episode20
「明楽君!おはよー!昨日のバイトどうだった?」
「花ヶ崎の事だから女共が群がったんじゃね?(笑)」
皆がバイトの事を話してきた。明楽は「皆いい人達だったよ」と笑顔で応えると、「クッ...朝一で王子スマイルを食らうとは...!」と女子も男子も大袈裟なリアクションをとった。すると背後からガバッと覆いかぶさってくる男がいた。...勇真だ。
「はよーっす!明楽!」
「おはよう、勇真。重いし苦しいから覆いかぶさるのはやめてくれないかな?」
「お、おう...悪い...」
注意された勇真はまるで叱られた犬のように見えた。
「勇真君も毎朝毎朝元気良すぎ(笑)」
「お前もこりねーな(笑)」
「お前ら笑ってんじゃねぇー!」
勇真は周りを威嚇したかと思うと、動きがピタッと止まった。
「勇真?」
「ゆ、勇真君?どうしたの?」
「明楽、お前らも甘いもん好きか?」
突然の質問に頭がハテナになったが、勇真が大きな紙袋をずいっと前に出してきた。
「明楽にも悪いことしちまったし、お前らにも迷惑かけたからな。く、口に合うかしんねーけど、ブラウニー作ったから食え!」
「え?勇真が作ったの?意外...」
「意外って言うな!...菓子作りはガキの頃からの趣味なんだよ。」
勇真はブーたれた感じになってしまったので、明楽は「食べてもいいかな?」と言い、ブラウニーを一切れ口に運ぶ。その様子をクラス全員がドキドキしながら見守った。
「うん!凄いよ勇真!凄く美味しい!」
「ほ、ホントか?!」
「私は嘘をつくのが苦手でね。」
「よかったー...」
それから明楽に続き、クラスメイト達もブラウニーを食べ始め、「美味しい美味しい」と口々に言った。
「明楽、その、嫌じゃなかったらこれからも作ってきていいか?お前の感想が聞きてぇ...」
「私?私でいいの?」
「あぁ、お前がいい。」
勇真が「ダメか?」と首を傾げながら問いかけてきた。
「あんまり頻繁だと私が太っちゃうから、多くても週一にしてね?」
「ありがとう!明楽!!」
勇真は明楽に抱きつこうとしたが、彼女はふわりと避けた。
「明楽ァー!」
「抱きついていいとは言ってないからね。」
クラスメイト達はその様子をほのぼのと見て、「まるで飼い主と大型犬だね」と言ったのだった。




