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第八章:覚醒・中編


ぼんやりと考えている間にも時は刻々と流れてゆく…


気がつくと窓の外はかなり明るくなっていた。


時刻は午前6時5分…


時計を見る限り、かれこれ30分も考え込んでいたことになる…


鳥のさえずりが窓越しに聴こえてくる…

僕はテーブルの上に置いてあるりんごジュースの入ったコップを手に取り、一気に飲み干した。


まだ眠気がとれないので洗面所へ向かおうとすると、上の方からコツコツコツと足音が聴こえてきた…

その足音は迷いもなく僕のいる居間を目指し近づいてくる。


そして、居間へ入る扉の前でその足音はピタッと止まった。


入って来るのは兄か父か母か……恐らく誰が入って来たとしても、まず僕がこの時間に起きていることに驚くだろう…


何せ僕の寝坊はもう日常化していて、確か小学校の時からこんな時間に起きていた事は無かったはずだ…

まあ、その更新中だった寝坊日数記録も美紗との一件でストップしてしまったのだが…



ガチャ…



扉が開いてゆく…

その向こうにいたのは……兄だった。


「…はあ〜眠い。……ってえぇ!?拓斗!?」


予想通りの反応だ。

兄はあまりの仰天ぶりにこれでもかというくらいに身体がのけぞっている…


拓斗

「ん…おはよ。」


「いやいやおはようじゃなくて、なんで拓斗がこんな時間に起きてるんだ!?」


もっともな質問だ。やはり、僕がこの時間帯に起きているのは相当おかしな事らしい…


拓斗

「ちょっと変な夢観ちゃって…」


「変な夢って?」


拓斗

「うーん…どう話したらいいのか判らないんだけど、とにかく不思議な夢。」


「ふーん……で、その夢のおかげでこんなにも早く起きる事が出来たわけだ…」


拓斗

「うん、そう。」


『おかげっていうか…ホントは起きたくて起きた訳じゃないから嬉しくも何ともないんですけどね…』


僕は心の中でそう思った。



…その後もしばらくの間、兄との会話は続いた。


兄とこんなにも長々と話したのは始めてだった。

…今まではお互いの時間の都合もあり、兄と会話することが少なかった。

小さい頃なんかは歳が離れているせいか、話す話題も噛み合わなくて兄と話しても面白くないと思う事もよくあった。


それを考えると今こうして兄と同じ話題で会話出来る事に自分の成長を感じる。

そして何よりも自分が言っている事にちゃんと兄が理解を示してくれる事が嬉しかった…


兄も嬉しそうに喋っていた。

もしかしたら兄も同じ気持ちだったのかもしれない…


なんだか歳の差で開いていた兄との距離が縮まったような気がした。



兄と話している途中、父と母が起きてきた…


…居間に入って来て僕を見つけた時の反応は兄同様のものだった。

やはり、親子は行動も似ているものだ。

恐らく僕も驚いた時はあんな風になるのだろう…


『…って、僕と兄さんはいいとして……何で父さんと母さんがおんなじ驚き方なんだ…?』



僕は父と母の異様なシンクロ率に少し疑問を持った。




そんな疑問とは裏腹に、時間は時を刻み続ける…


7時30分……


母が出来た朝食をテーブルへ持って来る…

そして、4人揃って朝食を食べ始めた…


もう何年ぶりだろうか…

…いや、僕は今までに家族とこんなにも賑やかな朝を過ごした事は無かったかもしれない…


これが本来在るべき家族の姿なのだろうか…


本当は心から喜んでいい事なんだと思う…

…けど、僕は素直に喜ぶことが出来なかった…






7時52分……


朝食を食べ終え、着替えるために2階へと向かった…



拓斗

「ふぅ……」


着替えが終わり、今日の授業の確認のため、今月の時間割予定表を見る…


拓斗

「…あ!」


予定表を見て思わず声が出てしまった…


『7月25日―終業式』


それが記されていたのは今日の予定の隣の欄…つまり明日だ。

僕は更に横へと目を向ける…


拓斗

「…夏季休業…ってことは……!」


いつの間にかこんな時期になっていた…

段々とその実感が湧いてくる…


拓斗

「明後日から夏休み!?」


空白は7月26日から始まり8月20日まで続いている…


夏休みは26日間…


もうすぐだというのに僕のテンションはもう最高潮に達していた…


僕は嬉しい気持ちを隠せないまま家を後にした。






待ち合わせ場所に着くと、丁度よく一輝、剛毅、啓介の3人もやって来た。


そして……


一輝

「………」


剛毅

「………」


啓介

「………」




3人

「なにぃー!?」


やはり、僕が遅れずに来た事に驚いた。


家族の反応も凄かったが、3人もそれに負けず劣らずの反応だ…


その後も家族と同じような事を聞いてきたので、同じ答えを返してゆく…


5分程話し、ふとまだ美紗が来ていないことに気づいた。


拓斗

「そういえば美紗がまだ来てないね。」


剛毅

「もうすぐ来るんじゃねーか?」


拓斗

「珍しいね、美紗が遅れるなんて…」


一輝

「…ああ、そうだな。」


とりあえず僕達は美紗を待つ事にした。




その後10分が経っても美紗は来なかった…


時計を見ると時間はもう8時30分を過ぎていた…


拓斗

「美紗来ないね…」


啓介

「どうする?」


一輝

「…この時間まで来ないとなると、何かあったのかもしれないな…」


一輝は不安そうな顔でそう言った。


剛毅

「万が一何かあったのなら先生にも伝わってるはずだろ。だったらここはまず学校に行った方がいいんじゃねーか?」


一輝

「そうだな。よし、学校に行くぞ。」


拓斗

「うん。」


啓介

「おう!」


僕達4人は待ち合わせ場所を後にし、走って学校へ向かった…






時同じくして…


某研究所


「博士、例のモノの現所有者の特定、終わりました。」


「判った。」




『これより計画を始動する』




今回もまたかなりの時間がかかってしまいました…

やはり後編のストーリー編成は僕にとって課題になる部分だと思います。


誤字脱字がありましたら、その時はご指摘よろしくお願い致します。


読んで頂きありがとうございました。



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