episode12
休み時間になると、クラスメイト達はこぞって勇真の元へと集まった。
「ねーねー。勇真君はどこの国に居たの?」
「アメリカだ。」
「小鳥遊先輩と親戚なんでしょ?仲良いの?」
「あぁ。メッセージのやり取りもするし、長期休みの時は日本に来たりしてたからな。」
「えぇー、そうなんだぁ。」
勇真は次から次へと来る質問に淡々と応えていく。そして...
「朝礼の時、明楽君の手にキスしてたけど、アレってアメリカ特有のあいさつだよね?!」
そう。それは明楽も思っていた事である。しかし、勇真は再び明楽の手を握った。
「あいさつなんかじゃない。オレは明楽に一目ボレした!!」
そう言うとクラス中が廊下まで響く声量で「えぇー!!」と叫んだ。
「何で何で?!明楽君は私達の、"学校の王子様"だよ?!」
「明楽が王子?何でなんだ?こんなにprettyなのに!」
「...カッコイイの間違いなんじゃない?」
「カッコイイ...?たしかにカッコイイんだろうケド、オレはprincessにしか見えないな!」
勇真が屈託のない笑顔でそう言った瞬間、チャイムが鳴り、皆席へと戻っていった。明楽も前に向き直そうとしたが、勇真に「明楽」と呼び止められた。
「...なんだい?」
「オレ、本気だからな?」
「えっ?」
「雅臣にゼッテェー負けねぇから!...覚悟しとけ?」
「う、うん?」
勇真がそう小声で言うと教師が教室へとやって来て、授業を始めたのであった。明楽は一先ず授業に集中しようと気持ちを落ち着かせ黒板へと目を向けるのであった。
気づくとチャイムが鳴り、午前の授業の終わりを告げる。明楽は薫子と共に昼食をとろうとすると、そこに担任がやって来て「花ヶ崎」と声をかけてきた。
「先生。何ですか?」
「お前、今日の放課後ヒマか?」
「ヒマですけど...」
「小鳥遊の校舎案内頼んで良いか?」
「...私がですか...?」
「何かマズイか?」
「い、いえ大丈夫です。分かりました。」
明楽と担任のやり取りに耳を立てていた勇真が「放課後明楽と一緒!」と心の中でガッツポーズをしたのであった。
「それじゃあ、頼んだぞー。」と言い担任は教室を去っていった。
「明楽、大丈夫ですか?私も一緒にいてあげたいんですけど、今日はピアノの日で...」
「薫子、心配しないで?大丈夫だから。」
「そうだぞ!えぇ...と、西園寺!明楽はオレが守る!」
「...いや、貴方に不審感を...」
「?」
「...いえ、なんでもありません。」
薫子は明楽の無事を祈るばかりであった。




