扱い方
本日は、二話同時に投稿しましたので読むときには気を付けてください
大丈夫と、心の中で何回も呟いて安全を確かめる。
きっと今のボクの顔はとてもひどく青ざめているのだろう。
「く、黒乃なんか顔色とっても悪いよ。」
「大丈夫、心配しないで。魔法で戦うなんて今まで考えたことなかったから。どうしたら良いのかわからなくなっちゃって。」
魔法は使い方を間違えれば予想もつかないハプニングを起こしてしまうかもしれない。
慎重に扱わなければ。
そしてボクが死なないように細心の注意を払わなければならない。だってボクが死んでしまったら魔導書の管理は誰がやってくれるというのだ
ボクが安心して死ぬときはボクの後継者が現れるそのときだけだ。
その時までボクは破っても焼いても何度でもよみがえる魔導書を守らなければならない。
そうしてボクは着々と長い間住んでいた家をあとにする準備を完成させていた。
それから何日かたった日の夜。
コンコンとノックの音がした。ボクがそっと扉を開けてみると外にはつり目で髪の短い人とツインテールの子が居た。
「師匠から話は聞いた。明日にはここを出る。」
「そう、なら早く入ってください。」
「ところで魔導書はどこなんだ。」
こいつまさか魔導書を狙いに来たのか。つい反射的に目を細くして睨んだ。
もしかして契約のことを忘れたとかそんなことはないよな。
「ボクは魔導書の管理者ですよ。そんなこと教えるわけがないじゃないですか。」
「それもそうだな。」
あっさりと引き下がってくれた。やはりこれは契約の効果だろうか。
「俺はさっさと座りたい。座る席を用意しろ、チビ。」
「ナニカイイマシタカ」
「聞こえなかったのか、チビ。俺は座る席を用意しろと言ったんだ。」
「ナニかイイマシタカ。」
「さっさと席を用意しろと言った、このチビ。」
フフフフフ、前来た客人の前では一応猫被ってたけどもういいよね。もう猫被らなくてもいいよね。こんな失礼な人に対して猫被れないもん。
「チビって言わないでくれますか。」
「気にしてたのか、まぁ、どうでもいい。」
ボクの場合はやはり敬語の方がしっくりくる。しかし敬語だトトとが少し悲しそうな顔をしているような気がするのだ。
だからため口にしていたのだがやはり敬語の方がずっとボクに似合っている。
それにボクだって身長のことは密かに気にしていたのだ。とんがり帽子で身長をかさましするぐらいに。
「しかしその金色の鈴以外は、何から何まで真っ黒だな。もう少し違う色を着ようとか思わないのか。」
「黒の服はボクのお気に入りですよ。あと席はないからそこら辺に座ってくださいね。」
「わかった、チビ」
「いちいちチビって言わないで下さいよ。さっき言わないでって言ったばっかですよね。
もしかして頭の中に脳みそ少ししかないんじゃないですか。そうだとしたら可哀想ですね。同情ならしてあげますよ。」
「あぁ、なんか言ったか、チビ。あ、ちびはどこだ。はー、チビは小さくて探すのが困る。」
「あのー、お茶を入れてきたから早く座って。」
「喋るカラスか。変な奴だな。」
「...........せっかくトトがお茶を入れてきてくれたんですからさっさとお茶を飲んでください。」
「いいだろう、チビ」
ほう、こちらがお前の暴言に目をつぶってやろうとしているのにお前はまだチビと言うのか。
もしかして人間はこういう生き物なのか。そうなんだな。
やはりボクは人間が嫌いなのかもしれないな。
「トト、どうしょっか。」
一応トトにはため口だ。トトが悲しむ顔なんてボクは見たくない。
「黒乃、落ち着こう。大丈夫、黒乃は小さくなんかないよ。」
「トト、もうその話持ち出さなくていいよ。」
「チビ、これから俺たちは師匠の後を追う。その道中で見つけた悪魔を一匹残さず殺す。」
「そうですね。しかし赤い動物なんて珍しいからすぐに見つかってしまうだろうから、見つけ次第殺せばいいんですね。」
「師匠は悪魔の擬態の能力のことを話さなかったのか。」
「擬態能力? 」
あいつ、ボクはそんなことは聞いていないぞ。なんなんだ、擬態能力って。
「悪魔は、人間に化けることが出来るんだ。そして人間社会の中に溶け込み誰にも見つからないようにに人間を殺していく。」