episode19
「いやぁ、素敵な先輩さんね、雅臣君!」
明楽が母と家に入り夕飯を食べていると、母が雅臣を褒める言葉をかけてきた。
「お母さん?何急に...」
「だって、話しは聞いていたけど礼儀正しいし、イケメンだし!」
母はそう言うと頬に手を当てながら"キャーッ"と黄色い声を上げた。そんな母に父は「何?!イケメンだと?!」と声を荒らげながら母と明楽を交互に見てきた。
「たしかに雅臣先輩はイケメンで、学校でも人気者だけど...」
「あら?でも確か薫子ちゃんから聞いたけど、明楽も学校で"王子様"って呼ばれてるらしいじゃない?明楽はこんなに可愛いのに、王子様って聞いてビックリしたけど...」
明楽の父と母は昔から明楽の事を"可愛い、可愛い"と言って育ててきた。しかし、明楽自身は自分を可愛い系ではないと自覚していたため、周囲からの王子様扱いを受け入れていた。
「...私の事、可愛いなんて言う方が珍しいよ?私も王子って呼ばれるのに慣れてるし。」
「...貴方はまたそんな事を言って...」
母はそう言うと明楽をギュッと抱きしめた。
「お母さん?」
「貴方は私とお父さんにとって、いつまでも可愛い"お姫様"よ?勉強だって、スポーツだって学校生活を頑張っているのは知っているわ?周りの期待に応えようとしているのもわかっているわ。だからお母さん達の前でくらい、気を楽にしていいんだからね?」
母はそう言うと明楽に笑いかけた。
「まぁ、お母さんは雅臣君みたいな人がお婿さんに来てくれると嬉しいんだけどね!」
「!お母さん!!」
明楽はイタズラっ子の様にウインクをしてくる母に抗議の声を上げるのであった。
「そ、その雅臣君と言うのは明楽を大事にしてくれるのか?遊ばれているとかそう言うわけではないよな...?!」
「お、お父さんまで...」
父は雅臣をてっきり明楽の彼氏と思い込み、嫁に出す前みたいな質問をしてくる。そんな両親の反応に明楽は呆れるしかなかった。
「お父さんもお母さんも落ち着いてよ。雅臣先輩とはそんなんじゃないから。」
「あら。薫子ちゃんからは良い感じだって聞いているわよ?」
「薫子...」と明楽は彼女を恨めしく思うのであった。




