3 呆れてものも言えません
――朱里が倒れながら出迎えという、とんでもない事態から一時間後。
純花は心底呆れ返り、お騒がせな友を見つめていた。
「ばっ、ばっかじゃないの!」
さんざん振り回されたことに腹を立て、美音が朱里を頭ごなしに怒鳴りつける。
朱里はいま、純花の作ったおじやに、がっついているところだ。
三日三晩寝てない上に、何も食べていないらしい。
朱里の頭には、大きなタンコブができている。
事情を聴いて怒り狂った美音が、強烈なゲンコツを食らわせたためにできたものだ。
美音の怒りはもっともだと純花も思うものの、こんな大きなコブができてしまうほどぶん殴られて、朱里の頭は大丈夫だろうかと心配にはなる。
殴った当の本人も、このタンコブの大きさに、少なからず不安をいだいているようだ。
それにしても……
まさか、朱里の言う彼氏が、乙女ゲームの中のキャラだったとはね。
「好きな相手に何度も告白したけど、フラれ続けて、どうしていいかわかんない」
……なんて、途方に暮れたように言うもんだから。
こちとらさんざん心配したっていうのに……
それがまさか、ゲームの中のキャラが相手だったとは。
馬鹿馬鹿しい……
呆れてものも言えないよ。
はあーっ。
心配させられたぶん、美音同様に、私もぶんなぐってやろうかと本気で思ったし。
でも……ま、
よかったのかな?