episode18
明楽と雅臣がバイト先に着くと、店長の佐々木を筆頭に明楽は新人として歓迎された。
高校入学の時同様、明楽は男子と勘違いされるかと思ったが、制服がスカートであったことと、雅臣が今まで明楽のことを話していたお陰で、最初から女性として接されていた。それでも、店の制服に着替えた明楽は見目麗しく、まるで王子様の様だと女性店員達からうっとりとされるのであった。
そして、店に訪れる女性客からは「イケメン店員が増えた!」と喜ばれていた。
「いやぁ、人手不足で明楽ちゃん雇ったけど、このままいくと今まで以上に女性客が増えそうだねぇ。」
「ははっ。そうですね。でも明楽は少し教えただけでスグ覚えて身につけるし、即戦力になったのでは?それに、お客様からも評判良いし。」
雅臣が佐々木にそう言うと、彼は「そうだね。助かったよ。」と笑顔で応えた。
「明楽君、これ9番テーブルにお願い!」
「はい!」
「明楽君、ごめんだけど今手が離せなくて...レジお願いしてもいい?」
「大丈夫ですよ。」
明楽は研修中ではあるが、それを感じさせない働きっぷりを一日目にして見せた。明楽の働きっぷりを見て、他の店員達は「良い子が入って良かったね。」と明楽を評価していた。そうして、あくせくと働いているうちに時間は21時を指していた。
「雅臣、明楽ちゃん。今日はもう上がっていいよ。」
佐々木が二人にそう告げると、明楽は「皆さん、今日はありがとうございました。」と礼を言い、制服を着替え、雅臣と共に帰宅するのであった。
「明楽、今日はお疲れ様。初日とは思えない働きっぷりだったよ。」
「そんな...皆さんが親切に教えて下さったお陰ですよ。」
「店長も雇って良かったって。オレも紹介したかいがあったよ。」
雅臣はそう言うと明楽に笑いかけた。それを直視してしまった明楽は顔を真っ赤にし、「...街灯の少ない場所で良かった...」と思うのであった。
そうして談笑をしているうちに明楽の家の前にたどり着いた。雅臣が「それじゃ...」と別れを告げようとした時、玄関の扉が"ガチャリ"と音を立てて開いた。
...そこには明楽の母が立っていた。
「あら?明楽、お帰りなさい。そちらにいるのはもしかして...」
「あ...初めまして。明楽さんと同じ高校の小鳥遊 雅臣です。明楽さんにはお世話になってます。アルバイトの件も快諾してくださり、ありがとうございました。」
「あらあら、まぁまぁ!貴方が雅臣君?こちらこそ、明楽がお世話になっています。暗いのにわざわざ家まで送ってくれてありがとうございますね。」
「いえ。女性が夜道に一人は危ないですから...」
雅臣がそう言うと、明楽母は「この明楽を女性扱いしてくれる男性がいるなんて...」と驚いた。
「明楽。それじゃあまた明日、学校で。」
「あ、はい。また明日。」
明楽と雅臣が別れのあいさつを交わし、雅臣が帰路につくと、明楽母がその後ろ姿に向けて、「良かったら、今度お夕飯たべていってねぇ。」と声をかけるのであった。その言葉に雅臣は立ち止まり、明楽母に礼をして去っていくのであった。




