episode5
そうして学校から出ようとすると、「あれ?花ヶ崎さん?」と声をかけられた。その声の主はなんと、明楽が恋焦がれる雅臣その人であった。
「あ...小鳥遊先輩。お疲れ様です。」
明楽はなんとか平然を装いながら雅臣に言葉を返す。
「うん。お疲れ様。今帰り?」
「はい。先輩はまた部活の助っ人ですか?」
そう、雅臣は帰宅部であるが、運動神経の良さを買われ、よく助っ人を頼まれる。
「そうなんだ。ちなみに今日はテニス部。」
「大変そうですね。」
「まぁ、帰宅部だしね。バイトの無い日はよくやってるよ。」
雅臣が笑いながらそう言うと、明楽は「バイト...」と呟いた。
「先輩、バイトもしてるんですか?」
「うん、そう。今日は休みだからいいけどなにぶん人手不足でね...花ヶ崎さんもしかして興味ある?」
明楽は思わず「あります!」と即答してしまう。
そんな様子に雅臣は笑いながら「だったら...」と言葉を紡いだ。
「良かったらウチでバイトしない?店長にはオレから話し通しておくし。」
「...いいんですか?」
明楽が戸惑いながらそう言うと、雅臣は「もちろん!」と返してきた。
「色々決まったら教えないとだし、良かったら連絡先交換しない?LINEでもいいし。」
「いいんですか?!」
思ってもみなかった展開に明楽は思わず声を上げてしまった。
「もちろん!ちょっと待ってね。...スマホスマホ...あった。」
雅臣がスマホを取り出したのを見て急いで明楽もそれに続いた。そうして無事連絡先、もといLINEの交換を行う。
「それじゃあ、何か決まり次第LINEするね。」
「ハイ!」
二人が話を終えようとした時、「雅臣ー!早くしろー!」とお声がかかった。
「おっと。もう行かなくちゃ。それじゃあ、気をつけて帰ってね。」
「はい。先輩も頑張ってください。」
「ありがとう。」
そう言い残し、雅臣は友人の元へと向かって行った。その後ろ姿をぼぅっと見ていた明楽に、今まで静観していた薫子がニヤニヤしながら「良かったですね?」と言うと、明楽は「うん...」と、息のような返事を返した。




