出会いとは
暑い夏の太陽が照りつくなか私、高校二年生橘絵莉は全力疾走をしている。なぜかというと転校初日に寝坊をしたからである。昨日函館から札幌に到着したばかりだというのに、翌日には学校に行かなくてはいけないという学生の運命を背負いながらとにかくダッシュをする私。
「何で今の季節に転校なんてしなきゃいけないんだよ…」そんなことをぶつぶつ言いながらも私は新しく通うことになる桜学園高等学校の校門に着いたのであった。外観はとにかく立派の一言につきる。
校門の中に入ってみるとガラスばりの七階建ての校舎が待ち構えており、行き交う生徒は皆女子で朝から優雅な立ち振る舞いで歩いてく。そう、私の転校先の高校は女子高なのである。転校前の学校は共学だったのだがまさか女子高に転校になるとはと思いつつも、とりあえず職員室を目指し校内を歩くことに。
玄関を入ってすぐのとこに職員室を見つけ私はコンコンとノックをし「失礼します」と言いながらドアを開けると一人の生徒が教師と話していた。
私はその生徒を見て驚愕した。黒髪ロングで前髪を軽く横わけにしており、身長は私より低くそして何よりもいい匂いがする生徒。その子は私が幼少期友達で大好きだった桜莉菜という人間だった。
莉菜がなぜここにいるのだなどと考えていたら「橘さんですね?」と一人の女性教師に声をかけられて、私は現実に戻された。「初めまして、あなたの担任の花咲よ。これからホームルームも始まるから一緒に教室に行きますよ」と言われ私は「はい」と一言言ったあと花咲先生の後をついて行くことに。歩いてる最中私は、幼少期の莉菜との思い出を思い出していた。
私と莉菜はいわゆる幼馴染という関係であったのだが、私の告白によって友達関係も崩壊してしまったのである。そう、私は莉菜のことが大好きで告白をしたのだが見事にフラれてしまいそれ以降口も聞いてくれなくなり、やがて会うこともなくなったのだがまさか同じ高校にいるなんてなどと考えていたら花咲先生が「橘さん、そのだらしない制服ちゃんと直さないとあとでめんどくさいことになるわよ」と言われ私は自分の制服を見直してみた。
ブレザーの制服にワイシャツのボタンを第二ボタンまで開け学校指定ではないネクタイに超ミニのスカート、そして右耳には星型のピアスをつけている自分を鏡で見たが別にオーケーでしょと思い「この格好気合い入れてきたんですけどダメですかね?」と聞いてみると花咲先生は「私は嫌いじゃないわよ。むしろ学生らしくていいんじゃないかしら」と言うので
「じゃ、何でめんどくさいことになるわよとか言ったんですか?」と言うと花咲先生はショートの髪をかきむしりながら「風紀委員というクソめんどくさい部活があって、クラスの中にその委員長がいるわけ。要は委員長に服装など色んな身だしなみについてお説教されるのよ」と言いながらため息をつく花咲先生を見ながら私は、「花咲先生は案外チャライんですね、仲間ですよ」と言うと花咲先生は、笑いながらうなずいたので私も笑いながらこの先生、メッチャいい先生じゃんなどと考えながら七階のスズランと書いてる教室に着いた。
クラス名が花の名前っていうの変わってるなと思いつつ私は新しい高校生活を送る教室に足を踏み入れた。