楽しい旅行計画と人の心
ふぁ~。眠いし手が腱鞘炎になっている。
私は自分の右手の湿布がはってある手を見つめていた。
昨夜、莉菜にスパルタ勉強の指導をされていたせいか、私の脳内は何かもうポワポワしてる。
そんな頭の状態で私が向かっている場所は、あーたんの家で勉強が終わってからスマホを見ると、あーたんから連絡がきていて、連絡の内容が旅行に関することを決める話をすることだったのだ。
なので私は眠い目を擦りながら近くのコンビニによってお菓子やジュース類を買いあーたんの家に向かっているのだが、道に迷った模様。
あーたんの家には一度も行ったことがなく、住所さえ聞いておけば行けるからいいやと思い住所だけ聞いたのだが、完全に迷子である。
私は頭をかきむしりながら、近くに公園があったので、あーたんに電話することにした。
電話をかけるとあーたんは数秒ででてくれたので私は
「あーたん!大変だ!迷子になった!ヘルプミー!」
と私が言うとあーたんが笑いながら
「迷子?もう近くまで来ているはずなのに、何してるんだか。どれどれ、あっ、絵莉見つけた」
と言われ私はキョロキョロと小さい子どもの用に周りを見ていたら遠くからあーたんが手を振っているのを見つけて、私はあーたんの方に走って行く。
なぜだろう。あーたんを見ると安心して涙目になってしまう自分がいる。
あーたんは私の頭を撫で撫でしてくれる。きっとあーたんは直ぐに莉菜とのスパルタ勉強をしていたことを悟ったのであろう。
優しく撫で撫でされ続ける私はもう小さい子どもになっていた。
そんな私を見てかあーたんは
「さてと、そろそろ家に行こうか・私の家はもう直ぐ近くだよ」
と言いながらあーたんは私の手引きながら歩く。
たまにあーたんはもの凄くお姉さんになる時がある。本当にいい友人と出会えて私は幸せ者だなと思いながら、あーたんに手を引かれながらついて行く。
「着いたよー。ここが私の家。似たような家が沢山あるから、迷子になりやすかったかな?とりあえず上がって~。あっ、今日は親もいないから変に気を使わなくてもいいからね」
と言いながら、あーたんは玄関のドアを開ける。あーたんの家は一戸建ての外国風な柄の家だった。
あれ、あーたんの家ってお金持ちですかね?と思いつつ私は玄関に足を踏み入れる。
「お邪魔しまーす。わぁ、玄関広い。あーたんの家凄く綺麗だね」
私はそう言いながら靴を揃えてあーたんに言う。
「いや、そんことないよ。親が建築関係の仕事しているから、そのせいじゃないかな。とりあえず私の部屋に行こうか。こっちだよ」
あーたんは言いながら、螺旋階段を上がりながら私を呼ぶ。
私はあーたんの傍まで行き、あーたんが部屋のドアを開ける。
私は何かドキドキしていた。それもそのはず、今まで友達の家に何か行ったことがないからだ。
おそるおそる中に入ると、部屋はとても広く開放的な感じの部屋で女の子らしい部屋で、壁にはあーたんの好きなメイド喫茶の子達のポスターが貼られている。
「私、コップ持ってくるから絵莉は寛いで待っていて」
とあーたんに言われ、私はとりあえず適当に床にお座りすることにした。
ポスターさえなければいい部屋じゃないのか?と思ったが、人の趣味は人それぞれなので関係ないなと思いながら私はあーたんを待つ。
「お待たせー。絵莉が飲み物買ってきてくれたおかげで助かったよ。冷蔵庫見たらワインしかなかったからさ」
と言いながらコップにコーラをそそぐあーたん。
私はあーたんの言ってることに色々ツッコミをしたいところだけどやめた。
「ところで、右手大丈夫?昨日連絡が直ぐこなかったからきっと莉菜とのスパルタ勉強をしているんだろうなと思っていたんだけど当たりかい?」
あーたんは言いながらついでにポテチなどもあけながら聞いてくる。
「うん。その通りだよ。悪魔な莉菜様が降臨して、ずっとスパルタ勉強。手がこの通り腱鞘炎になりました。でも旅行のサプライズは隠しておかなきゃいけないしね。私頑張ったよ」
と思いだしながら話していると、何だか涙がでてきた。
あーたんは私の頭をよしよしと撫でてくれるので、思いっきり甘える。
今の私は小さい子ども。だから許されるのだ。
「それで、旅行の計画はどんな感じにする?水族館は確定だけど、水族館の周りって海しかないから、することないよね?」私はあーたんから離れコーラをゴクゴク飲みながら聞く。
「んと、とりあえず一泊二日の旅行にしているんだけど。一日目に水族館に行って、二日目に南小樽の観光地を巡るのはどうかな?と思っているの」
「あー。なるほどね。朝に行動開始して、水族館に行ってんでホテルに戻ってって感じか。うん、いいんじゃないかな。で、私いつ莉菜に告白すればいいの?私のイベントそこなんだけど」
二人でゴクゴクコーラを飲みながら話す。
あーたんは私の質問に
「んとね、水族館見た後海辺に行きます。ちょっと人が少ない海辺があるんだよね。そこまで三人で行って、私は途中で飲み物か何かを買う感じで離脱するからその間に、ちゃんと告白しなさい!ちょうどイルカショーと色んなの見ていたら、夕暮れくらいになるはずだから、告白するにはベストだよ」
私はあーたんに言われたことを頭の中でイメージしてみた。うん。何かイケる気がする。
「あーたん、ありがとう。私頑張る!そして三人でいい思い出を作ろうね!」
「うん、その調子だよ。南小樽の観光地は色々な食べ物もあるし、ガラス細工もあるし楽しめるしね。最高の思いでを作ろう!」
私はうんうんと頷きながら最近、あーたんの恋愛事情を聞いてなかったなと思い聞くことにした。
「ところでさ、あーたんあのメイド喫茶の子とは順調なの?最近全く話に出てこないから気になったんだけど」
あーたんは今までのニコニコな笑顔から真面目な顔になり
「んとね、結構前に私から別れた。ゴメンネ。ちゃんと言ってなくて。やっぱり私は自分の気持ちに嘘をつけないみたいだからさ・・・・・・」
あーたんはそこまで言うと私に向けて不敵な笑みを向ける。
私は何て答えたらいいのか分からなくなってしまった。
だってあんなに店にまで通ってつき合うことになったはずなのにどうしてだ?と思っていたらアーたんは呆れた顔で私の傍に来て私の頬にキスをしてきて、私はビックリする。
「分かった?いくらにぶい絵莉でもここまですれば分かるでしょ?私は絵莉が好きなんだよ。だけど絵莉には好きな人がいて、ほぼ二人は両思い。だから私は全力で二人の恋を応援するんだよ」
あーたんは笑いながら私から離れ旅行雑誌を見始める。
私はあーたんから雑誌を取りあげ、抱きしめる。
「あーたん、ゴメンネ。そしてありがとう。こんな私を好きになってくれて。そして応援してくれて。あなたは今まで出会ったどの人よりも最高の友人だよ」
私は泣きながらあーたんに思いを伝えた。
あーたんは私の頭を撫でながら涙をこぼしている。
しばらく二人で泣きながら抱き合ったあと、二人でがっつり握手をする。
「これからもよろしくね絵莉」
「こちらこそよろしくあーたん」
私とあーたんは二人で微笑みながら旅行の計画の続きを立てることにした。




