表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/26

14 出発と到着

 無事、テストも終わり二年生に進級できたと分かりほっとする三月。

 予餞会や卒業式、そして終業式も終わり春休みに入った。

 桜の花の芽はまだまだ小さく、例年よりも遅い咲き始めになるそうだ。

 そして今日は二十二日。

 正午過ぎに出発する飛行機に乗るため、家を出る。

 そこにはどこで用意したのか中型バスが一台止まっていた。田奈浜家が借りたのだろう。

 それに乗り込むと、すでに全員が乗っていた。狭山家が最後のようだ。

「おはよう」

 奥に座っている全員に挨拶をして、前の方に座っていた小詠の隣に座る。

 続けて入ってきた簾迦や両親は僕の前に横一列に座った。

「では、出発します」

 運転席に座ったスーツ姿の運転手は後ろに向かってそう声を投げかけると、バスを出発させた。


 バスに揺られる事二時間弱、空港に到着した一行は搭乗時間までの間に昼食を済ませる。

 僕は、自分の家族と小詠の家族の合わせて六人と共に途中で買った弁当を食べ始めた。

「こうやって双方の家族全員が集まるのは、初めてになりますか。狭山さん」

「そうでしょ。まあ、そんなに固くならずに。仲村さん、これから色々と一緒になることも多いでしょうから気楽に付き合いましょう」

 そのように会話が始まり、それぞれ簡単な自己紹介をした。

 この時は既に僕と小詠が結婚するもの、と両家族には認識していたらしい。


 飛行機に乗り、いつの間にかO県に到着していた。

 意外と早く着くんだなと思いながら、目的のホテルへ空港近くの駐車場で待ち構えていたバスに乗って向かう。

 □□□ホテルに到着すると、大勢の従業員が出迎えに現れた。

「「ようこそ、おいでくださいました」」

 従業員から同時に発せられたその言葉を、始めに降りた田奈浜姉妹は当然の事と受け止めて平然とホテル内に入っていく。

 続けて僕の両親と簾迦、そして僕と小詠。そのあとに小詠の両親と続き、そのあとに百桃と新庄、麻木、元村の四人が、その後に青梅、そして最後に啄朗と紺野、横下とホテルに入った。

 □□□ホテル・沖縄は円柱形の三十二階建ての建物に、横長な直方体の十階建ての建物がくっついたようになっている。上空から見ると、前方後円墳のように見えるだろう。

 エントランスにもなっている円柱形の建物の一階には、中央が九階までの吹き抜けの底となっており、その周りを売店や受付が取り囲んでいる。二階から九階までは吹き抜けを囲むように廊下があり、そこから放射線状にそれぞれの部屋が配置してある。十階から三十階までは吹き抜けがあった部分にも部屋があり、三十一階と三十二階はスウィートルームとなっていて一フロア全体が一つの部屋となっている。

 直方体の建物の地上一階から三階部分には食堂や遊戯施設が複数存在し、四階より上は□□□ホテルの従業員用宿泊施設や事務処理のためのオフィスフロアとなっている。地下には大浴場やサウナ、マッサージを受けられる部屋などが並んでいる。

 先頭を歩く田奈浜姉妹は躊躇いなくエレベーターに向かい、全員が乗ったことを確認すると32と書かれたボタンを押した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ