表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

子犬のアイ 大好きなおばあしゃんの毛布 改訂版

作者: 無名良作

 犬のアイは、おばあしゃんのことがだいすき!


いつもおばあしゃんの、そばから離れません!


・・・まだ生まれたばかりの頃、


おかあさんは、自分たちを生んでくれた後すぐに死んでしまいました・・・


一緒に生まれた他の子供たちはと次々にもらわれていきましたが、


アイだけは、なかなか貰い手が決まりませんでした。


アイは耳が少し遠いようで、呼びかけにも反応しなかっからです。


最後に残ったアイでしたが、、、ある日


アイは誰かの腕に、抱きかかえられます。


あたたかで、やさしく、でも少しシワシワの手でした。


「おばあちゃん、その子は愛想が無いから、無理してもらって貰わなくてもいいですよ。」



「そんなこと、ないよ、とってもかわいい目をしているよ!この子に決めた!」


耳が少し遠いアイには、{おばあちゃん}が{おばあしゃん}に聞こえたのです。


「でも、もし飼うのが大変だったら、いつでもつれてきてね。」


こうして、アイの新しい生活が始まったのでした。


おばあしゃんと過ごす毎日は、とてもしあわせでした。


えさを持ってきてくれるたびに、


「アイはかわいいね?」といって頭をなでてくれるのです。


朝起きたときも、夜寝る前にも、


「アイはかわいいね?」といって頭をなでてくれるのです。


アイは頭をなでてくれる、おばあしゃんの手と匂いが大好きでした。


毎日散歩に行きました。


毎日公園に寄りました、


公園に着くと、おばあしゃんは


「よいしょ、」といってベンチに座ります、


おばあしゃんはどうも少し心臓が悪いようでした。


少し休憩を取ると、


「アイ、さあ、帰ろうね。」


と言って、 アイの頭を撫でながら、


「よいしょ」


といって腰を上げます。


アイ、はおばあしゃんとの散歩が楽しくてなりませんでした。


ところが、ある日


いつものように、公園のベンチに、座ろうとしたときに


「うっ、、、う?ん」


と、胸を押さえて動かなくなってしまったのです。


アイは、小さな体で必死に吠えました、何度も何度も吠えました。


たまたまそばを、通りかかった人たちが異変に気づきすぐ近くの病院に運びました。


アイもその後を追いかけるように、付いて行きました。


でも、病院の入り口で警備員のおじさんに捕まえられてそれ以上付いていけませんでした。


アイは待ちました。


夜になり、朝が来て


次の日になりました。


おばあしゃんは出てきません。


また夜になり、ふたつ目の朝が来ました。


おなかはペコペコでした。


警備員のおじさんが、見かねてパンをくれました。


けれどもアイは、少しも口にしませんでした。


みつっめの朝が来たとき


おばあしゃんにもらわれていく前の飼い主が来て、


だきかかえて、おばあしゃんの家に連れて行かれました。


おばあしゃんの家には見たことの無い人たちが、たくさんいて


荷物を運び出したりしていました。


アイは鎖につながれました。


えさを出してもらうと少しだけ食べることができました。


おばあしゃんは、帰って来ません。


朝になるとアイは、おばあしゃんに会うため無理やり首輪を引きぬくと


病院に向かいました。


病院に着くと、入り口の前で、ペタンとお座りをしました。


おばあしゃんはでてきません。


夜になり、朝が来てお日様が沈みかけた頃、


前の飼い主が、再び来て


おばあしゃんの家に連れて行かれました。


「もう、おばあさんは帰ってこないんだよ。」


そういいながら頭を撫でましたが


アイには何のことか、さっぱりわかりません。


「荷物が片付いたらうちに行こうね!」、、、といいました。


でも次の朝が来ると


またアイは病院にいきました。


そして、おばあしゃんを待ちました。


今度は警備員のおじさんが近づいてきて、


「またきたか?おばあちゃんは居ないんだよ、よしよし!」


と言って頭を撫でましたが、


アイは、おばあしゃんに頭を撫でてもらいたい、


おばあしゃんの匂いをかぎたい、、、


そう想うばかりでした。


夜になるとまた、おばあしゃんの家に連れ戻されました。


そんな毎日が、何度か繰り返されたある日


アイは、おばあしゃんの家の近くで車にはねられてしまいました。


アイは耳が遠かったので、クラクションの音に気づかなかったのでした。


車はそのまま走り去っていきました。


アイの後ろ足は片方が折れています。


おなかのあたりが激しく痛みました、、、が


必死の思いで、おばあしゃんの家に戻りました。


おばあしゃんの家の門の中にたどり着くと、


もう、、、動くことはできませんでした。


たまたま荷物を片付けに来た人が


見つけて、誰か家の人を呼びに往きました。


少しすると前の飼い主が、駆けつけてくれて、


すぐに病院に連れて行ってくれました。


手当が早かったので、2~3日で帰ることができました。


まだかたずけ終わらない、おばあしゃんの家に連れていかれると


そばにあった毛布を掛けられました、


その時アイは気付きました。


‘おばあしゃんの匂いだ!!


そうです、掛けられた毛布は、捨てられるところだった、


、、、、大好きな、おばあしゃんの毛布だったのです・・・


・・・ああ!おばあしゃんの匂いだ!・・・


・・・ああ!おばあしゃんの匂いだ!・・・


・・・あいは、毛布にくるまれておばあしゃんの夢を見ました・・・


・・・大好きなおばあしゃんに頭をなでられる夢でした・・・


朝が来て、前の飼い主が自分の家に連れて行こうと、


アイを抱きかかえると、アイは毛布を放しません!


なんど、毛布を離そうとしても口にくわえたまま放そうとしないので、


少し呆れ顔で困っていましたが、、、やがてその理由に気づきました、、、


「そうか、、、これはおばあさんの毛布なのね!!」


そのことに気付いた、前の飼い主は少し涙ぐんでアイの頭を


やさしく撫でると、毛布ごとアイを車に乗せると自分の家に


運んで、アイの新しい小屋に入れてくれました。


・・・そして月日がたち、すっかり元気になったアイでしたが、、、

         ずっとおばあしゃんの毛布を離しませんでした・・・


・・・そして今日も、大好きなおばあしゃんの毛布にくるまり、、、

      大好きだったおばあしゃんの夢を見るアイなのでした・・・




                           おしまい



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ