私は地球の管理者なんですが、とある島国の輩が異世界チーレムを目的に次から次へと自殺してくるのでマジで助けてください。
西暦2016年。
このままでは神界と異世界と日本の少子化がヤバイと危惧した私は、同志を募って輪廻転生システムの改変を計画しました。
そしてそれが、遂に、完成しました。
題して『異世界チーレム隔離システム』。
やったことは簡単。
異世界転生の想いが強い日本人を、自動でとある異世界へと飛ばすようにシステムを改変しただけです。
送り先は私達が用意した、たった一つの異世界――通称『箱庭』。
どんな転生主だろうが、クソチートを得ようが、転生者は全てこの『箱庭』に行き着く予定です。
これによって被害は最小限になるはず。
なにせ被害があっても、この『箱庭』一つで済むようになっているのですから。
これでどれだけチート能力を持つ奴が現れようと、荒れる世界は一つだけ。
大変だった。
ここまでの道はちょー大変だった。
最高神様をいかに騙して……ゲフンゲフン。
いかに納得させるかで試行錯誤をしました。
そこから許可をもらい、システムを製作。もちろんここでもいくつかトラブルは発生しました。
しかし。
しかし!
このシステムが完成してしまえば、私達の勝利です。
今まで辛酸を舐めさせられてきた神達!
無茶苦茶やりやがってくれた日本人共!
貴様らの夢の異世界チーレム無双はここに潰えるのだ!
狭い世界で自己陶酔に浸ってくれたまえ!
ハーハッハッハァ!!
なんて思ってた時期がありました。
私達は舐めていたんです。
日本人の異世界への夢を。
そして愛を。
システムを作った私達は現在、頭を抱えています。
四肢を地面につき、「どうしてこうなった」と顔面蒼白の状態です。
なぜか。
止まらないのです。
異世界に夢を求めて自殺していく日本人が。
この島国の少子化はもうトップギアで進んでいます。
もうヤバイ。
島国から異世界へみんなして移住していく。
昨日も何人ものトラックの運ちゃんの人生が狂わされました。
つーかトラックの運ちゃんまでもが転生させてくれと言ってきます。
私達の作った『箱庭』には人が溜まる一方。というか、マジキャパシティオーバーしてるんですけど。
もうね。
ヤバイ。
誰か助けてください。
とある島国の輩を止めてください。
血走った目で、チートを求める人を。
ハーレムを求める人を。
俺ツエェ――――ッ!! を求める人を。
ホントどうにかしてください。
ああ……。
こんなことなら地球の管理から手を引いて、バイト生活に戻ればよかったなぁ。
拝啓、名も知らぬ誰か様。
私は地球の管理者なのですが、とある島国の輩が異世界チーレムを目的に次から次へと自殺してくるのでマジで助けてください。
この物語は某小説投稿サイトとは一切関係のないお話です。