表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

402/424

眠れぬ夜

 

 自室に戻ってからも、先の王子の話していた隣国の影が異常に気になった。

 確かに、不自然なことが多いように思われる。


 50年間余りも紛争を抱えていたフェノール王国とのことだが、今更ながらダイヤモンド王国内に攻めてきたからと言っても、それこそ今更だ。

 だが、今回の争乱はあまりに手が込んでいた。

 菱山一家の件も今となったら、相当前からフェノール王国が彼らを支え受けて、準備していたように思われて仕方がない。

 いや、そもそも菱山一家そのものがフェノール王国によって創設されたのではとすら思えてしまう。


 そう考えれば考えるほど、合点がいくことばかりだ。

 そもそも菱山一家は、戦力規模が大きすぎる。

 海賊行為を繰り返して勢力を拡大していくにしたって、ある程度の規模まで膨らむと維持する方が難しくなってくる。


 そもそも菱山一家の戦力が大きすぎる。

 わが国ですら、宇宙軍など正規の艦隊規模で二つ持つのがやっとだ。

 小国ならば一つ持つのもきついと聞いているのに、菱山一家は総戦力がその正規の艦隊の半分、半個艦隊はあると聞く。


 それにあのコクーンを盗み出したのだ。

 あのコクーンを取り込んで使えるようにでもなれば、その脅威は優に一個艦隊規模にまでなるだろう。


 下手をしなくとも、小国なら海賊の菱山一家だけでも攻め落とせる戦力を持つことになる。


 明らかに、おかしいだろう。

 そもそも、どうやってあの規模の戦力を維持しているのかも疑問が残る。


 今となっては、色々と判明してきたので、戦力維持にフェノール王国が深く関与していることは確実だとしてもだ。


 だが、戦力維持についてはそれで説明がつくとしても、その戦力の創設にはさすがにフェノール王国の国力からの援助だけとは考えても無理だろう。


 そもそもフェノール王国はダイヤモンド王国と紛争を抱えているのに、自国の軍隊を強化せずに海賊に半個艦隊の戦力を用意できるのか……ありえないだろう。


 考えれば考えるほど分からないことばかりだ。


 俺は、頭が冴えて寝付けなくなりそうなので、引き出しから酒を取り出して一口飲んで無理やり寝かしつけた。


 夢見が悪そうだなと、変な想像をしながら落ちていく。


 案の定、いやな汗をたっぷりとかいて目を覚ます。

 幸い夢の内容までは覚えていないので、助かったが……うん、相当いやな夢でも見ていたのだろうな。

 寝汗が酷かった。


 俺はベッドから起きて、すぐにシャワーを浴びた。

 身支度が整う頃に艦長のメーリカ姉さんが部屋にやって来た。


「司令、おはようございます。

 本日の予定ですが……」


 メーリカ姉さんは今日の帝国陛下との謁見のことを気にしているようだ。


「うん、俺には決められないかな」


「それは……」

 

 絶句したが、すぐに諦めてから報告してきた。


「指定されたポイントまではあと2時間で到着する予定です。

 3時間前から異次元航行から通常航行に変わり、現在は巡航速度で順調に航行しております」


 先に懸念事項を聞いてきたのだろうが、俺に陛下との謁見の予定など俺に立てられるはずもない。

 普通の人ならば適当に言葉を濁すのだろうが、面倒くさい。

 正直に答えたら、メーリカ姉さんの方が諦めてくれた。


 しかし、どうした物かな……


「司令、コクーンというのは、あのコクーンと同じような……」


 俺たちがこれから向かうであろうコクーンについて聞いてきている。

 しかし、今日のメーリカ姉さんは彼女らしくない。


 相当皇帝陛下との謁見を気にしているのだろう。


 普通ならば絶対に会うことのできない立場の人で、軍関係でも謁見式で偶然声を掛けられる……いや、無いか。

 声を掛けられる兵士はあらかじめ決められていると聞いている。

 俺の知る限り例外なくやらせしかない。


 メーリカ姉さんもそのあたりを俺以上に理解しているから、皇帝陛下の存在そのものを自身の頭に置いていなかったはずだ。

 だが、うちの王女殿下のおかげで、謁見から逃げ出せない。

 戦隊司令を乗せた旗艦艦長ならば、こういう席には絶対同行する。


 いくらメーリカ姉さんが中尉という士官では下級に属する階級でも、立場が旗艦艦長ならば逃げられないことくらいは理解していた。


「俺は、王女殿下に引き回された時に諦めたよ。

 そろそろ艦長もそういう時期にあると理解した方が楽になるよ……精神的に」


「司令、もういいです。

 ぶっちゃけますが、私たちの知るコクーンと同じならば、この船ごと乗り込みますよね」


「ああ、そうなるな。

 前に情報を調べていた時にニュース記事であったのだが、丸ごと一個戦隊は腹の中に収めることができるそうだ。

 あの俺達がよく知るコクーンだと戦隊が二個あるが、たぶんあれを一回り小さくしたようなものだろう」


「私もそう思います」


「それが……どうした」


「謁見時に基地内に我々が入るわけですが、そうなると停泊させるこの艦の警戒レベルの話です。

 もっとぶっちゃけますが、敵そばではない停泊ですよ。

 艦内レベルでは士官の数は最低限で良く、そうなりますとケイトかマリアのどちらかは我々に同行することになりますが……」


 メーリカ姉さんの不安の理由が分かった。

 王女殿下に同行して皇帝陛下に謁見するのに、マリアかケイトを同行させないとまずいということだ。

 俺もメーリカ姉さんに指摘されるまで全く考えにも及ばなかった。

 いや、ひょっとして俺の本能が、俺の胃を守るために勝手に頭の中から排除していたのかもしれない。


 しかし、これって、時限爆弾を抱えてごうごうと燃え盛る火事現場で消火をするならばかわいいものだが、どう考えても状況はそれよりも更に悪くて、先程の例に例えるのならば、現場で野次馬として踊り狂うようなものだ。

 もうわけわからんが、とにかく危険、そういうことが言いたいのだろう。


「うん、こういう時に俺に言えるのは『人間あきらめが肝心だ』とだけかな」


「え? 司令は……」


「俺たちは運が良い。

 大丈夫だ。

 俺の胃が壊れる前に謁見は終わるよ」


「私の精神の方が持つか心配です」


 王子殿下との会食ではマリアが出たので、今回はケイトの出番かな。

 でないと、マリアが騒ぎ出す。

 まあ、ケイトの他にも下士官数名を同行させる羽目になりそうだから、それほど目立たないだろう……希望的観測だが。


 時間は容赦がない。

 どんなに願っても、時間は止まってはくれない。

 俺がそんなことを考えていると館内放送で俺は呼ばれた。


「司令。

 レーダー上に目的地にある物体を捉えました。 

 人工物ですので、事前に与えられた情報から帝国のコクーンと判断します」


「わかった。

 これから艦橋に向かうよ」


 俺はそう返してから、部屋から出て行った。


 久し振りにあとがきでご挨拶します。

 コミックの2巻目の予約がアマゾンにあるのを見つけたので、ここでご報告がてらダイレクトマーケティングとか言うものでも。


 それと、年初の目標にありました、AIについてついに実験的に作品を作りましたので、ここでご紹介させていただきます。


 タイトル 俺は人生に、この誰もが救われない社会に復讐する

 著者   へいたAI


 https://ncode.syosetu.com/n3431kp/


 一応、今まで違うアクションで創作した作品ですので、わかりやすく著者名を変えてあります。


  この作品は、先日活動報告にも書きましたが、原作,アレンジ、その他を私のらしろが担当して、作文を複数のAIに任せてみました。


 これにより私の作品で非常に多いくだらない誤字の劇的な低減が期待で見ますが、私が書くわけではなかったので、文章のスタイルとかいうものですか、それが違ってきます。

 作品は、そこそこ面白いものに成ったと思いますので、よろしければ除いてきてください。


 このあとも色々と試そうかと考えております。

 当然、のらしろとしての執筆活動も続けてまいりますからご安心を。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
メーリカ姉さんが地を出せるくらい官位が上がったら、外伝なんかで姉さん視点の物語を見てみたい!それまでに姉さんの政治・戦略なんかも鍛えたらもっと面白そうw
運にまかせちゃった♪ 夢見がわるかったからか、投げるの早すぎる〜〜w
司令は当然として、メーリカ姐さんカワイソスww 姐さんの胃袋に穴が空いて精神崩壊しないように、司令が前に出て作戦の奏上から、雑談の受け答えから、その後に有るであろう小パーティーの立ち回りまで、頑張れ司…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ