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保健室でのその後。
「んんん・・・もうこんな時間か。」
眠そうそうな声でベッドから起き上がり、スマホで時間を確認する。
「げ、もうこんな時間かよ!晩飯の用意しないと。」
時刻は17時を回ろうとしていた。普段なら外で済ますのだが、この春から一人暮らしを始めて間もないし、まだバイトもしてないから出費は抑えたいのだ。
もぞもぞと朝にベッドから出るように、保健室のベッドから抜け出す。一回伸びた後に保健室を出る。
「ここどこだよ・・・・」
彰憲は、気絶して運ばれて来たことをスッカリ忘れていた。案内板を探そうにも、ここ帝北大学は、全学年合わせて2万人を超える国内有数のマンモス校なのであるから。ついでに言うと彰憲はかなりの方向音痴である。
「まぁなんとなるかー。」
小さくそう呟きながら、壁に手を当てながら歩き始める。一種の迷路の脱出方法なのだが、大学の構内でこれをやるのは、いささか恥ずかしい彰憲である。