エピローグ・オブ・フォレスト
「森」が何のためにあるのか。
それは誰も知らない。
俺、ティラミス・ビターは考える。
もし、このまま「森」が国土に侵入し続け、世界の全てが「森」になってしまったら……。
また同時に俺は考える。その「森」を食い止められるのは誰だ?
答えはもう既に出ている。
それは、俺たちだ。
あの一件以来、俺はもう二度と二本の剣に呼ばれ、白や黒の世界に行くことはなかった。俺はそれを勝手に、免許皆伝だと思っている。
シュガーレス・ザッハトルテの死体は……回収することが出来なかった。ソウル・テイカ―が切り離すのは、あくまで魂だけだ。その肉体は……醜い蟲のままだ。レクイエムならあるいは、とも思ったが、あの世界での彼女の口ぶりからするに不可能だったのだろう。
Zクラスのみんなは相変わらず仲良くやっている。ソーダ先生も、特に変わった様子もなく、いつも通りの毎日が戻ってきた。
あれだけのことが起こって、また普通の毎日がやってくるという感覚が、俺にとっては少し気持ち悪くもあったが、またそれが人が生きていくということなのだろう、とそう思った。
この先、何が起ころうと俺たちは、それを乗り越えて生きていかなければならない、とそんな気がした。俺は左腰のソウル・テイカ―を鞘から抜き、その刃を指でなぞった。
「じゃあな、ザッハトルテ」