闇の中から光の世界に向けて
空の色が夕焼けに染まるころ、私はひたすら街中を走っていた。
走りながら私は莉菜のあの悲しい顔を思い出していた。
あんな悲しい顔をしている莉菜の顔なんてもう絶対に見たくない。
せっかく莉菜との距離が縮まってきたのに、このままじゃまた振り出しに戻ってしまう。
私は走りながら莉菜のいる所に向かおうとしているが、この時間帯に莉菜がいそうな場所ってどこだろうと思いながら私は考えた。
まだ夕方の4時過ぎだし、莉菜は学校にいそうな気がする。
私の直感がそういってる気がして、私は学校に向かって走り出す。
学校に着いた時には私は汗だくで、ワイシャツがべたべたで気持ち悪い状態だったがそんなことは気にせずとりあえず図書館に向かってみることにした。
図書館までの道のりは物凄く短く感じ、莉菜はいるのだろうかと考えながら図書館のドアを開けて広々とした中を見渡してみるが、そこには勉強をしている生徒や本を探している生徒しかいなく私の探している莉菜はいなかった。
図書館にいると思ったのだけれど、まさかもう家に帰ってしまったのかななどと考えながら廊下を歩いていたらどこからともなく声をかけられ私は声の主の方を見た。
そこには花咲先生が手を振りながら私を呼んでる。
忙しい時に何の用事だろうと思いながらも花咲先生のとこに走りながらかけよった。
「花咲先生、こんなとこで何しているんですか?」
花咲先生は欠伸をしながら髪の毛をかきあげて、「仕事終わったから何となく校内を見て回っていただけだ」
「随分暇そうですね。私は忙しいので話がないならもう行きますよ?」
私は少しイラつきながら言うと花咲先生は両手で待て待てと私を止める。
「さっき莉菜がいつもと違う雰囲気で一人校内をうろついていたんだが、お前たち何かあったのか?」
私はその言葉を聞いて莉菜はまだ学校にいると確信できた。そしている場所もアソコしかない。
「花咲先生、教えてくれてありがとう!先生のこと大好きだわ!」
私はそう言って廊下を走りだした。
「絵莉!私もお前のこと大好きだぞ!」と言う声が聞こえたが今はそんなことを考えてる暇もない。
莉菜のいる所は部室しかないと私は思い、急いで部室のとこまで走った。
走ったおかげで目的の場所までの道のりは数秒間にしか感じられない。
だが、走ったおかげで息をするのが辛い。
一旦息をフーっと整えてから背筋を伸ばしドアを開けた。
そこにはソファーに体育座りをしながらうつむいている莉菜がいる。
莉菜はこちらを一旦向いたが、またうつむきながらポツリと話してきた。
「何しにここに来たの?私に用事はないはずよ」
莉菜の声は人生が終わってしまったみたいな感じの声に聞こえる。
私は心にグサッと針を刺されたような気持ちになりながらも、声をだす。
「莉菜、ごめん。莉菜の気持ちも考えずに・・・・」
それだけを言い、莉菜の顔を覗く。
莉菜の目は赤く腫れている。
あぁ・・・・私は何を考えているんだろと改めて思い知らされる。
私は無言で莉菜をきつく抱きしめながら、莉菜の頭を撫でるが、莉菜は若干抵抗しようとしていたが直ぐにその抵抗は終わった。
その代わりに莉菜が一言言った。
「あなたは私をどうしたいの?本当にあなたはバカよ・・・・」
そう言いながら莉菜は私の胸でまた泣き出した。




