国王との面会
コクーンの管制の下『シュンミン』はゲートから突き出ているチューブの届く場所に停泊した。
その後すぐにチューブが『シュンミン』まで伸びてきて『ゴン!』という音とともに接続される。
「司令、下艦の準備が整いました」
艦長のメーリカ姉さんからの報告が入り、俺たちは一緒にゲートに向かって移動する。
チューブを通りコクーンのゲート内に入ると……なんとそこには帝国の王族で、このコクーンの司令官でもある王子が俺達を満面の笑みで出迎えてくれた。
「ナオ司令、作戦は大成功だったじゃないか。
おめでとう」
「司令官殿、この度の成功はひとえに帝国の国を上げての協力あってのことです。
帝国の威信のおかげだと言えます」
「そんな、卑下することはないぞ。
そもそも今回の作戦が貴国からの提案があったときから、成功が約束されていたようなものだ」
そんな会話を続けていると、『シュンミン』からストレッチャーに載せられたフェノール王国の国王と宰相が降ろされていた。
指揮を取っているのはうちの生活安全部のクローさんを先頭に、ソフィアが就学隊員たちに指示を出してこちらに出てきた。
「彼らが……」
「ええ、被疑者の国王と宰相です。
それ以外の者たちは……」
俺はそう言って、『シュンミン』の隣に停泊している『バクミン』と『ダミン』の方を向く。
その両方の艦からこちらは『シュンミン』のように丁寧にではなく、大きな台車に載せられた骸……いや、意識が飛んでいる状態のフェノール王国ではそれなりの権限を持ちそうな者たちだ。
「あれは?」
「ええ、なにせ被疑者の数が多くて……」
「約束通り、一旦我々で引き取ろう」
殿下はそう言うと、後ろに控えているものに何やら命じていた。
しばらく、俺達は被疑者の積み下ろしの作業を見守っていると、コクーンの奥から軍医とその関係の衛生兵だと思われる一団が集まってきて、軍医は『シュンミン』から降ろされた王たちをストレッチャーごと引き取りそのまま奥に、衛生兵たちは俺達が使っている台車よりも更に大きな台車を運び込んで、この場で積み替えている。
「いつまでも、ここにいてはじゃまになりそうだな。
我々も、仕事をしようじゃないか」
「はい、司令官殿」
俺はメーリカ姉さんといっしょに、王子に連れられてコクーン内にある王子の執務室に向かった。
コクーンは、かねてからの計画通り、我々を回収するとすぐにダイヤモンド王国方面に向け巡航速度で移動を始めている。
ここまでついてきたフェノール王国の軍艦は相変わらず俺達を追いかけては来るが、何もしてこない……いや、何もできないという感じだな。
すでに俺達が首都を出るときに集まってきたフェノール王国の三個戦隊も、2つは首都に残り一個艦隊だけが付いてきている。
首都星に残った二個艦隊は多分、後処理などに追われているだろう。
現状、このあたりに残存するフェノール王国の勢力では、明らかに力不足な上、すでに王が俺達に連れ去られたことくらいは連絡も入っているだろうから、まともな頭を持つ司令官ならばいきなり攻撃してくることはないはずだ。
「付いてくる連中のことは気にする必要はないだろう」
王子も同じ考えのようで、俺にそんな事を言ってきた。
「で、これからのことだが……」
「はい、うちのクローもいますので、気を失っている連中を起こして聞き取り調査を始めさせようかと……多分ですが、下級の者たちはすでに始めているかもしれませんが」
「ああ、先程私の所に報告があった。
気がついた者たちから、聞き取りを始めたようだ」
「ですので、薬で眠らせている王たちを起こして直接話ができればと」
「それは良い考えだ。
私も同席していいか」
「私の許可など……ここでは私のほうが司令に許可を貰わないといけない立場ですので」
「まあ、そんな事はいいか。
それより、早速命じてくれないか」
俺は殿下の希望通り、司令の部屋から電話で軍の詰める病院だな、ここコクーンでは。
とにかく規模が違うから軍艦にある医務室などではないが、そこに軍医と一緒にいるはずのクローさんを呼び出してもらった。
「クローさん、すみませんお忙しい所」
「いえ、司令。
それよりも私の方から報告が……」
クローさんの報告から、無事に王と宰相が意識障害などなく無事に目覚めたということだ。
しかし、あの匂いもだいぶ取れてくるとはいえ、彼らにはトラウマのようになっているらしく、少し言動がおかしいらしい。
俺は、そのあたりも隠さずに帝国の殿下に伝えた。
「では、行くとしよう」
俺達は殿下の案内で、コクーン内の病院に向かった。
ちなみに、コクーンでもあそこは病院で通っているらしい。
医療室などはあそこ以外にも数か所あるらしいが、何処も軍艦レベルの医療室で、病院と言えるくらいの規模はこれから向かう場所しかなく、誰もが感じたまま病院と呼称しているらしい。
ついに俺は正式な名称は聞くことはなかったが、それでも問題はないようだ。
俺達が病院に着いて、すぐに院長室……流石にこれは誤りで軍医長室だが、そこに案内されて、王と宰相に面会した。




