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魔導書の管理者  作者: ソラ
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魔導書の隠し場所

「トトおいで。」

「全くなんて失礼な人間なんでしょうね。」

「喋るカラスですか。さすが魔導書の管理者ですね。」


魔法は、なにかを傷つけるためにあるものじゃない、幸福を掴むためにあるものなのに。

なんでなにかを傷つけるために魔法を使わなければいけないのだろうか。

矛盾だ。矛盾している。そのことに目の前の敵は気が付いているのだろうか。


「しかし何故赤い動物を退治すの。」

「あいつらは動物なんて分類には当てはまらないと思いますよ。だってあいつらのしていることはただ殺すだけです。

殺しても食べることは一切しません。むしろあいつらを呼ぶとしたら悪魔と呼んだ方がいいかもしれません。」

「ふむ、しかしそれはお前達が昔やっていた魔女狩りとなんの差があるのだ。」


今、魔法使いでボクの知り合いが一人も居ないのはそのせいだ。

火あぶりの刑は今でもトラウマになっている。


「そうかもしれませんね。しかしおねがいします。私達も武力を使うなんてことはしたくないのです。」

「黒乃、どうしょう。」

「ボクは管理者だよ。絶対魔導書は守って見せる。そのための管理者なんだから。」

「そうですか。でしたら妥協案です。魔法使いさまが私達の味方になってくれれば良いのですよ。」


どうしようか。正直戦うことになったらこの森は荒れ果ててしまうだろう。

しかし魔導書が人間の手に渡る可能性は全て潰したい。


「どうしたらいいんだろう。」

「黒乃、たしかずっと昔の魔法にこういうのがあったはずだよ。契約呪文。」

「あ、あの契約を破った場合は契約を破った奴は罰を受けるやつ。それなら安心だ。」


だいぶ昔に一度使ったきりの呪文だったからついつい忘れていた。


「なんの話をしているんですか。」

「今からあなたに契約呪文をかける。だからボクの言ったことに、はいかいいえで答えてくれればいい。いくよ」


紙を目の前に持ってきて、すっとボクは大きく息を吸った。そして集中する。


「ボクはボクの法に従う。お前達は魔導書を襲わないと全人類を代表して言えるか。」

「はい」

「ならばボクは悪魔を倒すことに協力することを約束しよう。罰は魂の破壊でいいな。」

「はい」

「ならば契約はたった今、成立した。全人類は魔導書に手を出すことを禁じ、黒乃は悪魔を倒すことに協力する。」


さらさらと黒い字が浮かんだ紙をボクは大切に握りしめた。


「ついでに魂の破壊って言うのは体は生きているんだけども精神は死んでいる状態のことだからきおつけて。

トトやったよ。ボク達から人間と言う魔導書の敵は去っていったよ。」

「やったな、黒乃。」

「協力はしてくれるんですよね。」

「それが契約だったから。」

「そうですか。それは嬉しいです。ボクも魔法使いさまとは戦いたくなかったですから。」


これからもし魔導書が人間に取られたとしても大丈夫だろう。

きっと魔導書が呪われた本として扱われるようになるだけのことなのだから。

しかし油断は禁物だろう。悪魔も、もしかしたら魔導書を狙っているかもしれないのだから。


「これから私の弟子が来るのでその弟子にこのバッチを見せてください。あとこのバッチはいつも着けてください。

では、さようなら。」


それだけ言うとものすごい勢いで去っていった。

さて、ボクもさっさと悪魔と戦うための準備と魔導書を用意するか。

しかし嫌だな。無意味な争いを止めるためとはいえ魔法を戦いに使うなんて。

魔法は幸せを求めるためのものだったのに。


「トト、この家に小さい鏡ってあったっけ。」

「たしかあったはずだよ。それがどうしたの」

「小さい鏡をあるだけ持ってきて。」

「わかった。」


それじゃあさっさと魔導書を取りに行くか。

家の地下へ降りて本がたくさん置いている部屋へといく。すると出た。たくさんの本が並んでいる。しかしこれは全て偽物だ。

一番初めのところから3つ目の本棚を押して扉のようにする。

そしてそ秘密部屋の中にある大量の本の中から3冊だけ取りあと戦うようの黒い表紙の本を手に取りあとは偽物の本を数冊持った。

地下を出てトトの居るところまで行くと手持ち鏡が1つあった。


「トト、ありがとう。」

「どういたしまして。」

「鏡よ、鏡よ、鏡さん、どうか物を入れさせてください。」


そうして魔導書と偽物の本を持ったまま鏡の中に手を突っ込んだ。

ずぷりと鏡の冷たさを肌で感じた。

そのまま鏡の中に本を入れた。


「ここに隠すのか。」

「うん、一応ね」


念のためだ。もしも戦っている最中に本が破けて人間に見られましたなんてこと洒落にならない。

それに鏡の中に入れておけば取り出すのも簡単にはいかないはずだ。

鏡の中に手を突っ込むなんて発想は魔法の使えない人間にはないはずだ。

そうしてボクは魔導書を開けるための金色の鈴を首にかけた。

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