episode17
明楽が校門に着くと、雅臣がスマホを弄りながら待っていた。
「雅臣先輩!お待たせしました!」
明楽が勇気を振り絞って雅臣に声をかけると、雅臣はスマホから明楽に視線を移し、「明楽」と笑顔で応えた。
「全然待ってないから平気だよ?それじゃ行こうか。」
「は、はい!」
今まではたわいも無い話しもたくさんしていたけれど、新聞の一件もあって明楽は少し気まずかった。しかし、雅臣はそれを気にする事無く明楽に話しかけてくるのであった。
「来週からって話しだったのに、いきなり今日からになっちゃったけど大丈夫だったの?ご両親に連絡した?」
「はい。最初は心配されたけど、雅臣先輩が一緒だって言ったら安心してくれました。」
「そ、そっか...。」
雅臣は明楽の言葉に照れながら返事をした。
「そ、そう言えば、勇真は大丈夫?」
雅臣が話しを変え勇真の名を出すと、明楽は思わず歩みを止め下を向いた。...そして顔を真っ赤に染めた。
「あ、明楽?!どうしたの?!」
明楽は雅臣の問いかけに応える事が出来ないでいた。
そんな明楽を見て、何かがあったのだと悟った雅臣は下を向いた明楽の頭に手を乗せた。
「...雅臣...先輩?」
「ごめん、明楽。無理に話さなくて大丈夫だから。」
「そんな!雅臣先輩が謝る事なんて...」
「勇真の事だ。きっと何かしてきたんだろう?」
「...それは...」
明楽は思わず言い淀んでしまった。
「勇真はアメリカ暮らしが長いから、人との距離感がバグってる節があるからね。...明楽が気にする事は何も無いからね?もし、また何かあったら話せる範囲でいいからオレに言ってくれればいいからね?」
「雅臣先輩...ありがとうございます。」
「うん。」
雅臣はそう言うと乗せた手を動かし、明楽の頭を撫でた。明楽はそれに気恥しさを感じ、引いたと思った顔の熱が再び集まるのを感じた。
そんな明楽を微笑ましく思いながら、雅臣は明楽に笑いかけた。
「それじゃ、店に向かおうか。」
「はい。」
落ち着きを取り戻した二人は、バイト先に向かって歩き始めるのであった。




