星空の元で
夜空に浮かぶ星が綺麗に輝いている。
私は今、花咲先生と病院の直ぐそばにある公園のベンチに座ってボーっとしている。
「花咲先生、何か用事があって私を呼んだんじゃないんですか?」
花咲先生はいつもとどこか違う。何かソワソワしている感じがして私は気になって仕方がない。
「そう。話があるんだ。多分伝えないと後悔すると思うからな」
花咲先生は少し顔を赤くしながら言ってきた。
私は何か危険なセンサーを感じとったが気にせず話を聞くことにしようと思い花咲先生の顔を見る。
「単刀直入に言うと、私はお前が好きだ」
花咲先生は顔をさらに赤くし始めた。
私は一瞬思考回路が止まったが、直ぐ頭をフル回転させ今の状況を把握する。
花咲先生が私のことを好き?えっ、告白?
私は慎重に言葉を選びながら花咲先生に話しかけようと思い話そうとした瞬間、花咲先生に手で待てと言われる。
「お前の返事は聞かなくても分かっている。莉菜のことが好きなことも、莉菜がお前のことを好きなことも。だけど、気持ちだけは伝えておきたくてだな。莉菜が事故に遭った時にこんなことを言うのもおかしいんだがな。どの道、生徒と教師では付き合うことすらできないから、望み薄なんだけどな」
花咲先生は明るく言っているが、目尻に涙をためているのが分かる。
私はどうしたらいいものかと思ったが素直に今思っている気持ちを伝えることにした。
「ありがとうございます。気持ちは嬉しいですが、私には莉菜がいます。ですので先生の気持ちには応えてあげることができません。ゴメンなさい」
そこまで言いきって私は肩の力をぬく。
「そんなかしこまらなくていいぞ?答えは分かっていたことだしな。でもこれで少しはスッキリしたよ。私は教師だからな。これからも生徒と教師の関係でよろしく頼むぞ?」
花咲先生はそう言いながら私の頭をわしゃわしゃしてくる。
絶対に無理してるな。と思いながらも私はされるがままになっている。これくらいのことならいいだろ。いくら私でも止めてくださいとは言えない。
そんな泣いている顔を見てしまったらね。
数分後、花咲先生はいつも通りの先生に戻っていた。
「じゃ、私は先に帰るよ。明日、退院の時に来るから莉菜のことよろしく頼むぞ」そう言いながら花咲先生は帰っていった。
私は花咲先生の後ろ姿を見送りながら莉菜の病室に私も戻ることにした。
莉菜の病室まで行くのにはエレベーターを使用する。
先ほど階段を全力ダッシュした私はおかしかったんだろうなと思いながら、早足で莉菜のいる病室に向かう。
病室に着き、息を整えてから病室に入ると莉菜は寝ていた。
そりゃそうだよね。こんなに傷だらけで痛い思いもしているんだから。
私は莉菜の手を握りながらそのままボーっとする。
眠いけど寝ちゃダメだ。私は目をゴシゴシこすりながら寝ないように頑張っていたが、ゆっくりと視界が暗くなっていき、莉菜の手を握ったまま眠りにおちた。