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第7話 夜か昼かじぞサマかテッポウかイシか

「フウひめしゃま おにごっこしませんか?」


(湖紗若様…… 幼いながらも、周りの大人達の様子を見て何かを感じておられるのよね ……場の空気を変えようとなさったのかしら?)


「鬼ごっこ。良いですね! 稜弥様、詠史殿、鈴兄上も一緒に鬼ごっこいたしましょう」




「はい!」


 嫌がることなく同意して下さった、稜弥様。詠史殿。鈴兄上様。




「フウひめしゃま なじゅなも」


「そうね。大人数の方が楽しいですし。なずなも呼びましょう」


 屋根裏部屋の下の階の部屋にて、控えていたなずなを呼び。


「良いですか? 夜は、動いてもいいけど静かに動くのですよ? 昼は、大声出して逃げてもいいの。地蔵サマは、ジットして動いちゃダメですからね? テッポウは、地蔵様と同じで動いちゃだめなの。目隠しした鬼がテッポウをウつ真似をして。当たった人が次の鬼ですよ。石はねコロコロ転がって逃げるんです。石なのに、なぜか、くすくす笑うのは良くて。コロコロって言ってにげましょうね。みなで『夜か、昼か、地蔵様か、鉄砲か、石か?』って節を付けて歌うの。例えば、鬼が『昼』って言ってから、10数えてる間に、他の者は騒ぎながら逃げるの。鬼が誰か一人捕まえたら鬼は交代になるのよ……湖紗若様分かりましたか?」


「わかりました! フウひめしゃま!」



*「夜か昼かじぞサマかテッポウか石か…… 懐かしいですね。楓禾姫様」


 そう言われた、稜弥様と鈴兄上様。



 そう…… 湖紗若様のお生まれになる前までは、子達だけで屋根裏部屋に隠れて集まって、遊んだりしていたの。人数が少ないから気心の知れた侍女達に入ってもらって。


「羨ましいな……稜弥様と、鈴様は、お小さい時から楓禾姫と遊ぶ仲だったのだな…… 私は…… 湖紗若のお生まれになった頃、本格的に桜王家に仕える事になったからな」


どこか寂しそうに呟いた詠史殿に。


「詠史……」


苦しそうな表情を見せた鈴兄上様。


「詠史殿…… 幼き頃はともかく。私と鈴様も、六年前位前からは周りの者達の思惑や利害が絡んで楓禾姫様にお逢いする事も減っていたのだ」


稜弥様は、詠史殿に 心配ないのですよと言うように返されて。



「そう……なのか?」


微妙に……安堵した? というような表情を見せた詠史殿。


「……さて、鬼ごっこ致しましょう!」


私はその空気を変えるように、明るい声音で返すと。

 

私達は


『夜か昼かじぞサマかテッポウか石か?』


 がお気に入りの遊び…… 無心で遊んでいる時は、色々な事から束の間でも離れられる……


 至福の時間だった。


 屋根裏部屋と言っても、大人五人、子供一人。六人で走り回っても十分な広さで……


*『夜か昼かじぞサマかテッポウか石か』

幼い頃、母方の従兄弟達と、遊んだ鬼ごっこです。


 



宜しくお願いします

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