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撤収





 俺たちは、一度大広間に戻り、大広間の別の扉から宰相たちの執務室を探した。

 すぐに王もしくは王太子などが使いそうな執務室を見つけたが、ここには既に別の捜査員が家探ししていた。


「どうする。別の部屋を探すか」


 俺が後ろからついてきている捜査員に聞くと捜査員は返事を返してきた。


「いえ、時間もないことですし、彼らに協力してここで捜査に当たります」


「そうか、なら任せよう」


 そこで、俺は捜査員たちと別れて、いったん王宮から外に出た。


 王宮前広場には野戦病院のように、たくさんの人が寝かされているが、全員手足を拘束されている。

 軍人もいれば事務官もした。

 中には女性もいたが、軍人はともかく事務官はどうにかしたいと思い、近くの女性将校を捕まえて、彼女たちを隔離する方向で指示を出す。


 そんな感じで、王宮前広場が今回の臨時特設本部のようになってきているので、この後は捜査員が出てくるまで、ここで指示を出していく。


 そんな感じで時間が過ぎていると、帝国の戦隊がフェノール王国の艦隊を引き連れてそばまで来ているという連絡を受ける。

 仕方がないので、いったん俺は『シュンミン』に戻り、無線でコクーンや戦隊司令官たちと無線で連絡を取り合っている。


 さすがに帝国の戦隊が二つに俺たち、それに現在近づいてきているほかの帝国の戦力、特に一番近い場所にはあのコクーンまでもが近くまで来ているので、フェノール王国の艦隊も俺たちに攻撃はかけてこない。


 まあ、攻撃したくとも首都を制圧されているので、いわば人質のようなものとして捉えているようだ。

 一通りの指示を出すと、また外の特設本部のような場所まで、今度は艦長のメーリカ姉さんと一緒に出向く。

 外で、みんなの戻りを実際にこの目で確認したかったためだが、現場責任者である俺の責任でもあると思っている。


 時間になり、捜査員たちはバラバラと戻ってきている。

 機動隊員たちは、さっさと『シュンミン』に全員を保護して、順番に精神洗浄をさせているので、普通こういう捜査する場合には一番最後に引き上げてくるのだが、その役目をトムソンさんが引き受けてくれている。


「司令、国王と宰相だけはそちらに預けるが、他は……」


「ああ、構わない。

 どうせ、『コクーン』までだ。

 『コクーン』と合流すれば、彼ら全員を『コクーン』で下ろす」


「え?

 うちらは捜査はできないのか」


「いや、これからの話し合いにはなるが、うちの捜査も『コクーン』で、行うことになるだろう。

 それよりも、ここも安全とは言えないので、引き上げよう」


 今回の突入作戦では、うちだけでなく帝国からの沢山の兵士が協力してくれていたために、かなりの数の内火艇がそこかしこに着陸していたが、それらが準備が整い次第バラバラと上空に飛び立っていく。


 いくら俺たちの使用している航宙駆逐艦が小型ではあるとはいえ、とてもじゃないが今の王宮周りの上空では、それこそ朝のラッシュとまではいかないが、相当数の内火艇で混雑しており安全を確保できそうにない。


 それに俺は責任者として最後まで現場の安全を見守る責任もあるので、最後の一艇が退去するまでこのあたりを警戒している。


 引き上げを開始して1時間ほどすれば、内火艇も殆ど残ってはいない。

 あるのは我々のものだけなので、それも先程から『ダミン』や『バクミン』といった前後にハッチを持つ僚艦に詰め込んでいた。


 その作業が終わり次第、ここを離れる。


 最初に『ダミン』が作業を終えて、上空に飛び上がり、上空の警戒を始めた。

 直ぐに『バクミン』も追いつき、艦載機を出して王宮上空の警戒を始めている。


「司令」


 最後まで外で撤収作業を見守っていた俺は、俺の監視……いや、護衛を兼ねてだが、俺のそばにいた旗艦艦長のメーリカ姉さんが声をかけてきた。


「『ダミン』『バクミン』の僚艦からは撤収後の確認を終えており、脱落者一人もいないそうです。又、『シュンミン』も一人の欠員も出ず全員が撤収が終わりました」


「残るのは我々二人だけということだな」


「はい、ですので……」


「では、撤収完了の確認したということで、我々も戻るとするか」


 俺とメーリカ姉さんは大きく口を開いている後部ハッチに向かって歩き出す。

 後部ハッチからは撤収作業を最後まで指揮していたマリアが大声で声をかけてきた。


「司令、遅いよ~。

 あまり遅いと置いていくよ~」


 どこの世界に、司令と艦長を置いて出発する軍艦が有るんだよ。

 でも、あまり待たせるのもマリアが何か仕出かさないとも限らないので……理由が情けないが、仕方ない。


「艦長、少し走るか」


「はい、司令」


 俺等は二人して走って後部ハッチを目指した。

 200mもなかったとは思うが、それにメーリカも全速力のはずはないのだが、しっかり置いていかれた。


 俺が息を切らしながら後部ハッチから中に入ると、マリアが呆れた声で話しかけてきた。


「司令、だらしないな~。

 とても軍人とは思えない体力だよ」


「悪かったな。

 俺で最後だな」


「はい、司令」

 すかさず艦長のメーリカ姉さんが確認している。


「では、艦長。

 艦を出してくれ。

 上で待っている連中と合流しよう」


 メーリカ姉さんは、後部格納庫から艦内電話で艦橋に指示を出して、艦を離陸させた。

 その後すぐにマリアと一緒に走って艦橋に向かう。


 俺はというと、少し疲れたので、ここ後部格納庫の端にある椅子に座り休んでいた。

 そこに秘書のイレーヌさんがやってきて声をかけてきた。


「司令、今回の作戦もひとまずは成功でしたね。おめでとうございます」


「ああ、まだ作戦中だが、フェノール王国の国王を抑えたのは大きいかな。

 いきなり攻撃されることもなかろう」


「敵としても、まともな判断ができるのならばありえませんね。

 それに、我々の護衛に帝国の戦隊が2つもついておりますので」


「たしかにそうだな」


「で、この後はいかがしますか。

 陛下に尋問したくとも……まだ……」


「ああ、無理にすることはなかろう。

 無理やり起こしても、治療ポッドがしばらく使えないだろうから、面倒なだけだしな」


「治療ポッド……ですか?」


「ああ、あの状態での身柄確保だし、本人たちには、状況も理解できていないだろうし、起きると混乱するだろうから、しばらく寝かしておくしかないな」


「それでしたら、薬を使いましょう。意図しないタイミングで起きられても」


「それもそうだな。

 指示を頼めるかな」


「解りました」


 そう言って、俺のそばからイレーヌさんは去っていった。



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― 新着の感想 ―
コクーンでの合同捜査会議にて、グラファイト帝国側にバカがいないことを祈ります
「あ、ありのまま今起こったことを話ぜ」 「仕事中、とてつもない刺激臭を感じたと思ったら気絶していて、いつの間にか捕まって外国に連れ出されていた」 「何を言ってるかわからないと思うが(以下略)」
感想一覧
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