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後悔

作者: 小さな毎日

 8月のある夜、日中は30度を超える暑さが悶々と続いていて、夜には蒸し暑さだけが残る。そんな日々だったのに、その日だけは妙に冷えているように感じた。


 それは、学校で友達と話した内容のせいなのかもしれない……


「──なあ、またね保育園って知ってるか?」

「なんだそれ。実在してんの?」

「それはわかんないんだけどさ、うわさを耳に

  した事があってさ。まあ、知らないならいい

  や。」

「なんだよ、気になるから聞かせろよ。」

「後悔すんなよ?日本のどこかにまたね保育園  

  っていう保育園があったんだけどな、そこで妙

  なことが起きたらしいんだよ。お昼寝タイムっ

  てあるだろ?それがあるところだったんだけど

  さ、ある日園児の1人が、昼寝時間になったら

  ずっと部屋の隅で壁に頭を打ち付けてたんだ

  よ。保育士も慌てて止めて、その日は寝かしつ

  けることが出来たんだけど、次の日からも頭打

  ち付けてて、段々と寝ることすらしなくなった

  らしいんだ。」

「そりゃ変な話だな。病気だったとかか?」

「いいや、その子は至って健康だったんだよ。

  そしてある日を境にその子は保育園に来なくな

  った。事故で亡くなったらしい。」

「なんだよ事故かよ。しょーもねーなー」

「まあまあ聞けって。まだ話は続いてるんだか

  ら。その子が保育園に来なくなってから1週間

  ぐらいのときに、別の子が部屋の隅で頭を打ち

  付け始めたんだよ。今回は最初から保育士のこ

  となんも聞かずに打ち続けたらしいんだ。その

  子も翌日から来なくなったんだよ。そして連鎖

  するように1人、また1人って頭を打ち付けて保

  育園を辞めていったんだ。なにより園児が頭を

  打ち付けているときは『いたい。いたい。』っ

  てつぶやきながらやってたらしい。」

「最初の子の呪いなんじゃねーの?」

「…どうだろうね。で、保育園は結局潰れちゃっ

  たんだけど、そこで働いてた保育士は別のとこ

  ろで働くことになって、何事もない日々を送っ

  てたんだ。でもその保育園にはまたね保育園で

  初めに頭打ち付け始めた子と同姓同名の子がい

  たんだよ。たまたまだろうと思って仕事をして

  るんだけど、昼寝時間になるとその子が部屋の

  隅で頭を打ち付け始めたんだ。保育士はあまり

  の恐怖に、その日のうちに自殺しちゃったそう

  だよ。それも家の壁に頭を打ち付けて……。」

「うわぁ〜…。怖ぇ話すんなよ授業集中出来なく

  なっちまうだろーが。」

「わりぃわりぃ」

「で、元凶になった子の名前とかって、わかっ

  てたりするのか?」

「竹本 浩司」


 その瞬間に昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴って、話をしていた男は自席へ戻っていく。


 そこからの授業は集中できなかった。

 話を聞いた恐怖ではなく、知ってしまった恐怖によるものだと思う。


 その夜、気温は30度を超えていたはずなのに、とても冷えているように感じた。


「ピン ポン」家のチャイムが鳴った。

 時刻は0時を過ぎている。

 両親は帰りが遅く自分が対応するしかない。

 しかし、足が進まない。出たくない。

 出たらダメな気がする。


 それでも、空元気を振り絞って玄関前に着く。


 ドアの覗き穴を覗いて外を見た俺は、全身から血の気が引いて、話を聞いたことを後悔した。


 そこには頭を打ち付けて、この世の者とは思えないほど白い肌をした、昼休みに話をした男、竹本 浩司がいたのだから。

こんな話があったら、普通に怖いと思った。

やっぱ子どもの霊が1番怖いよな!

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