表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

今日から学校と仕事、始まります。②莞

DNAキック

作者: 孤独

ある説によると、生物の遺伝子は


「!…………」


死が迫ると、自分の遺伝子。その生をこの世に残そうとする……らしい。

そんな小難しい運命的なもん。耳に聞いた程度のある男子高校生、舟虎太郎。

朝起きて、気付く。


もう8時じゃねぇか!遅刻確定!


朝飯用意しとけよ、ババア!!


宿題なんかやってねぇっ!!


夜バイトは休みだぁぁっ!!


……そんな、今日の一日の予定じゃない。

寝癖のついた髪をオールバックのように整えながら、這い寄る死神に足を掴まれているような寒気がして、足元を見る……。しかし、当然ながら死神の手は見えないもの。

だが、男の勘が言っている。


「……今日、俺は死ぬ……気がする」


死を感じながら、自分の何かを残したい気持ち。心臓の高鳴りが妙に高い。

青春の終わりは発令されるものではなく、気付いたら終わっているもの。

命をとられるんじゃない。

青春が終わるんだ。そーいう運命みたいな日を、予感した。



◇        ◇



キンコンカンコーン


学校のチャイムが終わり、これからは部活動やら帰宅、バイトが始まる。

そして、


「話しって何よ。舟」

「……ああ」


友達。……男ではなく、女の友達。御子柴と一緒に帰る舟。互いに自転車を乗らず、押して歩きながら……。


「御子柴。今日、暇か?」

「暇って言い方やめてくれない。バイトないけど」


仲は良い。軽口、冗談、……。

気の合う異性ではある。俺だけかもしれないが


「付き合え」

「良い度胸ね。何を奢ってくれるの」

「そーいう付き合いじゃなくてだ……」

「は?」

「鈍いな。感じろよ」

「……………」


その時の御子柴の表情は、通常の小悪魔的な顔から……ドッキリを喰らったみたいな小間使いの表情になって。

何を感じろって?顔で、一緒に歩くのを止め。


「えええぇぇっ!?」

「……お前、可愛い声出すな」

「うっさいわ!」


お前、下校中の流れで告白する奴がいるかっっ。

周りに聴こえてないだろうなって。想いつつも、舟の少し後ろについていくように。


「まーいいわよ。そーいう友達も、…じゃあ、鰻!」

「鰻?」

「飯は奢れ」

「今日一日な」


友達的な存在と思っていたが、まさか向こうから来るとは思わず。やや御子柴が押されるような感じに、自分自身も戸惑う。Sは打たれ弱いというか、想定外に弱いというか。

鰻ならなんでもいいかと思い、チェーン店の鰻重でも奢ろうとする舟。唐突もいいところだから、構わないと思っていた。飯食うことは友達と一緒にやっているから、慣れも出てくる。

カウンター席で並びながら、本当に


パクッパクッ


「しかし、唐突ねぇ」


友達同士なら、友達の事とか話すけど。恋人的なことをその場で言うノリにはならず……


「なんでいきなり言うわけ?付き合ってって……まさか、恋愛運がサイコーだったとかじゃないわよね?乙女かよって!」


男のキッカケなんざ、分かってたまるかって表情。いつもの余裕のある顔をする御子柴に


「……いやな。その……驚くな」

「驚かないわよ」

「おそらく、今日。俺は死ぬんだ!」

「……は?」


言葉で伝えるのは難しい。だが、運命は事前にその末路を言っている。


「だから、悔いのないよう。女と仲良くイチャイチャしろって!!遺伝子が今日、俺に言ってるんだよ!御子柴ならその、すぐにこーいう付き合いができると思ってだ!」

「…………」


少しは真剣に聞いてやる理由が、誰も知りもしない遺伝子からのお告げ。

今日死ぬと分かっているから、青春をしたい。そんな気持ち。



ドゴオオォォッ



「ぐほぉっ」


御子柴は舟の顎に右の掌を叩きこみ、座っていた舟を立ち上がらせる。混乱し、棒立ちとなった舟。股下から上がるように、御子柴が



ガキーーーンッ



睾丸を蹴る。中が弾けるその衝撃は、舟をあっという間に這い蹲らせ、最後には悶絶のままに倒す。言葉も出ないほど、……。

その姿、まさに死体。そこに蹴りというか、踏み付けをしつつ。自分の想い上がりが表情に現れながら、


「……大丈夫。今日は死なないから、……また今度、ちゃんとした理由で誘いなさいね……」


店内も騒然。だが、


「あ、鰻重は食べて帰るんで!騒いでごめんなさーい!」


食い意地を張る御子柴。ついでに舟は悶絶こそすれど、死なないで今日を生き延びた。

いや、たぶんこれが。遺伝子が告げていた、死なんだろう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] まず主人公の名前に「ルビ」を振らない辺り、『読んでもらう』という意識が低いのでしょう。 自分(の脳内)だけで完結しているから必要ないのでしょうか…? 全く以て【不親切】としか。 そし…
2020/07/08 22:47 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ