表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/6

とある島国の輩が異世界チーレムを目的に次から次へと自殺してくるのでマジで助けてください。

 西暦2013年。


 神にもノイローゼってあるんですね。

 知りませんでした。


 ど う し て こ う な っ た!


「やっべえ! 本当に神様のところに来ちゃったよ!」


 異世界! 異世界! と。

 それはもうすんげーはしゃぎまくるクソガキ。

 いったいこれで何人目でしょうか。


「……悲しみに暮れているところ、すいません。あなたは今、死んだのです」

「知ってるよ! トラックに突っ込んだらそりゃ死ぬよな! だから早くチートを寄越して異世界に転生させてくれ!」


 もう私が説明するまでもありません。

 日本のクソガキは全てを把握した上で、トラックに突っ込んだり、ビルから飛び降りたり、挙句の果てにはテクノブレイクするまで自慰行為にふけったりする。


 いやマジで。

 どーしてこうなったの、私の世界。


 いや、一応原因はわかってます。


 五年くらい前でしょうか。

 他の神様から拉致られた日本人を私が元の場所に送還すると、そいつらはなんと異世界での経験をネタに小説を書き始めたのです。


 それがなんとネットで大ウケ。

 異世界転生ブームが日本に巻き起こり始めた。


 この時点で、まあ、言いたいことはありました。

 他の世界のことを公言しないで欲しい、とか。

 自分達の話を美化して大変イケメンテイストな話に仕上げやがって、とか。


 とある奴なんて集団転移先では恐怖に震えてただけなのに、復讐して成り上がっちゃった俺tueeee!! とか書いてるし。

 ただの根暗なだけだったのに、やれやれ系のクール主人公にジョブチェンジしてるし。

 私だったら悶死してるわ。


 だけど、それはいい。

 それだけならまだ許せます。

 問題はここから先に起きた。


 異世界チーレム転生求めて自殺する奴、多すぎ!!


 ネットに触発された馬鹿共が、こぞってトラックに突っ込みやがる。


 トラックの運ちゃんが何人逮捕されたと思ってんだ!


 その後の彼らの人生がどれだけ狂わされることか……!

 ほぼ無実の罪ですよ!?

 可哀想すぎるでしょう!?


 そうでなくても輪廻転生する時って、かなり大変なのに……。


 最初は無視してました。

 こんなん構ってられるか、と。

 異世界ではなく、地球の中での輪廻転生に組み込んでいました。


 だけど日本の奴らの魂がそれを拒絶する!

 どんだけ異世界に夢を求めてんの、こいつら!


 しかもあまりに異常な自殺者の増加に私が対応に追われているところを狙って、他の神の奴らも勝手な召喚をまたもや再発させやがるし。

 今度は自分達の住人を使った魔方陣による転移だけじゃなく、直接自分達で異世界に招き入れることもしてくるし。


 こんなことが最高神様の耳に入れば、あなたら降格だよ!?

 わかってんの!? そこのところ!!


 しかし最高神様は。


「最近、日本の奴らの異世界想いが強すぎて輪廻転生に悪影響を及ぼしてるんだよねー。だからいいんじゃね?」


 と仰られました。


 確かに最近は輪廻転生のシステムがおかしい。

 なにやら死んだ者が地球で言うゲーム世界の中に飛ばされたり。

 全く関係のない異世界に意識が飛んで異世界人の身体や武器、挙句の果てにはあらゆる道具に憑依したり。


 これでもかというほど、問題が多発している。


 さらに言うなら、上位世界の地球から同じ地球に輪廻転生をさせるよりも、下位世界の方に送り込んだりする方が遥かに楽だったりするんですよね。

 もちろん地球よりも発達した世界に送ることは難しいけど、地球で言う中世くらいの世界観の異世界だったらすごく送りやすい。


 このままでは私の身がもたないということもあって、基本的に異世界志望の奴らは転生させてやることにしました。


「それではあなたを転生させます」

「イヤッホー!! エルフや猫耳の女の子が俺を待ってるぜェ――――ッ!!」


 叫びながら転生門に飛び込んでいくクソガキ。

 イラッとしたので、チートスキルじゃなく不遇スキルにしておきました。

 まあどうせ日本の奴らは不遇スキルすら使いこなすんでしょうけど。


 あいつらは馬鹿だけど、不遇スキルすらもチートに変えやがる頭を持っているからタチが悪い。

 そんな頭があるんだったら現実で使えよ。そのくらいできたらイジメられることもなかっただろ。


 重い、どこまでも重い溜め息が出る。


 ……まあ、一応は私の管轄する世界の住人です。

 クソみたいな島国のクソみたいな住人だけど、それでも我が子に変わりはありません。

 他所の世界で迷惑をかけてないか、少しだけ覗いてみましょう。


『ステータス!』


 ――だからどうしてステータスのこととか教えてないのに、真っ先にステータスとか叫んでんの!

「やっぱり出た!」じゃねーよ!


 どこまで順応してんだお前ら!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ