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創世記

その日のお昼過ぎの事。いつもの様に執事であるアルファが、私の身の回りを世話している。つまらなそうにしている私を気にかけ始めて、何かを探し始めた。思えば、私は前世で何かをやっていないと落ち着かない性格であった。


「?アルファ?どうしたの?」


「ふふ。お嬢様。本など読んではいかがでしょうか?」


ニッコリと微笑んで、ダンディーな雰囲気を纏ったアルファは一冊の薄い本を私に渡した。そう言えば、私は生まれ変わってからというもの、この世界の原理は知らない。どこかのヨーロッパの国なのかとも思ったが、どうやら違うみたいだった。


(郷に入っては郷に従え、という事ね!)


そして、本を読み始めたのだが、、、


(何これ?なんて書いてあるのか全然わかんない!)


アルファに聞こうとしたのだが、アルファは仕事をせっせとやってくれている。こういう時に聞くのもな、と思い、アルファに聞くのをやめた。そして、何が何だかわからない文字を暫くずっと眺めていた。するとどこからか声が聞こえた。


『これはね!世界の創世記って書いてあるの!』


「へえ。この世界の創世記ね。・・・?誰?」


目の前には、5,6人?程の妖精っぽい者達が宙に浮かんでいた。


「お嬢様?どうかなさいましたか?」


アルファが聞いてきたのだが、妖精たちが全力でストップを掛けている。


『だめ!僕等がいること、伝えないで!』


「い、いや!なんでもないのアルファ!仕事に戻って構わないわよ!」


「そ、そうですか?では、仕事させていただきますね。」


そう言って仕事をし始めた。

ふうと溜息を吐く。


『私達の声は、彼等には届かないわ。そこだけ注意してちょうだい。』


(「分かったわ。でも、なんで私には貴方達の声が聞こえるの?」)


と、私は小声で問いた。

其れは単純な疑問であった。が、


『其れは秘密!』


と返された。


(「そうだ!私はまだ、ここの世界の言葉を知らないの。だから、教えて貰っても構わない?」)


『うん!もちろんだとも!』


妖精達はそれから、この世界の創世記。いわゆる、この世界がどうやって生まれて、どんな所なのかが書かれてあった。


この世界は、元々何も無く混沌とした所であった。そこに、この世界の創造神であるセフィレイが、土を固め大地を作り、植物や動物が生まれ、凹みの現れた場所に海が現れ、魚などの海で生きていける動物たちが生まれた。それと同時に、それぞれを守護する精霊隊が生まれた。精霊は神と同様に、自分の持つ力で世界を守る使命を与えられているが、力は一つの能力につき一つの精霊だった。そして、その精霊が動物と化した生き物がドラゴンである。ドラゴン達は精霊の王と呼ばれ、この世界にはたったの5匹しかいないのだそう。そして、この世界の監視者でもある。だが、その5匹は違うようであって同じであった。何故ならば、この世界の根源の五大元素である、火・水・風・土・光の属性にそれぞれ分けられているのだが、彼等は意志を持ち、各々を兄妹だと見なしていた。そして、天地が創造されるのだが、神はそれでもつまらないと嘆き、人間を作った。彼等はドラゴン同様意志を持つが、ドラゴンのように強い力はない。だが、人間は内なる魔力を出せることが出来たのだった。だが、それ故に争いが起こってしまった。一人一人の持つ魔力の違い、食料の争い、精霊の争い。様々な要因で人間は争いあってしまった。それに嘆いた神は、人間から力を奪い取った。その力は魔力や精霊の契約を含む一切の力。そして人間達は気付いた。なんて愚かなことをしていたんだろうと。そして、平和に互いを思って過ごしていくことを誓い、神がこれを許し、力を一部戻した。


『そしてね、ついでに人間は産まれる時にね、石を持って産まれてくるの。』


「石?」


そんなもの、見たことがない。


『そう!石!その石は自分の内なる魔力と比例していてね、この世界では石の色が緑、黄色、オレンジ、赤、青、紫の順に魔力が増していくの!』


「へえ。でも、私ね。そんな石見たことないの。」


妖精達は驚愕の顔をして此方を見た。そして、


『うそ!そんな!何も知らないの?』


「う、うん。」


どうしたんだろ。何か不味かったかな。

だから、私は話を変えた。


「そ、それより、例外とかってないの?石の色。」


『例外か・・・』


何とか話を変えることに成功した。


『黒と白とさっき言ったそれ以外の色かな。滅多にないけど。それより、話を変えないで!両親から何も聞いてないの?』


「う、うん。」


妖精達は全員で一気に溜息を吐いた。

でも、何も知らないのは罪よね。この世界を知らないのはこの世界で生きてる者としてはとても恥じた方がいい事だ。良い機会だし、聞いてみよう。


『産まれてくる時に持つ石はね、貴方の分身でもあるの。』


「私の分身?」


妖精達によると、その石は魔晶石と言ってその人自身の魔力に合わせて様々な色に分けられ、本人が死ねばその魔晶石は一緒にこの世界から消されるそうなのだ。だが、魔晶石を壊しても、消えてはいないので本人が死ぬことは無いが、奪われたりされれば、本人を操る事は可能である為、大切に取っておかねばならないらしい。

しかし、私はその石が何処にあるのかさえ検討もつかなかった。だから、勇気を持って両親に聞いてみようと思った。


「とーさまとかーさまが帰って来たら、聞いてみるね!」


『聞いてみて!君の魔力はとても大きいから、奪われでもしたら世界がむむむむ!』


喋りかけた妖精の口が突然塞がれた。


『なんでもないわよ〜。』


と、焦る妖精とその仲間たち。

なんか様子が変?ま、いっか。

とりあえず、両親にこの事を聞いてみよう。

すると丁度良いタイミングで両親が帰ってきた。


「ラフィー!パパだよー!帰ってきたよー!ただいまー!」


「貴方、親バカもたいがいにしなさい。」


といういつもの会話で。

ナイスプレイ!かーさま!あの親バカである父は段々、親バカが酷くなってきている。

はぁ、と大きな溜息を吐いた。


「かーさま!おかえりなさーい!」


「えっ?ラフィー。とーさまもいるよ〜。」


「ラフィー、ただいま。」


そう言って母は私をぎゅっと抱き締めた。

幸せだなぁ〜。

そういえば、前世では、母はあんまり私を相手にしてなかった気がする。でも、過労死で死んだから、あまり良い気はしないと思う。

心配、かけちゃった、かな·····


「ラフィー?どうしたんだい?」


「な、なんでもないよ。とーさま。」


?なんか忘れてるような·····

あっ!石のこと!


「なにか思い出したのかい?」


優しく父は問いかける。


「あのね!·····」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「はぁ。呼び出されるとはね……」


オベイル・アンネ・エリアルは、この国の王に呼び出され、妻と共に王宮に向かっている。


「あなたの想定内じゃない。対策は練ったのでしょう?」


「まあね。あいつ、妙に鋭いところ、あるんだよね。」


「この国の国王陛下に、あいつ呼ばわりは宜しくないと思うわ。」


相変わらず、妻は冷たくこちらを睨む。

でも、惚れたのは俺なんだけど。


「それもそうか。」


「でも、内容的に隠し通せるかしら。」


楽しそうに此方を見る。

全く。遊んでるようだ。


「それが問題なんだよ。妙に鋭いって言ったじゃないか。」


「いざとなった時は、フォローするわ。ひとまず、あなたのやり方で、隠しなさい。」


「ああ、勿論だ。」


(愛する娘の為に·····)



***


ティグリーナ城。

そこは、世界の中でも最も美しい城だと言われている。相変わらずの絶景だ。


「あいつが国王ね。」


ぼそっと呟く。

そして妻が睨む。


「ごめん!ごめんって!」


「謝るなら国王陛下にして頂戴。」


ともかく、この件を終わらせなければならない。

それには、妻も必要である。それなのに、そんな気がしないのがとても痛い。


そう思っているうちに、近衛兵が此方にきた。


「エリアル公爵、ご夫人様。客間の方へご案内させて頂きます。」


「あぁ。」


城の作りは、至ってシンプルだが、豪華さがなく派手ではない。従って、城の美しさには毎度の事だが、素晴らしいと思う。


(何度来ても、ここは美しいな。)


そうしている内に、客間に到着した。

中には偉そうにしている奴が1名とたたずまいやらほぼ全ての関連において気品がある御方がいた。ま、妻には勝てぬがな。


そして、一礼し、座る。


「やあ、オベイル。久し振りだね。」


「どうも。おひさしぶりでございます。国王陛下、王妃殿下。」


「相変わらず、冷たいな。君は。」


「いつもの事です。」


「貴方。折角、わたくしたちが呼び出しをしたのよ。来てくれてよかったでは無いですか。」


「それもそうだな。」


そして、少し笑った。

・・・馬鹿にしてるな。此奴。

ヘルプ!セリー!

と思って妻を見たのだが、こちらを見ようともしなかった。


「ごほん。えー。では、本題に入りましょう。」


「そうだな。君は知っているか?大きな魔力が数年前に感知された事。」


「噂では。」


「ほう。内容を言ってみろ。」


きた。


「街中を巡回していた時にございます。住民達が口々に発していた言葉が、『巨大な魔力が感知されたそうだ。』です。様々な生命に関わってくるのかもと言っていました。」


「そうか。実は、君も知っていると思うが、魔力の発生源の予想地点が、エリアル領と研究員から聞いたのだ。お前はこれをどう思う。」


「それは、あくまで予想でしょう?事実ではない。しかし、魔力を感知したのも事実。」


「俺は思うのだが、君。息子がいたな。」


「はい。それが何か。」


「その息子が生まれた時も、今回よりは小規模だが、ほとんど同じ事が起きた。そしたら今回も「お言葉ですが!」


国王は、つくづく勘が良すぎる。


「其の可能性は、大いにあります。ですが、私達の子供が産まれたと、誰がそのような事を言っていたのです?私達の子供は息子ただ1人です。」


「では、療養すると言って、何年間も君は僕の目の前に現れてはくれなかったでは無いか。」


奴の心の中が詠める気がする。

と言うより、顔に出ている。

笑ってやがる。


「その間に、子供が出来てもおかしくはないだろう?」


「それもそうですわね。」


妻が割って入ってきたが、なんで奴をフォローしているんだよぉ。


「ですが、国王陛下。療養したのは、わたくしの身体が悲鳴をあげたからとお伝えしたでは有りませんか。」


「·····それもそうだな。」


有難うセリー!!助かった!


「けれど、女性たるもの、懐妊すれば自然と身体の具合が悪くなるのは当たり前ではなくて?」


「残念ながら、わたくしの身体が悲鳴をあげたというのは、恥ずかしながら、骨が折れてしまったからにございます。それがショックで、心の病にかかっていたのですわ。」


「そんなに簡単になるのかしら?心の病とやらは。」


王妃殿下も、何故か国王陛下に似て鋭い。

だが、我妻に話で勝るものはこの国には、いや、下手をすれば、この世界には居ないのかもしれない。


「残念ながら、わたくしの心はガラスのように美しく、繊細にございます故、ちょっとの事で傷がついてしまうのです。」


やばい、これには笑ってしまいそうになった。

だが、俺の代わりに笑ってしまった者がいた。


「はははははは!」


「「「!!!」」」


国王陛下だ。


「君の妻の言い分は分かった。結論は、君たち夫妻ではないのだね?」


そして、僕達は縦に首を振る。


「では、私達はこれで。」


「あぁ。気をつけて帰りたまえ。」


会議は終わった。やっとラフィーのところへ帰れる!


そして、王宮に出て、俺達は帰った。





「はは。ここまで口が達者だとは。」


「セリーを馬鹿にしないでくださる?貴方。」


王妃殿下はエリアル公爵夫人と幼い頃からの付き合いだと言う。


「だが、君に娘がいたとはね。オベイル。」


「あら。また企んでますの?」


時既に遅し。

国王には彼に娘がいることを知られていた。


「王子の妻に。とな。ふふ。」


「可愛かったらですけど。」



遅れてすいません。

全力で謝罪します。

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