エピローグ
予報通りクリスマスは晴天に恵まれました。
カーテン越しの陽光に照らされて目が覚めた茂樹は、目を擦りながら頭上の時計を見上げます。
約束の時間まで二時間ある。
そう確認してから一度伸びをして起き上がりました。
リビングに降りると、簾迦が朝食をとっている所でした。
ちなみに両親は昨日から旅行です。
「おはよう」
「おはよ、お兄ちゃん。目玉焼きとか、もう作ってあるから」
「ああ、ありがとう」
簾迦は地道な努力の結果、大分料理が上手になっていました。
茂樹はその朝食を食べると、まだ早いか、と思いながらも万が一に備えてすぐに家を出る事にしました。
現在の時刻は、午前8時5分。
茂樹は◎◎◎駅に到着しました。約束の時間まで55分もあります。
それまでここにいよう、と心に決めました。
私は早く起きたというのに、なかなか出掛けられないでいました。
母が、折角のデートなのだからもっとお洒落しなさい、とせっついてくるのです。
元より私もそのつもりでしたが、母のそれは母と父が若かった頃を一々思い出しながらやるので、私が着ようと決めていたお気に入りのワンピースはあっさりと却下されてしまい、でも私はそれを着て行きたく、といった感じになってしまいます。
そんな事を続けているうちに、約束の時間まであと30分の時間になってしまいました。
母には悪いですが、やっぱりお気に入りのワンピースを着ていく事にしました。
急いで着替えて外にでます。
「いってきます」
「いってらっしゃい――」
何か母が続けて言ったような気もしましたが、私は聞いて聞かぬ振りをして出発しました。
少々走ったせいでしょう、息が切れた状態で◎◎◎駅に到着しました。
ですが、何だか様子がいつもと違います。
ロータリーには数台の救急車とパトカーが止まっていて、駅ビルの入り口を囲むように人垣ができていました。
私は嫌な予感がして、人垣を掻き分けながら前に進みます。
黄色に赤字で立入禁止といくつも書かれたテープの向こうには、野次馬の喧騒ではっきりとは聞こえませんが一人の男の人が取り押さえられながらも喚いているようです。その手は赤く染まり、その赤いものは地面にも広がっていました。
その中では異様に目立つ白い服を着た救急隊員の方たちが、次々と服を赤に染めた人たちを運んでいきました。
私は何が起こったのかはっきりと分からないままその場に立ち尽くしていました。
暗くなり始め、体が震えました。
茂樹はいつまでたっても来ませんでした。
もしかしたら家にいるかもしれません。
そう思い、私は茂樹の家に向かいました。
「あれ、お姉ちゃん?」
簾迦が出迎えましたが、私はそれに軽く返事をしただけで茂樹の部屋に向かいました。
暗い部屋。その部屋に、茂樹はいませんでした。
私は操られているかのようにベッド脇の机に向かいます。
そこには一冊のノートが置いてありました。
私はその1ページ目を開きました。
あとがき
後半は適当さが増し、最後は中途半端に終わってしまいましたが、これにて本作の筆を置きたいと思います。
元々は茂樹編と小詠編の二つを書こうと思っていましたが、ここでは茂樹編のみという事で。
自分の腕が上がった場合は小詠編を書くかもしれません。
最後まで拙作にお付き合いいただき、ありがとうございました。




