2 立てガンダーX
『使用可能武装か…とりあえずバルカンか?』
木の陰から顔を覗かせ、オーガを見た零士の視界にはロックオンの表示が点滅する。
『やっぱりか…』
『機動はガンダーXみたいに出来るのか?試してみるか?』
零士は特殊能力により、目の前のウィンドウを唐突に理解する。そして、朧げだが状況を把握しだしていた。
零士は木の陰から飛び出すと、巨大ロボットを操縦するのと同じ感覚でスラスターを噴かし(たつもりで)ジャンプする。
すると零士は見事に宙を舞い、オーガの頭上に舞い上がる。
頭部バルカンを牽制に撃ち込み、右手にビームサーベルを構えオーガの前に飛び込むと、オーガは突然の襲撃に驚き、隊列を崩したのだ。
「一つ!」
零士はスラスターを噴かし一気に距離を詰めると向かって最右の一匹を仕留める。
続け様に、最奥にいた一匹もサーベルで貫いた。
「二つ!」
一旦距離を置き、手に持つ男を振り上げ突進するオーガに対しライフルを構える零士。
「三つ!」
振り上げた斧を下ろすことなく、額を撃ち抜かれたオーガはその場に倒れ込む。
残り二匹は分が悪いと悟ったのか、撤退を始めるのだが、零士はバズーカ(二丁)を構えると逃げるオーガにたたみ込む。ジャンプし、最後の一匹にも残りのバズーカをたたみ込み、初めての戦闘を終えるのだった。
「四つ、五つ!」
「はぁはぁ、予想通りだったけど、アイツらはいったいなんなんだ?」
ひとまず敵性勢力を倒した零士は、湖に戻り、気持ちを落ち着かせるのだった。
「まずは今の状況を整理しよう」
1 ザイオンの兵器の影響で転移?又は転生?
2 ガンダーXの能力を引き出せる
3 特殊能力も使える
4 敵性勢力がいる(しかもモンスター?)
5 まだ人に会ってない………
「いや待て、転生とか転移とかって……」
『あなたにはやるべき事がまだ…』
零士はあの時のリリアの言葉を思い出す。
特殊能力が働き、全てを理解する零士。
「リリア、なぜこんな世界に僕を…」
「そうだね、君の代わりに僕が…」
零士はひとまず町を目指す、しかし彼には向こうの世界に気掛かりな事があった。
そう宿命のライバルギアの事なのだ。
元の世界では既に対局は大詰めに迫っていたのだが、その場に向かう手立ても分からず、そしてギアとの決着もまだなのだった。
そして、ギアと零士の狭間にいたリリアも既にこの世には居ない。
不幸な偶然の重なりとはいえ、自身の手で思い女を殺めてしまったという後悔、そしてギアは思い女を殺されたという怨恨。
両者には、切っても切れない運命の糸が絡み付いていたはずだったのに。
しかし不条理にも零士は異世界転生し、しかもガンダーXの力を引き出し闘うという得体の知れない力を手にしてしまった。
彼はまだ知らない、この先に苦難が待ち受けている事を、そして、その先に衝撃のラストが待ち受けているとも……
閲覧ありがとうございます。
あまり長く連載はできそうにないかも〜と弱音を吐きつつ、ネタをいっぱいぶっ込みたいなとか思ってます。クスッと思ってもらえると嬉しいです