プロローグ
学校の屋上。そこにはなぜか円い穴が空いていて、それが木の板で粗く塞がれていたはずだ。
そんな屋上に、僕は向かっていた。
階段を上りきり、屋上に繋がる扉を開けた。
初冬の冷たい風が吹き込み、僕の髪を揺らす。
そのまま前に進むと扉が自然に閉まり、バタンと大きな音をたてた。
屋上は僕が思っていた通りだった。ただそこには女子が一人いたが。
仲村小詠、僕をこの屋上に呼び出した張本人だ。
僕は声をかけようとしたが、先に小詠が振り返って口を開いた。
「茂樹君、付き合ってください」
突然頭を下げそう言ってきた。
すぐに対応ができなかったが、頭を下げたままにしておくのも忍びないのでとりあえず声をかけた。
「まあ、まずは頭を上げてください」
ぱっと顔を上げる小詠。
しどろもどろになりながらも言葉を続ける。
「その、なんでしょう、僕なんかで、いいのかな」
僕の弱気発言に、小詠は首を縦に振る。
突然の告白に動揺していたが、僕でも可愛いと思う小詠のお願いを嬉しく感じていた。
「それじゃあ、うん。いいよ」
そう言うと、小詠は目を輝かせて抱きついてきた。
腰に回された細めの腕に、放すまいと力が入るのが分かった。
僕も優しく小詠の背中に手の平を当てた。
これは、僕と小詠のちょっと不思議でちょっと悲しい物語。
僕は最後まで書ききる事はできないけれど、小詠に託そうと思う。
僕が何を思ってきたのか、今の小詠にも知ってほしい。
多分これは遺言代わりになってしまうと思うけど、小詠はこれからも僕と一緒だよ。
寂しくなったらいつでも連絡していいから。
僕は、いつでも待っているよ。




