気づいた。
どこの誰かも知らない人物にーー。
穏やかな口調で、主任と呼ばれる刑事は言った。
「ガセの可能性は十分にあると思っていたんですがね、、念のために調べていたんです。これで花邑楓さん、あなたの容疑は晴れましたので、ご安心下さい」
「容疑は晴れた?」
楓の分身という影は聞き直した。
「はい」
「謝罪はないんですか?」
影は食って掛かる。
勝手に容疑者呼ばわりした挙げ句、容疑が晴れたから帰っていいと。
こんな理不尽な事があってたまるか?
そんな気持ちで一杯だった。
ーー許さない。
ーー許せない。
これ以上、力が入らないと思うくらい、影は手を握りしめた。
私(影)は、楓を守るために存在している。
この場合、楓はとんでもない被害を被っている。今私(影)が今すべき事はーーー。