episode1
桜舞う4月。校庭にはピンクの花弁の絨毯が広がっていた。そして校庭には、新入生や部活動の勧誘をする在校生で溢れかえっていた。そんな中を二人の新入生が校舎に向けて歩みを進めていた。すると、途端に校庭は黄色い歓声に包まれた。そして皆の視線は片方の生徒へと集まり...絶句する。
そう。その生徒は一見男子生徒に見えるが、その身に纏っているのはスカート。なんと女子生徒なのである。
しかし、そんな事はお構い無しに、たくさんの生徒達が彼女へ熱い視線を送るのであった。
「ハァ...明楽と一緒にいると視線が痛いです。」
「なんだい、薫子。私が悪いの?」
「えぇ、そうです。...なんで貴方は女性を惑わすのかしら。」
一緒にいた女子生徒、薫子は視線を集める女子生徒、明楽に対して大きなため息をついて苦言を申した。しかし、明楽はお構い無しに笑顔で周りの生徒へと手を振る。すると、周囲からは「キャー!」と甲高い悲鳴の様な歓声が上がるのであった。
「明楽、貴方ワザとやっていません?」
「ワザとなんて酷いなぁ。皆が喜んでいるんだから良いじゃないか。」
「...聞いた私がバカでした...」
薫子が再び深いため息をつくと、そんな彼女に対し、明楽はクツクツと笑った。
「さぁ、早くクラス割りを見て教室へ行こう。薫子と一緒だといいなぁ。」
「私は平和な学校生活を送れればそれだけでいいです。」
「ツレないなぁ。」
そうして二人はクラス割りの貼られた掲示板の元へとやって来た。
「えぇっと、花ヶ崎、はながさき...っとあった。2組だ。薫子、君の名前も2組にあったよ。これからもよろしくね。」
「...ホントですね...ハァ。よろしくお願いします。」
明楽は薫子と同じクラスになったのを子供の様に喜んだ。そんな彼女の嬉しそうな様子に薫子は仕方ないとばかりに息をつく。
「それじゃあ、早く教室へ行きますよ。貴方は入学式で新入生代表のスピーチがあるのですから準備をしないと。」
「あぁ、そうだね。緊張するなぁ。」
「全然そんな風には見えませんけどね。」
二人はそうしてこれから1年を過ごす教室へと向かう。
...廊下を歩いている二人に校内の生徒は「...カップルかしら?」と疑問を持つ者も現れたとかいないとか。




