プロローグ
皆さん初めまして。秋野小夜と申します。突然ですが、現在進行形で疲労を積み重ね、パソコンのキーをうちながら、私は残業をしています。
「ぜーんぜん終わらん!!なんでこんなことやらされる訳!?これあたしの仕事じゃないでしょ。」
それは、およそ3時間前のことである・・・
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「かーちょおっ♡」
「おっ!〇〇ちゃん!」
まただよ。あの野郎ども。いい加減学べってぇの。
いつものような光景になれる私。
うちの課長とうちの課の中でも、
超絶めんどくさい後輩が漫才のような会話をしている。これは私なりの侮辱だ。
「こんやぁ、一緒にご飯。行きません?♡」
「いいねぇ!そんじゃどこ行こうか?」
「じゃあねぇ.......(略)」
行くのかよ。(あといちいちハートうぜぇ。)
·····まて。冷静に考えろ。嫌な予感しかしない。
「んじゃ決まりね。」
「はーい♡ではまたあとでね♡♡」
「ばいばーい♡」
彼女は自分の仕事に戻ると思っていたが、
仕事場から出て行った。
「…おーい。秋野ぉ。」
「あっ、はい!」
そして、その嫌な予感は、的中することになる。
「今日お前残業な。この量さ。残しすぎ。効率よく働けよ?」
「は、はぁ。」
差し出されたのは、大量の資料=仕事。
しかもそれは全てあの課長(クソ上司)がやらなければならない仕事であるが、中にはあの後輩がやらなければならない仕事もあった。
そうして、怒り(ストレス)が蓄積された。
いやそれ全部お前らの仕事!!!ふざけんなー!
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そして、今に至る。
はぁ。あのクソヤローども、いつか痛い目見るぞ。課長は浮気してんのバレバレ。おくさんかわいそっ。
うちの上司の奥さんに同情しながら、私はたんたんと地獄な時間を送っていた。しかも、このような出来事は今に始まったことではない。
家にいる時間が1時間もないし。はぁ。
「こんなことなら、好きなこと沢山やって生きてきたかったなぁ。」
と、私は呟いた。
すると、
「秋野!大丈夫か!?」
「.......だれ?」
会社の社員の男性が、突然入ってきた。
その人は会社のアイドルらしくて、イケメンだと女性社員からとても人気らしいのである。ただし、彼は他の課である。
「おいおい!俺、お前と同期だろ!?」
そんなこと言われたって。わからんものは分からん。
それに、こんな陰キャを相手する人なんて絶対この会社にはいないと思う。いや、思っていた。
この男はそれにもかかわらず、話しかけている。
「...」
「高野だよ!高野一!」
私は、私の頭脳をつかって、からかーなーりっ!体力とエネルギーを消費して、ようやく答えを導き出したのだ。
「あぁ!資料のときの!」
「思い出してくれた?」
以前彼には、私が資料の片付けをしている時に、おもそうなダンボールが落ちそうだったところを助けてもらったのだ。
「やぁ、ごめん。ちょいと記憶消えんの早いもんでね。」
「ばあちゃんかよ。それより、ほんと体調とか大丈夫か?目にクマできてんぞ。」
「マジ?」
私はやっと、鏡を見て、私がどれがけ疲労が溜まっていたことか気づいたのだった。
「あらま。だいぶ疲れてるなぁ。私。」
「ほんと。無理すんなよ?」
「無理してんのかな。でも、この仕事にやりがいがないと言ったら、嘘になる。」
それは、本当に思っている。
仕事をするのは楽しい。ただ、人より量が多いだけで、それ以外はなにもほかの社員とは何ら変わりないということはちゃんと知っている。
多分、それが陰キャと呼ばれる原因なのだろうけど。
「この仕事が楽しくてもよぉ。
疲れってのは知らないうちに溜まってるもんだよ。
それに、疲れてることにやっと気づいたお前はほんとそこら辺自覚した方いいと思うよ?」
「そっか。...でも!仕事はちゃんと終わらせる!」
「お、おう。がんばれよ。」
「うん。でも、慰めてくれてありがとね。元気でたわ。」
彼のおかげで、少し元気は戻った。
おかげで、やる気も出てきた気がする。
「じゃ!頑張れよ!(チラッ)」
「おうよ!」
(・・・?今、チラって…。ま、いっか。)
一瞬、画面をチラ見したような・・・。
気のせいかな。
翌日
いつもの起床。いつものご飯。いつもの着替え。
いつもの出勤。いつもの電車。いつもの人だかり。
そんな毎日が私は好きだ。
そう思いながら、会社に入る。
すると、なんだか私が所属している課の方で何やら騒ぎが起きていた。
(なんだろ?誰かミスったのかな?)
「おはようございます。」
いつもの挨拶をしても、誰も気づかず、ただただ討論を繰り返していた。今更だが、私は仕事が始まってから友達がいない。話がずれるが、学生時代のともだちはいるよ?
「どうしてくれるんですか!課長!!」
「このミスを誰が責任取るんですか!!」
聞き耳を立てていたところ、たくさんの圧をかけられているのははどうやら課長だったようだ。それに、その問題は、会社の威厳を損なうような大問題であったそうなのだ。いや、下手をすればこの会社が潰れるだろう。一応、私の働いている会社は日本の大企業である。だから、何としてでもこの問題は解決せねばならなかった。
「そっ。そんな事言われても、、、。」
中には高野くんの姿も見受けられる。
(はぁ。)
まあ、自業自得じゃね?と思う。
そりゃそうだよ。あんだけ遊んでたらさ。
「いい加減にしてください!!」
「責任とってください!!!」
「この会社がつぶれたらどうするんです?!」
と、社員達は課長に向けて、
批判の声を次々に上げていた。
あんな子にお金を使うんなら、私だったら生活費にまわすわ。
でも、ほおっておくのは、
なんか違う気がした。
「・・・ちょっと待ってください!!」
私もたいがい
「それは・・・私のミスです。」
お人好しもいいところだ。
「「!!!!!」」
「そのミスは、昨日私の不注意で起こったミスです。なので、責任は自分にあります。」
あぁ。やっちゃったよ。
周りからコソコソと言っているのを聞こえて、なぜこんな騒動が起きているのかが分かった。
ここは、取引先の会社と、連携をとるために、まあ、企画の面でバランスを崩さないようにする課だ。
だが、今回の問題は、相手の会社に企画の書類が渡っておらず、ついでにその企画は社長でさえも一目置く特大プロジェクトである。それが渡っていないのは分からないが、もうこの会社内では企画の書類と同じような詳細の書かれたものはなく、いい所まで進んでいるのにもかかわらず、渡っていなかったのだ。だが、残念ながらその仕事は私の仕事ではない。でも、その仕事が誰がやっているかもほとんどの人は知らない。私のお人好しに私は勝てなかった。いや、勝てないのである。
「急ぎましょう。」
私が一言呟き、仕事を始めると。騒ぎは一気に収まり、さっさと自分の持ち場に着いた。ああ、なんでこうなったんだろうと実を言えば面倒臭いのである。私のストレスが溜まった瞬間である。
そして、私は心の底からため息をついたのである。ついでに、どこからか、視線を感じた。気の所為だと思うが。
そして、今に至る。
カタカタカタカタカタカタ
カタカタカタカタカタカタ
(あの企画の内容。うーんと。なんだっけ?ああ!)
考える事が嫌になってくる。いや、むしろ嫌だ。
誰かの助けは必要ないのだが、中々終わらない。そのおかげで蓄積されたストレスが溜まりすぎて一部睡魔になってきる気がする。すると、はたまたあの男がやってきた。
「秋野。お前、大丈夫なのか?」
「??た・・・かの?」
「その??っていう顔やめろよ!余計悲しいわ!」
いいツッコミだと思った瞬間である。
「ははっ!心配しなくても大丈夫だよ。こんな量の仕事大したことないとは言えないけど、大分終わったから。」
「そうか。」
悲しい視線の先には私。同情から来る視線だ。
だが、やはり違和感を覚えたのだ。彼の行動に。
あの問題の後、ある事実が判明したのだ。
それは、今回の問題を指摘したのは高野だという。それについて違和感を覚える。
(ああ。こういう事だったのね。)
私の中で何かがカチッと音がなり、まるでパズルが完成したかのような心地になった。結論、なんでこんなことになっているかが分かった。
「なあ、秋野。なんでお前課長助けたんだ?」
「・・・あぁ、あれは、ただ私が仕事したかっただけの口実。」
「・・・嘘だな。」
ぎくっ!
「課長に大量の仕事ふられて、嫌ァな顔して承諾してたのにさ。」
「そうだね。でも、理由なんてどうでもいいんだよ。」
「つまり、どういうことだ?」
向こうから質問が来ると思はなかったが、ここは絶好のチャンス。
「ただの私のお人好しだよ。ついでに言うと、高野くんだっけ?君が今回の件の犯人だね。」
「!!!」
説明しよう。まず、引っかかったのは朝の出来事。なぜ、他の課である彼がこの問題を知っていたのか。うちの課の大ミスであるが故に他の課にも行き渡ってしまったのだろうと周りは言っているが実はそうではない。次に、 昨日の彼がチラっと見たのが、私のパソコンの画面だということ。恐らく、確認したのだろう。課長がどんな仕事をしているのか。そして、私のいない間に大事なところを抜くのはとても簡単である。この課からトイレや喫煙室に行くまで、他の課よりは距離が長い故に時間も長い。短時間で抜くことは大いに可能である。そして、多分彼がこの犯行に及んだ理由はこうだろう、
「君は課長に騙されたことがあるね?しかもお金の面で。かなりの多額だったようで。」
実は、日中、彼と課長との繋がりを確かめにかなり調べ尽くした。
「・・・。ああ、その通りだ。お前、どこでそんなこと分かった?」
「うーんと。秘密だよ。」
「んで、この事件は解決されて、俺はもう用済みだから、その仕事をやれってことか?だったらいいぜ。でも、正直邪魔が入るとは思わなかった。逆にこの件に乗ってくれるかと思ったけど。お人好しだよ。お前。」
「えへへ。でも、仕事は私がやるよ。正解してるのか確認したかっただけだよ?なに?なんか文句でもある?」
彼は驚愕の顔をしてこちらを見る。私は、彼を罪に堕とそうかとか考えてはいない。むしろ、私のストレスを解消するために今回の件は思いっきり私の八つ当たりである。モヤモヤした問題を簡単に解消する方法は故に解決済み。よって、中野くん?だっけ?にお前が犯人なんだよ!的なことを言い、ストレスを解消させた。もとより、私は問題を解決するのは好きである。私が持っている本の殆どはミステリー小説やなぞなぞで埋め尽くされている。
「俺がやったことだろ?何も、・・・おまえさぁ。」
先程の顔とは裏腹に呆れた目でこちらを見る。
「ほんっと、お人好し。」
そう言って、彼は出ていった。
なんだかスッキリしたなあと思っていたのだが、大問題が目の前に佇んでいる。
(ああ。やっぱ手伝ってもらった方が良かったかな?)
溜息をつき、私は仕事に取り掛かる。
三日三晩仕事をして、流石に周りから心配されてこちらを見る。が、誰も手伝ってはくれなかった。何故なら友達がいないから。もう、私の体も限界である。
(あと、あともう少し!もう少し!)
私は死ぬ寸前まで、頑張っている。限界を超えた今、私はもう、やばいな。と少し感じている。
カチャッ!
Enterキーの音が鳴り響く。そして、
私の体はもう既に最期を迎えていた。
バタりと地面に横たわる。
社員達が私の周りに集まり、叫んでいる。
だが、もうその声も私には届かなかった。
そこでふと思う。
(次は、幸せな世界で世界最強!なんてね。)
だが、空から声が降り注いだ。きがした。
『了解したわ!小夜ちゃん!』
これもまた、気の所為だと思ったのである。
だが、その認識は違ったと言えよう。




