はりきりマン!
誰かが私のことを呼んでいる。この声は莉菜?莉菜はどこいにる?
「絵莉、起きなさい。何回起こせばいいのかしら?」
私は目をゴシゴシこすりながらハッと目が覚めた。
寝てしまったのかと思いながら私は頭をわしゃわしゃとかく。
「莉菜!体の具合はどう!?ゴメン、私寝てしまったみたいで」
目の前には昨日弱りきっていた姿の莉菜ではなく、いつもの凛々しい莉菜がいた。
「体は痛むけど、いつまでも痛がっていても仕方ないわ。それより絵莉、昨日戻ってくるの遅かったんじゃないの?何していたのかしら?」
私は莉菜の目つきが鋭いことに気づき、いつもの莉菜だなと一安心したのだが、さて何て答えましょう。
正直に言わないとダメだよなーと思ったので、私は莉菜に昨日あったことを話すことにした。
「えっとねー、花咲先生に告白された・・・・・・」
とりあえずそれだけを言ってみる。莉菜の目は鋭いままだ。ヤバい。こわいよ!
「で?それで絵莉はどうしたのかしら?」
「正直に言ったよ?莉菜のことが好きなことを。だからちゃんとお断りしたから安心していいよ?」
私は莉菜の顔を窺いながら言うと莉菜は少し顔を赤くしながら軽く咳払いをしつつ花咲先生のことをディスリ始める。
「断るのは当たり前のことじゃないかしら?と言うか教師が生徒に何を告白してるのかしら?そもそも花咲先生は、生徒の手本になるような教師ではないわ。だらしないし。私は好きか嫌いで言うと嫌いの部類に入る先生だわ」
莉菜はどこか感情がヒートアップしている。ヤバい。こうなってしまっては莉菜のことを止めれる人はいない。何よりも莉菜の目が本当にこわい!目を見たら石化してしまうのではないかと思うくらいに。
私は莉菜を落ち着かせる為に頭を撫でることにしてみた。
これで少しは落ちついてくれますようにと願いを込めながら。
願いは通じたのか莉菜は先ほどまでのヒートアップの状態から一気にクールダウンした。
「まぁ、話は分かったわ。とりあえずもう少ししたら医者が来るはずだからそれまで待ちましょうか。と言うか私の私服はどうしようかしら?」
私は莉菜に言われて気づいた。思ったら莉菜、私服あるわけないじゃん!!
「あー。服ないよね?どうしようか。私が家に取りに行こうか?」
「ん~。そうね。って絵莉、私の家に入る気?」
「あれ?ダメ?」
「ダメじゃないけれど、何だか恥ずかしいわ」
莉菜は何を言っているんだろうと思いながら私はとりあえず莉菜の私服を取りに行かなくてはと考えていたらアネさんとあーたんが病室に入ってきた。
「私服の心配ならいらないわよ~。私の持ってきてあげたから!」
アネさんはそう言いながら紙袋の中からTシャツとスカートを取りだした。
「わーお。アネさん、莉菜の趣味分かっているねー」
私は棒読みでアネさんに言った。
「アネさん、おはようございます。それにあーたんも」
あーたんは手を振りながら莉菜の体調を心配している。
「体の痛みはどう?痛いだろうけど今日からは私と莉菜のことを沢山頼ってね?」
そう言いながらあーたんは私の頭をわしゃわしゃする。
「ありがとう。早くこの不便な体から解放されたいわ。迷惑かけると思うけどよろしくね」
莉菜はそう言いながらペコリと頭を下げる。
そんな会話をしていたら、医者がきて診察をするので一旦廊下で待っていて下さいと言われたので、私とアネさん、あーたんは廊下に出ることに。
「莉菜ちゃん、大丈夫?疲れてるんじゃないのかしら?無理はダメよ?」
「そうだよ!莉菜のことも心配してるんだからね?」
私は2人に凄い心配されているなと思い、心からありがたや~と思った。
「それにしても莉菜を引いたドライバー絶対許さない。アネさん、昨日どうなったの?あれから」
そう。私はドライバーにブチギレ寸前だったのだ。
「彼なら刑務所よ~。しばらく出てこれないわよ」
「そっか。一生出てこなくてもいいんだけどね!」
私は壁に向かって蹴りをかました。
アネさんとあーたんはポカーンとしていたが気にしない。
「莉菜ちゃん、体力は大丈夫そうね。安心したわ~」
アネさんはそう言いながら私の頭をわしゃわしゃしてくる。
何だ。最近は頭をわしゃわしゃするのが流行っているのか?と考えながら私はされるがままになっていた。
20分ぐらい時間が立ち、まだかな~と思っていたら医者が出てきた。
保護者の代わりにアネさんが医者と退院手続きをすることになったみたいなので、あーたんと私は莉菜の病室に入ることに。
「莉菜~。退院の手続きをアネさんがするみたいがら、ぼちぼち出る準備しようかー?」
莉菜は頷きながらベットから立ちあがろうとしていたので、すかさず補助をすることにした。
脚を骨折している莉菜は松葉づえを使っての生活をしなくてはいけないので、これから色々不便だろうなと思う。
私がしっかりしなきゃなと改めて心に誓いながら、私と莉菜、あーたんの三人でアネさんのとこに向かうことに。
ロビーの受付の場所にアネさんがいて、アネさんの隣りには花咲先生がいた。
昨日のことがあるから何となく気まずいけど、気にしないでいこうと無理やり思考回路をシャットダウンし、二人のいるとこに向かう。
「よう!絵莉、莉菜、あーたんおはようさん」
花咲先生は私たち三人に向かって元気に挨拶をしてきた。
あら?私が気にし過ぎてたのかな?と思うくらい半先先生は元気だった。
隣りにいる莉菜の顔を見ると、目つきが鋭くなっているのが分かる。
あーたんは何かこの空気を察したのか花咲先生に元気よく挨拶をしていた。
「あ、莉菜ちゃん帰りはタクシーで絵莉ちゃんと帰りなさい?もう呼んどいたからもうじき来るわよ」
アネさんはそう言いながら私にタクシー代を渡してきた。
「絵莉ちゃん、しっかり莉菜ちゃんのことをサポートするのよ?」
私は今日イチのドヤ顔で
「もちろん。お任せください」と変な口調で答える。
「絵莉、頑張るのも程々にしなさいよね。あと口調変だからやめなさい」
莉菜はそんなことを言いながらロビーから外に向けて歩いて行く。
でも莉菜の耳は真っ赤になっているのを私は見逃さない。
全く素直じゃないんだから困ったもんだなと思いながら私は莉菜の隣りを歩く。




