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転生先やチートスキルの内容をいかに面白くするかで競うのはやめてください。

 西暦2014年。


 もうやだ。


 ど う し て こ う な っ た!!


「それでは。第四回、異世界チートスキル面白賞の発表を開催しちゃうよー!!」


 最高神様が神界の集まりでそう公言しました。

 周りからは素ん晴らしいほどの歓声が上がります。

 しかし私は頭を抱えていました。


 半年くらい前でしょうか。

 自分達の世界に転生させる中、神達は刺激を求め始めました。


 曰く、ただチートスキル持たせるだけじゃ面白くなくね? と。


 ……おかしいよね?


 どうしてそうなんの。

 自分達の世界を管理しやすくするために転生させていたんじゃなかったんですか。

 しかし神達は止まりません。


 そこからの奴らは狂ってました。


 異世界に転生させる日本人に、いかにおもしろおかしな環境を提供できるかを競い始めたんです。


 ある神は転生者に、勇者ではなく勇者の幼馴染という立場を与えてました。

 頭のネジが飛んでる奴は村人Zとか誰得な立場に転生させていたりもしてたような気がします。しかも村人の分際でレベルカンストしてるし。


 なんか勇者に転生させるのってつまらなくね? と魔王に転生させるバカもいたくらいです。いや本末転倒だろ、それ。


 もはや自分達の世界の管理なんて関係なく、どれだけ自分が爆笑できるかしか考えていない。そりゃ世界の管理が上手くいくわけないわ。


 しかしこれだけじゃない。

 まだある。


 異世界に転生させる日本人に、いかに面白くユニークなチートスキルを与えるかを競い始めもしました。


 地球にある現代兵器を持って行き、無双することなんて序の口。

 あんぱんを出しまくるスキルや睨んだだけで相手をメロメロにする魔眼など。

 珍しいものは服を脱げば脱ぐほど強くなるというものもありました。仮にも私の世界の住人に何をさせてんの、こいつら。


 ここまでハチャメチャにやれば、救える世界も救えない。

 正直、最近ではあの島国の奴らのことを狂人と認識していたけど、これはあまりにも可哀想だと思いました。

 さすがに同情の念を送らざるを得ません。


 ――と、思ってたら。


 それでも適応しやがんのか日本人おまえら!!


 いかに笑えるほど絶望的な立場に転生させられても。

 いかにヘンテコなチートスキルを用意されても。


 奴らは容易くそれを使いこなしてくる。


 神ですら予想できない彼らの思考回路と行動力に、神界ではもう大絶賛。


 そりゃ驚くよ。

 地球ではコミュ障だったのに、転生した瞬間むちゃくちゃ饒舌に語りだすんだもん。

 急に異世界に拉致られたと思ったら、散歩気分でグルメ巡りしだすんだもん。

 スライムに転生させられたと思ったら、ダンジョンマスターになってんだもん。


 いや、もう、正直ね。


 道楽に溺れるあのバカ共かみさまよりもすごいと思います。

 さすが私の管理する地球の住民。

 脱帽しました。色々な意味で。


「今回の優勝者は――チート名『俺のう◯こは世界最強!? なぜか茶色のあのブツが異世界最強の兵器になりました』に決定!!」


 周囲からめちゃくちゃ歓声が上がる。

 なんつーチートスキルを考えやがるんだ。


 ちなみにチート名というのは、チートスキルの内容をわかりやすく簡潔に表したものです。

 確かにわかりやすいですが、これはさすがになくね?


 しかし周りの神達は大盛り上がり。

 優勝した神がテンションMAXで、溢れんばかりの嬉しさをみんなに見せつけています。

 それを見て他の神も、「次は自分こそが!」やら「いいや私よ!」やら、さらにやる気を燃焼させています。


 しかし私はげんなりとすることしかできません。




 ねえ。

 おかしいの私?

 私の方がおかしいの?



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